2018.06.22
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ボーっと授業してんじゃねーよ!

いきなりのフレーズでびっくりされましたか?実はこのフレーズ、NHKのバラエティ・クイズ番組「チコちゃんに叱られる!」の決め台詞をもじったもの。当たり前と思うこと、考えたことのない事象を着ぐるみの少女、5歳のチコちゃんがゲストの大人に質問し、答えられないと、「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と、CG加工で目から炎を出し面白おかしく怒ります。どんな質問かというと、「一重まぶたと二重まぶた、どうしてあるの?」とか「行ってらしゃいって言う時、どうして手を振るの?」とか。
普段、当たり前と思っていることや改めて考えることが無いような事象を質問し答えさせようとするのです。

授業の中、学校生活の中で当たり前と思って行なっていることありませんか?それをあなたに問います。答えられなかったら、「ボーっと授業してんじゃねーよ!」ですよ


兵庫県公立小学校勤務 松井 恵子

授業って発表させますよね。じゃあ、聞きます。どうして発表させるの?

「授業はそういうもの」「自分の意見を発表することは、将来的に役に立つから」・・・
そんな答えをしたあなたへ
「ボーっと授業してんじゃねーよ!」
《授業で発表させるのは、新しい考えを再構築させるから〜〜
新しい世界に進ませるから〜〜》

というのが、私のファイナルステージの考えです(※諸説あります)

ぼーっと授業していると、“できる”授業ばかりを目指して一問一答の発表だけをさせてしまっているかもしれませんよ。もちろん、人前で話せる子に成長させるというのも一つの意図。ただ、そこがゴールだと、ただの発表会です。授業によって新しい考えを作ることを経験させること、これが授業のファイナルステージです。
もちろん、全ての発問は同じ種類ではなくそれぞれに意図があります
その意図はこの最終段階を目指しての意図です。
そんな意識も持たずに、やれ指導書だの、やれ教科書だのとそれを鵜呑みにして授業をしている人のなんと多いことか。もちろん教科書や指導書は素晴らしくよく出来ています。授業構成を考えるとき、考えて考えて一周回って教科書通りということも多々ありました。ただ、教科書の意図をよく咀嚼し、発問するのと、ボーっとその通りにやるのは大違い。

おっと発表だけでかなりの紙面をとってしまいました。

他にも意識して考えないといけないことは山ほどありますよね。それは、授業の内容だけではないんです。

なぜずっと黒板の前に立って授業をするの?

板書するため?全体の様子を把握するため?両方その通り。ただ、「ボーっと前にたってるんじゃねーよ!」ですよ。板書がいらない場面なら、教室にちょっとした油断が見えたなら、どんどん教室を歩き回って子ども1人1人に声をかけたらいい。
その「スキ(油断)」が分からないなら、板書以外の時は、教室をあるきまわればいいじゃん!子どもは1人1人先生と繋がりたいと思ってるんだから。

本物の「授業」なのか、ただの「時間経過」なのか、あなたにかかる子どもの人生の時

「はじめっから今日の学習内容をめあてとして教師が書くんじゃねーよ!はじめっから理科の教科書読ませてんじゃねーよ!」
子どもは学びたいと思っているんです。間違えたくないなんて思ってなかったはず。それを刷り込むのは大人です。
「どうしてだろう、なぜだろう。」とか「昨日習ったことが当てはまるところと当てはまらないところがありそう。どうしたらいいかな。」とか、そんな思いを持ってスタートしてこそ、学びへの扉が開く。
間違ったら「これは違うということがわかった」ということ。これも大切な学びへの扉です。なのに、この感覚を大人が持って授業しないと、せっかく子どもが発表しても「他に?」って切り捨てちゃう。切り捨てられた子どもは、感じていますよ。授業は正解しなくちゃいけないんだって。授業=生き方です。与えられる正解のみを探すなら、AIに取って代わられる世の中です。正解を再生産するなら、ロボットの方が長けている。正解しなくちゃいけないなら、間違ったら人生終わりってことじゃん・・・そうじゃない!間違って、何とか考えて、周りに心を開いて考えを再構築して、新しい考えをゲットしていく、そんな姿勢を授業で育てていくのではないのですか?


そうそう、呼名も子どもは感じています。娘が「〇〇先生は、全員に同じ呼び方をしてくれる」って話していたのを思い出しました。そんなことまで・・・ということも感じている。まさにヒドゥン・カリキュラム。あなたのものの見方・考え方は、子どもにひしひしと伝わるものです。


授業は、学ぶ機会として、教師であるあなたとと共に過ごす時間です。子どもの人生の時があなたの授業観にかかっているものと心得て、「ボーっと授業してんじゃねーよ!」です。「普段の授業」こそ大切に、いつも誠実に授業しましょうね!

松井 恵子(まつい けいこ)

兵庫県公立小学校勤務


兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。

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