2017.05.02
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ノート点検を細目に!

 新学期がスタートして1カ月が経とうとしています。ご自分の学級、授業では、どのくらいのペースで「ノート点検」をされているでしょうか?ノートは、授業そして学級の「要」です。今回は、「ノート点検」について紹介します。

大阪府公立小学校教諭 松森 靖行

 みなさん、こんにちは。

 「授業」について話をしています。実際の授業の進め方を細かくお話しようと思っていたのですが、「ノート」について話を進めようと思います。

 「授業づくり」=「ノートづくり(指導)」とも言われています。偉大なる教育家の東井義雄先生は、言語活動の質を高めたり、「稲村の火」の実践で追求したりしたのは、「学習帳」つまり「ノート」の指導でした。ノートを見れば、その学級の状態が全て分かると言っても過言ではないと思います。

 ご自分の学級、授業のノートはいかがでしょうか?

 5月に入ります。4月から実際に、子どもたちのノートを何回集めましたか?何回見ましたか?単に、「○つけ」をするのではありません。授業の後に、ノートを集め、評価をしたか、ということです。

 私は、ノートを使う授業の場合、毎回必ずノートを集めます。本年度は、それをより意識して実践しています。どの教科でも、授業後の「ふりかえり」を書くようにしています。私の場合、本年度も個人的にも公的にも社会科を研究しています。なので、社会科の場合は6行以上(単に6年生なので・・)「ふりかえり」を書きます。他の教科も書かせるのですが、2行以上にとどめています。どの教科も、しっかりと「ふりかえり」を書かせることは大切なのですが、教科や内容によって重軽をつけることは、大切な配慮なのです。毎回、たくさん書かせると、児童の負担も増します。そして、時間も足らないのです。

 その「ふりかえり」と「ノートのまとめ方」を、毎時間評価をします。評価と聞くと、一人ひとりコメントをして、記録を手帳に残して・・・、と思われがちですが、それを毎日、しかも全教科するとなると、ものすごい労力になります。そんな時間もありません。私がしている「評価」は、さらっと以下のようになります。

○ 感想(ふりかえり)の良いところに線を入れる。コメントは、「すごい!」や「すばらしい!」などの最小限に。

○ 子どもたちが一目で分かる評価を、どのような場合でも共通して行う。次のような評価の基準を教室に掲示している。

G(ゴッド)・・神の領域になるくらいすごい。最高。滅多に出ない。

K(キング)・・王様ぐらいすごい。Gまであと少し。

S(スーパーマン)・・スーパーマンもびっくり!Aより上。

A(エース)・・合格 よくできています。

B(ベター)・・普通です。 より上を目指そう。

C(チッチッチッ)・・甘い!できていないところがあります!やり直し!

D(どっかーん怒)・・全てやり直し できていません!(滅多に出ません)

以上に気をつけて、短時間に評価をするようにしています。記録には残しま

せん。学期末にまとめて評価するようにしています。もちろん、必要に応じてコメントもしていきます。

 今の私の学級が31人です。一教科、10分ほど(かからないかもしれません)で、ノートを点検していきます。毎回、どの教科もノートを集め、点検しているようにしていると、子どもたちのノートの質がかなり上がってきます。そして、子どもたちの様子も分かるようになります。また、授業の内容についても、子どもたちが学習しやすいものだったのか、という視点で分析できるようになります。ノートの書き方が、いつもと違っていたら、声をかけます。そして、うまく書けていない子がいれば、授業改善を行います。

 私は、それに加えて、毎日、31人全員と交換日記をしています。わずかですが、この交換日記にはコメントを入れています。

 ここまですると、子どもたちの毎日の文章量はかなりの量です。また、私のノートなどの点検量もかなりの量なのですが、ノートを介してですが、子どもたち一人ひとりとの交流も確保できます。

 ここまでして、やっと、子どもたちは少しずつ成長できるのだと思います。ノートなどをこま目に点検することで、教師と子どもたちとの関係もできてきます。「松森先生だから、ここまでできるんですよ。」と言われることがあります。いいえ。私もここまでできる教師ではなかったし、ここまでするべきだと思う教師ではありませんでした。

 ただ、今のご時世。「学力向上」だけでは、学校は成立しないような気がします。心の成長も急務な課題です。しかし、時間がない。だとすれば、授業を通して、子どもたちと仲良くなろう、子どもたちを成長させよう。これが私の考えです。その一つの方法が、「毎時間、全教科でノートで交流する」なのです。

 それでは。

松森 靖行(まつもり やすゆき)

大阪府公立小学校教諭
休日には全国の教員セミナーに講師・受講者として参加、仲間と切磋琢磨しています。2014年度は大阪府の教員となり、若手教員研修を担当。若手の皆さんと一緒に学び直しをしています。

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