「楽観的」と「悲観的」を使い分けて ~10連休後の学級づくり~
4月27日~5月6日まで、元号が変わることもあって、例年より長い10連休となります。
時事通信が実施した「10連休に関する世論調査」によると「10連休がうれしくない」が41.0%に達したという報道がありました。「関心が無い」が21.1%、「うれしい」は36.5%。年齢別では働き盛りが「うれしくない」が多いとのこと。
その調査では「今後も長い連休をつくるべきか」の問いに対し「そう思う」が29.9%、「そう思わない」が66.8%です。
長い連休は、あまりのぞまれていないことになります。教師にしぼったらどうなのでしょうね?
今回は、あまりのぞまれていない10連休後の学級づくりのポイントについて書かせていただきます。
熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二
スタートできたのだから、と楽観的に考えよう
この原稿を作成しているのは4月16日、熊本地震本震からちょうど3年です。新学期が始まってしばらくしての災害。いつ終わるかわからない避難所運営、また次の地震がくるのではないかという不安、長い学校中断があっての再開。短くなった夏休み。ストレスが子どもにも教師にもたまり、学級の荒れにつながったあの年。
思い出したくはありませんが、どうしても今回の10連休と重ねて考えてしまうのです。中断の長さ、その要因、その後の肉体や精神のケアなど、熊本地震と今回の10連休には違いがありますが、最も大きな違いは「前もってわかっていること」です。いつ再開するかわからない、年間計画がどうなるかわからない、先の見通しがたたない、10連休はそんなことはないのです。
ロケットスタートをきれた人、うまくいっていないと感じる人、そもそもプランがたっていない人。どんな教師にも10連休は平等にやってきます。とにかくスタートがきれ、10連休を迎えることができるのですから、ここは「楽観的」にとらえましょう。
最悪の場合も想定して、悲観的に計画を
とはいえ、3・7・30の法則のうち「30」にあたる部分が10連休にあたるのです。3・7がうまくいっていても、30ができないわけです。ましてやうまくいっていないなら30を前に計画の練り直しが必要です。
10連休のあと、システムを覚えているかという不安が出ます。システムどころか、担任の名前さえ覚えているか?学習内容を忘れていないか?そんなレベルになります。
10連休の間、幸せな家庭は旅行や家族のふれあいに費やせるでしょう。しかし、そんな家庭ばかりではありません。ゲーム三昧、最も栄養源の給食がない、生活のリズム・体内時計がくずれ、学校へ行きたくない……きっとそんな子どもがいるはずです。
ここはある意味、最悪なことを考え、悲観的に計画をたてましょう。迎えに行く必要がありそうな子ども、事前の電話確認等、最悪の場合も想定しながら計画を緻密にたてることが必要です。
楽観的に実行する
熊本地震のときは、学校再開の後「子どもたちは心痛めているのでは?」と考え、再開後の授業や活動をおそるおそる実行していったように思います。もちろんフラッシュバックなどに、注意する必要がありましたが。
今回の10連休は「フラッシュバック」は、あまり考えなくてもいいでしょう。友人関係の変化、生活リスムの変化などに気をつけながら、悲観的な計画を、楽観的に実行する構えでいいでしょう。「こうしたらうまくいかないと思ってやってみたら、やっぱりダメだった」これは教師として許されません。「こうしたらうまくいくと思ってやってみよう」うまくいかなかったら軌道修正すればいい、「うまくいくと思ったことに熱中すれば、なんとかなるものである」そんな思いで、楽観的に実行することが大切だと思います。
今回の内容は、京セラ等の創業者である稲盛和夫氏の「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」ことが物事を成就させ、思いを現実に変えるのに必要なのだという哲学をもとに、熊本地震の経験を踏まえて、自分なりにアレンジしてみたものです。
だれもが経験したことのない10連休をうまくすごすために、楽観的と悲観的をうまく使い分けていきましょう!基本的には、4月に思いっきり働いたご褒美のリフレッシュと考え、またくる忙しい5月に備える10日間にしたいものです。
笹原 信二(ささはら しんじ)
熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。
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