2017.12.28
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問題行動は、チャンスと思え!

子ども同士のトラブルは、集団生活にはつきものです。教師の耳に問題行動が入ってきたり、けんかを目にしたりしたとき、あなたはどう感じますか?

「今まで指導していたのに!」といらいらしますか?

「残念だ。」とがっかりしますか?

私にも少なからず、そんな思いはあります。

教師経験を何年積もうと、新しいタイプのトラブルに遭遇するんです。そんな時の対処方法について、今日は話したいと思います。

兵庫県公立小学校勤務 松井 恵子

なかなか目に見えない子どもの問題行動

低学年でも高学年でも、子ども同士のトラブルやその子の問題行動は、教師が不在となる休み時間や放課後に起こることが多く、なかなか見えないこともしばしば。特に、SNSや通信モードのあるゲーム機など、教師の目の届かないところで子ども同士がぶつかっていることも増えてきました。

だからこそ、教師の一人一人を見る目が大事になってきています。「今日はこの子の笑顔がないぞ」「今まで仲良くしていた子と、離れているな」など、一人一人の様子を見取ることが大切です。

それでもなかなか、話を聞けないこともあります。

私は、毎日、日記指導を行っています。宿題で日記を毎日出しています。登校後、日記帳を提出。子どもが帰るまでにすべてに目を通し、できるだけ返事を書きます。ほぼ100パーセントの子どもが日記を提出します。これは、子ども一人一人とつながるためです。毎日、40人弱の子と直接話せなくても、日記では話ができるからです。もちろん、忙しい日は、十分なお返事が書けないこともありますが、その分、書けるときにはしっかりお返事しています。2学期の終わりには、日記帳が3冊目に突入した子もいます。日記帳は、2冊目3冊目と両面テープで貼って、分厚い1冊の日記帳にし、これまでの歩みを振り返られるようにもしています。

その内容は、テーマを出すときと出さないときがあって、行事や道徳などはテーマとして挙げてその内容について書かせます。テーマのないときは、自由に子ども達が日々をつれづれなるままに、書いてきます。だから、放課後の様子を日記に書く子は多いですし、悩みや気になることを書く子もいます。そこで、問題行動や悩みに気づき、支えることができます。

それでも、複数の人数にわたるトラブルを平等に判断するには、至りません。特に、高学年になると難しくなっていきます。

表出した問題行動はチャンスと思え!

問題行動があることは、喜ぶことではありません。当然です。そのようなことが起こる前に、手をつくしていればよかったと思います。

でも、私は、精一杯毎日を指導しています。授業も、道徳も、休み時間も、子どもの心の成長を促すようにと考えつくし、仕掛けたり待ったりしながら、教育を営んでいます。「トラブルがおこっているのなら、それは、何もできていないのと同じじゃないか。」と言われる方もいるかもしれません。

でもね、やっぱり、子どもは通りいっぺんにいかないのです。

どこかで、何らかの化学反応があったりして、びっくりするようなトラブルや問題行動が起こったりするんです。

それが、表出したとき、私はチャンスと感じています。陰で問題行動が起こることもしばしばある。それも実は、日々の見取りから感じ、わかる。だからそれなりの全体指導をするが、指導をしたい子には、なかなか指導が届かない、なんていうこともあります。

表出したトラブルは、こちらの指導を注げるチャンス。また、具体的にも記録として残しておき、家庭とも連携がとれる糧となります。逐一、家庭に連絡するのではありません。連携を必要とした時や保護者が学校の指導に疑問をもったときなどに、事実から課題を述べ、共有することができるからです。(保護者につきつけるのではなく、共有し、子どもの指導にあてるというスタンスが大切です。)

だから、問題行動は、教師としてしんどいけど、それは、チャンスです。

言い方を変えれば、その子の成長のチャンスに変えてあげないといけません。

1度や2度で理解できる子なら、それまでの指導や教育活動で積み上がっているはずです。

頭では分かっていても、心に染みいろうとしても、少しは染みいっても、こぼれてしまう正しい判断。そんな子が少なからず、どの学級にもいることでしょう。

一部を見て、全部と思ってしまわない。

成長しようとしてもできない、問題行動を起こす子ども達。でも、ぜったいに成長できている部分はある。問題行動は心の迷い。問題行動の一部だけをみて、すべてを否定してはいけない。心が迷っているだけ。ならば、とことん先生は、あなたの成長に尽くす。このスタンスでいつも子どもに対峙しています。

今までの経験を捨てる勇気

経験年数が増えていくと、今までならこうだった、と思うことが増える人も多いでしょう。

でも、目の前の子どもを大事にしなくちゃ何も始まらない。だから、20数年の経験年数でも経験を捨てて、いつも心は新任で、子どもに対峙します。もちろん、教科指導の中で、こうやって失敗したから今回は気をつけようとか、参考にすることはあります。でも教科指導にしても、以前の経験はベースになるだけで、もう一度考えます。

問題行動をチャンスと思い、そこから、今までの経験ばかりに頼らず、むしろ、そんな経験を捨てて、目の前の子どもの成長を考えるとき、また、新たな成長につなげられるはずです。

しかも、その成長は今すぐ見えるものかどうかはわかりません。中学で芽吹くこともあれば、20歳になってからかもしれない。いえ、もしくは芽がでないままかもしれない。

でも、私は、関わり続けます。子どもの幸せな人生のために。それが、教師という仕事だと思っています。

松井 恵子(まつい けいこ)

兵庫県公立小学校勤務


兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。

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