2月荒れを防ごう!3学期スタートに向けて ~1ランク昇格!学級通信~(第6回)
3学期は短いだけに、特にスタートダッシュが肝心です。1月をうまく乗り切らないと、2月荒れにつながります。2月荒れが起きると、その年度はもちろん、次の年度まで影響します。卒業を控えた6年生は、それでなくても不安定な精神状態にあります。スタートをうまく切って「このクラスで良かった」と思ってもらえるような3学期にしたいですね。今回は、12歳のハローワークを中心にして、学級通信の果たす役割について書いてみました。
熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二
サインを見逃さないように
その昔、巨人軍全盛時代、長嶋選手はサインを見なかったそうです。あまりに見ないので、当時の川上監督から聞かれたときの答えは「ぼくは4番打者ですよ。サインは『打て』しかないんだから見る必要が無いですよ」長嶋選手ほどの天才ならサインを見逃しても大丈夫かも知れませんが、私のような凡人はそうはいきません。いろいろな手段を使って、子どもたちや家庭の変化を探ります。体調の変化、生活リズムの変化などはもちろんですが、交友関係の変化などは早くつかんでおきたいものです。病気と同じで、問題は早期発見、初期対応にかかっています。2週間ちょっとの冬休みですが、何が起きているかわかりません。学級通信でも話題にしておくことで、子どもや、保護者からのサインを受け止めやすくなります。
夢を現実にするために ~12歳のハローワーク~
6年生の担任をしたとき、学年活動として3学期初めに「12歳のハローワーク」を企画しました。村上龍さんの「13歳のハローワーク」がはやった頃です。ゲストティーチャーとして、警察官、医師、看護師、イラストレーターなどの方々に来ていただきました。夢は夢として残しながらも、ある程度現実に近いものを考え、そのためにどのようなことをしなければならないのかを6年生なりにおぼろげにでもつかんでほしいと願ったのです。
3学期の始めに、この取り組みをすることで子どもたちが落ち着いて、将来のことを考えることを期待しました。小学校を卒業するまでに、どんなことをしたいか、どのように行動すれば良いか、どう目標をもつか?などを考える良い機会になったと思っています。
画像に掲載している学級通信は「12歳のハローワーク」の3回目の通信です。子どもたち一人一人がこの企画を通して学んだことを共有し合い、どんなことを考えているのかを認め合うために学級通信という手段を選びました。
行動に結びつけて
3学期は短いので「話し合い」よりも「実行」が中心となります。今まで「話し合い」ながら、良いクラスにするための取り組みを続けてきた成果を、実践して評価する学期です。
12歳のハローワークを通して、考え方を変えた子どももいました。実際に保護者にインタビューした子ども、兄・姉に尋ねた子ども、本を読んで調べた子ども、様々にあらわれました。
このような取り組みでなくても、何か子どもたちが実行できるプロジェクトをつくっていくことが2月荒れを防いでいくことにつながります。子どもたちが行っていることを保護者に紹介し、または他のグループが行っていることを共有し合う場として学級通信を位置づけました。
全国の学校で「2月荒れ」が起きないことを願いながら今回の連載を書いてみました。
それでは、皆様、良い3学期を!
笹原 信二(ささはら しんじ)
熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。
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