2017.05.12
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若い教師のための対人関係トレーニング

今回は、若い先生方に、授業づくり以前のコミュニケーション力のお話をします。

真面目で素直で頑張り屋のそこのあなた。頑張っているのに、なぜか子どもが言うことを聞かない、学級経営がしっくりこない、保護者に伝わらない、そんなことはありませんか?それは、あなたの表現力、対人関係の取り方の問題かもしれません。今日は、トレーニング教室です。対人力を鍛えて、授業の土台、学級経営の土台の一助にしてください。

兵庫県播磨町立蓮池小学校 主幹教諭 松井 恵子

教室に入る第一歩は『笑顔で“前のめり”のおはよう』

基本的に「おはよう」と言っていると思います。それに、礼儀正しいことを教師として真面目に行っていると思います。

でも、マニュアル通りにおこなっていませんか?

私たちが車や家を買う時、もしくは電化製品をまとめて買う時など、製品の良さもさることながら、営業マンとの会話や関係性で買うことって多いと思うんです。ちょっとしたお店に入っても、マニュアル通りの対応よりも、笑顔が多めだったり、会話が多めだったりすると気持ちよくなりませんか?

人は人間関係の中で、幸せを感じると思います。認められたいと思うし、愛されたいと思っています。明るい毎日を過ごしたいと思っています。まずは、朝のあいさつで、子ども達に心を開き、つながりましょう。

ここからは、鏡の前でトレーニング

鏡の中の自分と目をしっかり合わせながら・・・

①眉を上げて目を開いて口角をあげて「おはよう!」

②に~っこり笑って斜め45度にのぞき込むように「おはよう!」

③おはようと同時に、一歩足を踏み込んで身体を前のめりにさせて「おはよう!」

④音量を思いっきり大きくして「おはようございますっ!!!」

子ども達は先生の元気と笑顔を待っています。先生から近づいてくれることも待っています。明るく、元気に、そして、身体を前のめりにして、おはようと声をかけてあげましょう。もちろん保護者も同じです。こちらから心を開いて、歩み寄りましょう。保護者の方も心を開いてくれます。保護者も、先生を待っています。

余談ですが、私は、“おはよう”と同じように、“さようなら”も大切にしています。1年生でも6年生でも、全体のあいさつの後、ドアの所に行って、「さようなら」と一人ひとりに声をかけ、ハイタッチします。手と手のぬくもりは、ふれあいそのものです。「明日も笑顔で来てね。」そんな言葉を添えて、ハイタッチ。子ども達は、一人ひとり、かけがえのない存在です。低学年であれば、ひざを折って目線を合わせてハイタッチをします。去年受け持った1年生が2年生になった今も、ろうかで私と会うとハイタッチしにきてくれます。与えていたはずが、私が愛をもらっています。恥ずかしがっていた6年生が、笑顔でハイタッチをしてくれるようになったことも、私は愛を感じます。

大人の中ではできなくても、子どもの前では演じろ

若い先生方の中には、年上の保護者の方に固くなってしまう人もいるかもしれません。初めての職場、同僚にも固くなる人もいるかもしれませんね。自分のことをどう思われているのか、それが気になることが大きな要因でしょう。そんな感情をバネに頑張ることができるのも事実。

でもね、他人の感情は、自分がいくら悩んでもコントロールできませんよね。

じゃあ、考えない!

考えることはただ一つ、自分がどう思うかです。そして、その思いをどう行動するかに集中しましょう!!

人は変えられないけど、自分は一瞬で変えられるんです。

とはいえ、大人の中で、元気いっぱい、ガツガツ前のめりに振る舞うことって、なんだかできないなあという人もいるでしょう。

でも、子どもの前では演じてください。

あなたも、憧れの先生がいて教師を目指したのではありませんか?ドラマに描かれた先生ですか?子どもの頃の担任の先生ですか?「そんな人はいない」もしくは「忘れてしまった」という人は、そばにいる素敵な先生を探しましょう。その先生の振る舞いを演じることから始めてみましょう。

私は、すごいなあと思う先生の叱り方を真似しました。若い頃の私は大きな声で叱ることしか知らなかった。ベテランの女の先生が、落ち着いたトーンで、子どもに考えさせるように指導されているところを拝見し、感動しました。

子どもにとって、先生は、新任でもベテランでも同じ「先生」です。叱り方とか特別なところじゃなく、ただ単なる立ち方、子どもとやりとりする時の姿勢や表情、ちょっとした一言、その人になったかのように演じるところからスタートするのもありです。そもそも教師は職人です。技を教えてもらうのではなく、師匠から盗んでいく=真似していくものです。

発声は3トーンを使い分けろ

①大きく明るい声&小さくささやく声(フォーマル型)

②和ませるような油断した声(カジュアル型)

③ハリのある奥行きの感じられる声(カリスマ型)

「①大きく明るい声&小さくささやく声(フォーマル型)」

通常の授業の冒頭「さあ、授業を始めましょう!」などと言うときの発声です。これは、大学の模擬授業や教育実習などで、発声したことのある声でしょう。教室の後ろまで聞こえる声で授業はするものだというのは、学習済みだと思います。この発展型として、大きいトーンの間に、ささやくように小さな声を入れて子どもを集中させるようにとも指導された人も多いと思います。ささやき声を入れられていない人は、まずこれにチャレンジしましょう。

ただしこの2つはフォーマルの声。この2つはマニュアル通りなんです。悪くはないし、正しいんだけど、このトーンばかりで授業をされると、子どもにとってはわざとらしくて、退屈になったりするんです。

「②和ませるような油断した声(カジュアル型)」

フォーマルな中に、ふっと見せる教師の人間味。これがあると、子どもの目が開きます。普段の顔をのぞかせるように、ふっと教師が冗談を言う。和ませる。正しいこと=フォーマルばかりをやられても、人の心って動かない。その人の人間味や歩み寄りが感じられたとき、人の心は動くものです。少しカジュアルを入れてみるのも子どもと関係を作るのには適しています。

ここで、注意!授業づくりが基本です!このカジュアル部分ばかりを前面に出してつくる楽しい授業は、本当の意味の楽しさではありません。授業は、子どもが主体的に考え、深めていき、そういった学習過程に楽しさを見いだしていくのが本当の楽しさです。勘違いしないように!!まやかしの楽しさで子どもは笑ってくれていても、満たされてはいませんよ。

「③ハリのある奥行きの感じられる声(カリスマ型)」

文章では表現しづらいのが、この声です。「②和ませるような声」が、のっぺりとした平面の声とするなら、この「ハリのある奥行きの感じられる声」は、立体の声。主に、学級全体や学年集会など、これからのめあてを指し示すような時に使います。

背筋を伸ばし、息をいっぱい吸い込む。

目を1.5倍ほど開け目線もきりりと、

頭から声がポーンと出て後ろまで包み込む感じで。

①のフォーマルより威厳のある感じです。不思議と子どもの背筋が伸びますし、ぐっとこちらを見ます。

この発声は、授業中に態度が悪い等、指導するときにも使います。ピンとした空気で歯切れ良く子どもを叱ります。指導した後は、切り替えが大事。①のフォーマルにすぐ戻す。すると、正しいことをしていた大半の子ども達は、ほっとします。教師が感情ではなく指導として叱っていることに安心しますし、すぐに教室の空気を戻してくれることに安堵します。

とにかく、やってみよう!!

いかがでしたか?これらのことは、どんな仕事でも大切ですし、職場の対人関係においても大切です。

とにかく、悩んだとき、悩みまでいかなくても違和感を覚えたときは、動いてみるのです。ドアも押したり引いたりしなければ、開かずに重たい壁になってしまう。逆に、壁と思ったことも、動いてみると、新しい世界、新しい自分への扉だったりするものです。

日常に違和感を覚えたら、惰性を感じたら、いえそんなことはなくても、常にいつでも、いろんなことをやってみましょう!

そのモチベーションを、あなたの生き方を子ども達は感じています。

松井 恵子(まつい けいこ)

松井 恵子(まつい けいこ)

兵庫県播磨町立蓮池小学校 主幹教諭


兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。

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