2017.12.26
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子どもたちを大切にすること

今年最後は、自戒の意味を込めて、「本当に子どもたちを大切にしているのか。」を考えてみたいと思います。
「本当に子どもたちを大切にする」とは、どういうことでしょうか。私も毎日悩んでいます。「自分の今の行為は、子どもたちがどう感じるだろう。」とよく思ってしまいます。

大阪府公立小学校教諭 松森 靖行

みなさん、こんにちは。

今年も残りわずかとなりました。みなさんにとって、どんな一年だったでしょうか。

私事ですが、自分の目標としていたものは達成でき、満足のいく一年でした。来年(来年度)からは、さらに気持ちを締め直して、頑張りたいと思っています。

今年最後は、自戒の意味を込めて、「本当に子どもたちを大切にしているのか。」を考えてみたいと思います。

「本当に子どもたちを大切にする」とは、どういうことでしょうか。私も毎日悩んでいます。「自分の今の行為は、子どもたちがどう感じるだろう。」とよく思ってしまいます。

 先日、他県の先生方が私の学級を参観に来て下さいました。朝の活動から参観して頂いたのですが、その活動の中に、掃除がありました。子どもたちは掃除が終わり、教室の掃除ロッカーに掃除道具を返しにきます。返し終わった後、いつも私はロッカーを点検します。きちんと道具が並べられているのかを確認です。できていなければ、やり直しなのですが、ほとんどやり直しはありません。それだけ、子どもたちの中で当たり前になっているということです。しかし、その日は、ほうきが少し乱雑でした。たまにそういうこともあるのです。なので、私は、「せっかく整理しておいてくれているんだけど、ごめんね。やり直しだなあ。」と子どもたちに伝えました。すると、すぐに子どもたちが来て、直し始めました。「すぐにできたなあ。さすがやなあ。ありがとう。」と伝えました。

 その一連の様子をある先生がご覧になっていて、次のような感想を伝えてくださいました。

『私は雷に打たれたような気がしました。同様の場面で、私は子供たちに「ごめん」と言ったことは一度たりともありません。上から「だめな子たちだ」と舌打ちしながら不合格を言い渡していたのです。先生が謝るなんてもしかしたら舐められるかもしれない、と、肩ひじをはっていたようなところもあります。子供さんたちと、人間対人間で心がつながっていなかったのですね。』 

 私自身も、衝撃でした。普段から何気なくしていることだったからです。そのような感想を下さった先生ですが、かなり謙遜をされておられます。常に子どもたちのことを考え、実践され、その実践に愛を感じる先生です。そんな先生でも、このように感じられるのです。本当に、私自身がどのような気持ちで「ごめん」と言っていたのか・・・、もしかしたら、心の中では「ちゃんとしろよ」と思っていたのではないかと恥ずかしい気持ちになりました。

 我々教師は、「子どもたちのため」とよく言います。場合によっては、子どもたちのために「厳しく」することもあります。もちろん、私もあります。そして、「厳しく」する時に、「理由」をきちんと説明できるでしょうか?特に、「子どもたちが納得するような」理由を説明できるでしょうか?

 「子どもたちが納得する」、このことを軽く考えてはいけません。「子ども達が納得する」って本当に難しいことだし、教師にとって怖いことです。学校では納得していても、お家に帰ると・・・ということは「当然のこと」として考えておかなくてはなりません。この「理由」、案外多いのが、「教師の独りよがり」です。教師としては、「このような思いがあるから、あなたにこのように指導をしたのです!」と最もらしい理由があります。でも、それは、子どもたちや保護者にとっては、どうでもいいことなのです。

 一番大切なのは、「その子をどれだけ大切にしているか」ということです。そして「その子」の後ろには「保護者」もいらっしゃいます。保護者の気持ちも大切にしなくてはなりません。この指導をすると、○○さんはどう感じるだろう?お家の方は、何を心配するだろう?この指導ではどうなのかな?様々な状況を考えて、指導をするための「最初の一言」を発するのです。

 「子どもたちに媚び諂うのか」と思われる先生も確かにいらっしゃいます。媚び諂うように見えてしまうこともあると思います。私としては、「媚び諂う」というより、「その子のあるがまま」「その子の人生、背景」を大切にした指導をしたいという思いだけです。そのことを大切にしていると、正直、時間がかかることもあります。子どもたちに裏切られることもあります。(子どもたちは、裏切ったと思ってはいませんが)

 それでも、私は、子どもたちの全てを大切にしたいと思います。何があったとしても・・です。

 2017年も、お読みいただき、ありがとうございました。

 どうぞ、よいお年をお迎えください。2018年も,よろしくお願いいたします。

松森 靖行(まつもり やすゆき)

大阪府公立小学校教諭
休日には全国の教員セミナーに講師・受講者として参加、仲間と切磋琢磨しています。2014年度は大阪府の教員となり、若手教員研修を担当。若手の皆さんと一緒に学び直しをしています。

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