2018.09.06
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SWOT分析を用いたキャリア開発

大学生や専門学校生の就職活動はもちろん、社会人になってからの転職や、異動時、今後の自律的なキャリアの見直しを行う場合など、キャリアについて考える機会が増えています。
私たちを取り巻く社会環境の変化とそのスピードの速さ、何かと不確実性の高い時代において、自分らしい生き方や働き方を考える際に、活用できるフレームワークを1つご紹介したいと思います。

東京福祉大学 国際交流センター 特任講師 赤羽根 和恵

SWOT分析とは何か

SWOT分析(SWOT analysis)とは、組織や個人が、目標を達成するために意思決定を行う経営戦略のフレームワークの1つです。
社会や経済など、組織や個人を取り巻く環境を、「外部環境」と考えて、組織内や個人のことを「内部環境」とします。

下図のように、それぞれの強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) を、4つのカテゴリーで書き出します。
その要因分析を行い、環境の変化に対応した経営資源の最適活用を図る検討をしていきます。

SWOT analysis

強み (Strengths)

弱み (Weaknesses)

機会 (Opportunities)

脅威 (Threats)

キャリアのSWOT分析

キャリアについてのSWOT分析を行うと、キャリア戦略を立てる時に重宝します。
例えば、学生が就職活動を行う時に、自己分析をしますが、その方法が以下の通りです。

①内部環境として、就職をするために生かせる特質と、不利になる特質を書き出す
・強み:(例)クラスのリーダー的役割、人が好き、サッカーを8年続けている
・弱み:(例)じっくり取り組むのが苦手、気が散りやすい、数学が苦手

②外部環境の就職の機会と脅威を書き出す
・機会:(例)新卒採用人数の増加、サービス業や介護等の求人数増加
・脅威:(例)少子高齢社会、労働人口の減少、環境問題

③目標達成が可能か判断をするために、自分に質問をする
・どのように強みを活かすか? → リーダーシップを活かして働くには?人のために何ができるか?
・どのように弱みを克服するか? → 集中できる環境を作るには?数字を意識して行動すると?
・どのように機会を利用するか? → サービス業の企業のインターンシップに行こうかな?
・どのように脅威から身を守るか? → 高齢者向けの仕事なら長く仕事ができそうかな?

④4つの要因から、具体的な行動を考える
・自分に向いている仕事は?
・自分に向いている産業は?
・では、どういう企業の求人があるか?

SWOT分析は、1つの手法なので、もちろんこれだけでは足りない場合もあります。
例えば、取り組む順位を考えるには、重要度を書き出す、時系列表で考えるなど、他の方法を用いることが必要です。
そこで、自分の内部と外部環境の「見える化」を行い、戦略を考えるために使い、必要に応じて次の作業を行うようにしましょう。

注意すること

・内部環境と外部環境を、混同せずに考える
・SWOTの4項目は、状況を整理するためのもの・状況を整理して、それをもとに次の行動を考える

状況に応じて判断していきましょう。


終わりに

授業の中で、学生たちとわいわいがやがや行いますが、自分自身のことも時々SWOTをかけ、見直しています。
教える仕事というのは、対象が「ヒト」なので、サービス業です。
顧客である学生たちのためにも、もちろん自分のためにも、状況に応じて臨機応変かつ最適な対応を心掛けるには、教員自らの学びと変革が大切であると考えています。
まだまだ暑い日が続きます。あれこれ趣向を凝らしながら、今年度を充実させたいですね。

赤羽根 和恵(あかばね かずえ)

東京福祉大学 国際交流センター 特任講師
経営学・経済学が専門ですが、留学生クラスの担任も兼務しています。これまでの企業経験、キャリアコンサルタント、産業カウンセラーとしての視点も生かせるよう心掛けています。

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    立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任)

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