6年生でもゲーム性のある授業
低学年の算数の授業では、ゲームを取り入れていることが多いですが、今回は、6年生で行ったゲーム性のある授業で、算数、理科、社会の3本紹介します。
兵庫県公立小学校勤務 松井 恵子
意図を持ってゲームをつくる
いつもいつもゲーム性のあることをしているわけではありません。むしろそんなことをしてはいけません。子どもが単に楽しそうにしていることをアクティブというのではありませんから。
ただ、ゲーム性がある方が、子どもがよく学習できると思うなら、ゲーム性のある授業を取り入れてみましょう。
今回紹介するゲームは、算数だけではなく理科や社会も。
これは、私が、「どうやったら、苦手な子や配慮のいる子たちに、この知識が入っていくかなあ。」とか、「単調な授業の流れで、本当に考えようとするかなあ。もっと必要感をもって考えさせるにはどうしたらいいかなあ。」と考えてつくったものです。
もしかしたら、市販のものが存在したり、実践されている方もそれを紹介している本もあったりするかもしれませんが、以上のような思いに駆られて考え、実践したものばかりです。
車を運転しながら考えていたり、料理をしながら考えていたり。
その思いは、「理科の苦手な子が、急に腎臓や肝臓とか、臓器の名前と機能を言われても、覚えられないだろうなあ。意欲的にしかもよく覚えられる方法ってないかなあ。」などというところからです。
臓器カルタ~6年理科「ヒトと動物の体」~
ヒトの体のしくみを学ぶこの単元。実験もありますが、体の中は見えないので、デジタル教材を見せるなど単調な授業が続きます。
もちろん、必要感のある単元導入をつくるために、子どもの中にあるハテナをいっぱい出させてから、単元はスタートしています。そのあたりはお忘れ無く。何でも、楽しませていたらいいと思わないでくださいね。
ただし、単元の終わりになってくると、ある程度、体の仕組みと臓器の名前を知識として吸収する必要があります。ノートまとめや理科新聞作りなどもさせますが、それでも、理科を苦手とする子や言語的に未発達な子、もしくは記憶をするのが苦手な子は、しんどいでしょう。
そこで、臓器カルタを考えました。
3種類のカードをつくりました。
①7種類の臓器のイラストカード(小腸、肝臓など)
②その臓器の名前のカード(ふりがなもかく)
③その臓器の役割のカード(主に養分を吸収する、養分をためておくなど)
もちろん1人に1つ。
切り取り線を入れておいて、プリントとして配り、はさみで切ってカードにします。
この3枚のカードをまずはマッチングさせるのですが、
いきなり3枚渡しても混乱する子がいる時には、まずは①と②の2種類を配ってマッチングさせます。
時間をおいてから、③のカードを配り3種類目の役割をマッチングさせる。
このような配慮も、6年生に対してでも大事です。
①~③までが、マッチングできたら、マッチングゲームはここで終了。
隣の子とのカルタ勝負に移ります。
①机の上には、2人に1組のイラストカードだけにさせる。
②読み手は教師。まずは臓器の名前を読み札にしてカルタ取り→次に役割のカードを読み札にしてカルタ取り
③ペアを変えて何度か行う。
子どもにとっては、内臓脂肪だの胃薬だの縁の遠いもの。つまり、臓器の名前や役割なんて遠い存在です。
ゲームをすることで、用語に慣れ親しませ、子どもにとって近い言葉になりました。
ぴったり1ゲームゲーム~6年算数「分数×分数」~
分数×分数では、逆数を学びます。
かけて1になるものを逆数といいます。
そこで、2人に1組、数枚の分数や小数のかいたカードを用意します。
数字については、教科書のものをそのまま使います。
1人カードを2枚ひく。カードをかけて1になったらポイント獲得。
ゲームをしているうちに、計算をしなくてもカードを引いただけで喜び出します。
なぜ、すぐわかるのかを話題にして逆数という概念を認識。
次に、小数や整数には逆数はあるのか、ないのかを話題に。
最後に、自分で逆数になるカードを2枚つくって、新たに投入。もう一度ゲームを行う。
次の日には「積が大きい方が勝ちゲーム」をしました。
60×□と黒板にかきます。
同じく2人に1組のカード(真分数、仮分数、帯分数、1がかかれている。)
今回は1枚ずつひいて、□にあてはめ積(答え)が大きい方が勝ちです。
これも計算せずにすぐ喜ぶ子がでてきます。そこを話題にして、耕します。
分数のわり算では、商が大きい方が勝ちゲームもしました。
江戸の文化カード合わせ~6年社会「江戸の文化」~
6年生の社会を受け持った年もありました。
兵庫県は、昨今、高学年に教科担任制をとりいれています。
社会担当の年もあれば、理科担当の年もありました。
社会を受け持った年は、視覚的にわかりやすいように、アプリケーションソフトでスライドをつくり、視覚的に訴えると共に、すべてにふりがなをつけて、提示しました。
中でも、江戸は、文化だけで1単元あり、テストも1枚ありました。
そこで、マッチングカードゲームを作りました。
臓器カードと同じようなものです。
①イラストカード(杉田玄白や伊能忠敬など)
②名前カード(ふりがなつき)
②関係の深いものカード(ターヘルアナトミア、日本地図の絵など)
これも切り取り線を入れておいて、プリントとして配り、個々にはさみで切らせてカードにさせました。
低学年や中学年でもゲーム性のあるものは子どもにとって有効なことが多いです。
ただ、それをもって主体的な学びであるとはいえません。
しかし、特別支援を要する子や漢字が苦手な子、算数の苦手意識が強い子など、学びに対してためらいを持っている子がいるときは、教える内容によって、ゲーム性のあるものをつくることは有効です。
ただし、いつも言いますが、そこには、子どもに対する教師の意図や思いがないといけません。

松井 恵子(まつい けいこ)
兵庫県公立小学校勤務
兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。
同じテーマの執筆者
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
この記事に関連するおススメ記事

「教育エッセイ」の最新記事
