ただ練習を積み重ねるだけでは、つけたい力につながらない

4年生の掲示物
練習問題を積み重ねて、つけさせたい力は、知識や技能などいわゆる基礎基本といわれる力でしょう。
計算問題を数十問解かせる、漢字をノート1ページ書かせるなど、繰り返し学習させている人も多いと思いますし、私も、宿題には「漢字・計算・本読み・日記」を毎日出していました。それは、毎日行うことが基本的な力に繋がることよりも、毎日の学習習慣を身につけるためであり、宿題として出すのは、日々、自分の責任として提出する態度を養うため=責任感を育てるためでした。
では、「ただ練習を積み重ねるだけでは、つけたい力につながらない。」
とは、どういうことか。
私は、常に、自分で「つかみとる力」を養いたいと思っています。
「つかみとる力」とは、知識や技能も、教え込まれて身につくのではなく、自分で積極的に身につけようという姿勢を意味します。
もちろん、嫌々、計算をやっても、漢字の練習をしても覚えられることでしょう。
苦手な気持ちを我慢して、自分の限界をこえる程努力を重ねる。それは、忍耐力、乗り越えるために踏ん張る力につながります。
この忍耐力は、特に、低学年で大事にしたい力です。「学習すべき事は泣いてもわめいても、やらなければならない。」1・2年生でこれを経験するかどうかで、人生がかわるといっても過言ではないでしょう。
でも、これでは、指示を待つだけの大人になることを教師が望んでいることになりかねません。
もっと、人生を積極的に楽しむ人になってほしい。この思いを私は、授業を通して子どもに伝承しています。(そのつもりです)
いつも誰かのせいにして、責任逃れをする大人ではなく、自ら、できることを探し、自分の力を伸ばしていける大人になってほしいのです。
「100点はまだ取れないけど、学ぶって楽しいかも」
やらされている学習ではなく、主体的に取り組む学習にさせたい。その思いをこめて、練習問題にも「めあて・コメント」を入れさせます。
1年生にも行わせました。
子どもは、先生が求めれば、できます。
もっと言えば、全員に100%の子どもに、同じように技能や知識を身につけさせたいと思いますが、潜在的な能力から苦手な子は、なかなか身につかないことも多いです。その子の持っている力の最大限を発揮できるように努めますが、それでも、身につかない子もいますよね。
ですが、「100点はまだ取れないけど、学ぶって楽しいかも」
そんな思いを少しでも持たせたいのです。
教師の用意したいわゆる研究授業のような年に数回の授業だけで、そんな思いを持たせることはできません。
普段の、なにげない毎日の中でこそ、育てられるもの。
特に、一人で取り組む復習や宿題は、その子の学び方が丸見えになります。
新出漢字の学習も、はねやとめの注意すべき所や間違えやすいところを感じたら、コメントをかき込むようにすれば、自分の学び方にアレンジできます。
1年生なら、習ったひらがなのつく言葉集めをさせていました。すきまの時間も自分の時間としてつかみとる、そんな集中力、学びへの意欲を養いたいからです。
そんな時間の使い方の小さな取り組み、普段の活動の全てが、いわゆる生き方、人間性へと繋がると信じています。
何もかも、子ども達の細胞に染み渡る教育。
全てが生き方に繋がるのです。

松井 恵子(まつい けいこ)
兵庫県公立小学校勤務
兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。
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