6学年の学年経営~修学旅行へ向けて編~
今年度は6年担任です。以前のつれづれ日誌に、「6学年の学年経営~1年を通して語りかける学年経営~」で1年を通して、6年生には学年集会を行ったことを記事にしました。今回は、中でも修学旅行までの学年づくりをお話します。
本校の修学旅行は、1学期にあります。(実は、この記事を書いているのはその前日です。)この修学旅行をきっかけに、学年を高めたい、子ども1人ひとりの意識に働きかけたいという思いで学年集会を持ちます。
兵庫県公立小学校勤務 松井 恵子
法隆寺の土塀の落書きから
本校の修学旅行は奈良・京都が行き先です。ゴールデンウィーク明け、気持ちの切り替えとしても機会を考え、日程をとり、学年集会を行いました。今年は、例年より1クラス少ない3クラス、120名弱の子ども達です。まずは去年度の修学旅行の様子をスライドショーにして紹介します。楽しそうな先輩の様子をうらやましそうに見る子どもたち。期待を胸にする子ども達にこういいました、
「楽しそうですね。この楽しさを作ったのは、去年のこの6年生なんですよ。」
そして、見てほしい写真があると続け、土塀の写真を見せます。
「これは、あなたたちも行く法隆寺の敷地にある土塀です。」
何年前だったでしょうか、法隆寺の土塀に落書きがされた事件がありました。その写真です。
「この土塀に落書きがされたのです。どんな言葉かというと・・・」
そしてスライドをめくります。すると
「殺すぞボケ」
子どもからは、え?という息をのむ声があがります。
もう一つの土塀には、「ヒマやね」の文字。
ここで、子ども120名に、ペアトークの時間をとります。つまり私のやりたい学年集会は、授業と同じです。子どもに考えさせ、心で感じてほしいと願う、まるで道徳の授業なのです。
その後、挙手・発表をさせました。多くの子どもが手を挙げてくれました。
「文化財にそんな落書きをするなんておかしい。」「文化財だからおかしいんじゃなくて、そんな言葉は、いつ使っても、書いてもだめだと思う。」
「考えもせず、なんとなく書いたかもしれないけど、文化財を傷つけて許せない。」
たくさんの憤りを話した子ども達に、こう言いました。
「同じようなことをしていませんか?」
心ない言葉をつかってしまったこと、考えなく正しくない方向に流されてしまったことを振り返らせます。
その後、教室横のトイレのスリッパの様子を予め撮っておいて、その写真を見せます。
トイレのスリッパの並べ方は、学年の様子の鏡のようだと思います。何となく並べられたスリッパが、いつも、きちんと誰かがせいとんしてくれています。その様子を見せ、だれもが、気付き、実行できる人になろうと投げかけます。
本物の楽しさは自分たちでつくるというタイトルで始めたスライドの締めくくりは、本物の楽しさは“自分で”つくるというスライドになるのです。
学級ごとに輪になって・・・
スライドの後、「各クラス一つの輪になって、そこに担任の先生も入って、今、感じていることを伝え合いましょう。」と投げかけ、クラスに戻します。学年主任が全てとってしまってはいけないと思うのです。学年集会をきっかけとしてほしいと思うからです。
その後、最後は学級ごとに、記念写真の並びを考えさせます。修学旅行では、たくさんの記念撮影があります。すみやかに行うこともめあてですが、修学旅行に行く前に、学級としての意識も培いたい、そんな思いもこめて、記念写真の並びを考え、実際に写真を撮ります。
第2回学年集会では、しおりを持ち、持ち物や行程などの話をするのですが、実践力をもっとたかめたいと思い、少しゆさぶりをかけるスライドを用意してから、しおりの内容に進みました。
並行して、学級でも毎日を“仕掛ける”
この時期と並行して、学級でも、道徳や学活で、毎日を仕掛けました。
○席替えを2週に1度行う。
○班の中で、座席は毎日変える。(通年)
○毎朝、ふれあいタイム(あいさつをしてハイタッチしたり手遊びしたりする時間)を取っていますが、じゃんけん列車をしたり、ダイナミックに動かす。→少しずつ価値を高めていく。つまり、ただの仲良しとじゃんけんしていた昨日より、今日は、男女でじゃんけん。次の日は、自ら男女ペアを捜してじゃんけんにいく、など、感じ取る観点を高めていく。
○道徳では、「植松努さんの生き方~思うは、招く~」
などなど。
学級目標も、1ヶ月ほどたってから、子ども達に話し合わせました。遅いと思われますか?早いと思われますか?私の考えがあってのことですが、その理由については、また次回にしたいと思います。長くなりますので・・・
これらのことは、全て、同じ学年の先生に伝えています。
私の考えも添えて、全て伝えます。同じことをするか、そこに担任のアレンジを加えるか、または、時期をみてまだやらないという選択をとるか、判断するようにもアドバイスしています。大事なのは、目の前の子ども達。主任と同じ事をやらないとなどというナンセンスはいらないのです。担任も考え、子どもに対峙しないと、教育効果は産まれません。
大仏をかこうプロジェクト
等身大の大仏を運動場にかきます。小学生にとって、体験は大きいです。この活動は、されている学校も多いと思います。
今の6年生は、実行委員制度を取り入れています。1人1役、何か行事の裏方として活動するのです。「1年生を迎える会実行委員」「春の遠足実行委員」などです。その一つに「大仏をかこう実行委員」があり、めあてを決めたり、大仏の手を予め模造紙で作ったり、前日から、3m四方の碁盤の目を運動場にかいたりしました。
できあがりを3階から見て、「うわあ」という歓声。
最後は、学年全員で記念撮影。
修学旅行に行く前に、大仏の大きさを実感するだけでなく、学年の一体感をもてるこの活動が、私は大好きで、10年ほど前に先輩先生から頂いたプリントをずっと使い続けています。
学年全員の記念撮影は(個人情報の関係で、その写真はアップできないのが残念ですが)、卒業近くなった時に、今までを振り返る手だてにもなります。
学習としても、事前学習をしっかりさせてから、修学旅行に出発します。
いよいよ、明日、出発!
何よりも、安全に配慮して、行ってきます!
松井 恵子(まつい けいこ)
兵庫県公立小学校勤務
兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。
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