あまり話されない学級開きの後のこと
学級開きのことって、よく取り上げられているのだけれど、その直後のことはあまり取り上げられないですよね。教師も子どもも張り切って過ごした始業式からの1週間後。ちょうど、4月の終わりから5月の始め。ここの大切さを今日はお話したいと思います。
兵庫県公立小学校勤務 松井 恵子
学級開きはいつまで?
黄金の3日間とか1週間という言葉をよく耳にします。新しい出会いは、子どもも教師もどきどき、わくわくするもの。
教師にとっては、自分の価値観を丁寧に伝える時期であり、新しい気持ちの子ども達は、新しい自分になろうと行動します。少し構えている子どももいたりして、教師にとっては、子どの達の良さが、どんどん目に入ってくる時期でしょう。
でも、そろそろ、教師も子どもも「我」が出てくる時期。そんな時期(2週間後くらい)を学級開きの後として、今日はお話したいと思います。
「去年は、こんなことはなかったのに。」と思わないこと
そんな学級開きの後の時期、なんとなく、教師の言葉や思いが伝わっているのか心配になる時期がきます。去年の子はよくわかってくれた、などという感想も出てくるかもしれません。その感情に、ちょっとまった!
それは、1年後の学級の状態です。今は、始まったばかりの状態。実は、年度当初は色々あったはずなんです。
許す=愛する
許すことは、愛することです。どんな子どもの状態も受け止める。このスタンスは、いつも大切ですが、この学級開き直後は特に大切。学級開きで子ども達に述べた教育指針と、教師のやっていることにずれをもたらしてはいけません。学級開きの後に浮かび上がるのは、子どもの生徒指導上の問題点などではなく、教師のほんとの心です。学級開きで言っていることとこの時期に指導している言葉が違うと、子ども達は敏感に反応します。
「今」をいつも受け入れる人でありたいですね。
それは、許すということかもしれません。許すといっても、悪いことをしていることをそのまま見逃すのではありません。子どもの行動にいらいらしないこと、受け入れて次の指導を考え、与えること。叱られていることも「愛されている」と子どもは本能的に感じます。受け入れて、指導する。それって、やっぱり愛だと思うんです。
さあ!やっぱり教師は授業で勝負ですよ!
この時期は、忙しくて毎日が流れていくように過ぎます。その時こそ、授業です!
娘たちもこの時期は、先生の話を家でよくしているのですが、
「おもしろくて大好きな先生なのだけれど、おもしろい話だけで50分は、きつかったわ。」
と言っている日がありました。
つまり、おもしろおかしい時間も50分も続いては、しんどいらしいです。やっぱり、ぐっと集中して学ぶ時間の方が、楽しいと感じるみたいです。
学級開きのその後の今、集中して考えられる授業づくりを目指しましょう。
「娘を愛してくれて、本当に本当にありがとうございました」
去年度、1年生を担任しました。3月の修了式には、たくさんのメッセージを頂き、本当にありがたく感じました。
その手紙の中にこんな言葉を頂きました。
「娘を愛してくれて、本当に本当にありがとうございました。松井先生のおかげで、娘は優しく明るい子に育ってくれました・・・・」
受け止めて頂いていたことに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。他のお母さん方からのメッセージも、本当によく見守ってくださっていたと思う言葉ばかりで、感激でした。素直に嬉しかったです。
でも、教師が、他からの感謝を求めてはいけない。
私たちは、与えることに集中しないといけないのです。
自分の精一杯を、いつも子どもに、そして保護者に発信し、子ども達の健やかな成長を願いつくっていける教師でありたいです。
子どもも教師も「我」が出てくるこの時期が、本当の学級開きかもしれません。
クラスの雰囲気が作り上がるこの時期を大切に、1つ1つ、丁寧に受け止めていきたいものです。
そして、この1年も、愛を伝える1年にしたいと思います。
先生方!がんばりましょうね!
松井 恵子(まつい けいこ)
兵庫県公立小学校勤務
兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。
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