小学校英語で思考力を伸ばす! PART5 「英語を人のために使う!」
年度末です。そして、1週間後からは2017年度が始まります。2018年度からの英語教育改革を目前に控えた準備を行うことができる最後の1年です。
私の新年度の目標は、「小学校英語はお遊びじゃない!意味のある教育活動だ!」という考えを広めていきたいと思っています。
では、今期最後の連載です。よろしくお願いします。倉敷市立連島南小学校 教諭 江尻 寛正
新学習指導要領において

大きな柱として、「学びに向かう力・人間性の涵養」「生きて働く知識・技能の習得」「思考力・判断力・表現力等の育成」が求められています。しかし、これだけでは授業はできません。これらの言葉を噛み砕いて、具体的な活動にしていく必要があります。そして、1回で終わるのではなく、継続的に取り組むことによって、生きた学びになっていきます。
では、小学校英語において、新学習指導要領の理念を具体化した活動とはどんなものでしょうか。最後の連載だからこそ、とっておきの活動を紹介したいと思います。
人のために言葉を使う “You can”TIME
活動の流れは次のようなものです。
① 名前の書かれたカードをシャッフルして、今日のリーダーを決める。
② 今日のリーダーは英語で5文程度の自己紹介をする。
I’m EJIRI Hiromasa.
I’m 12 years old.
I like soccer.
I like dolphins.
I like ラーメン.
③ まわりの子どもがリーダーに質問する。
What color do you like?
Do you like NATTOU?
④ リーダーができることについて、隣の子と話し合う。
⑤ リーダーができることを英語で伝える。
You can swim!
You can help friends!
この活動は、NHK「プロフェッショナル」で取り上げられた菊地省三先生の「ほめ言葉のシャワー」をもとにした取り組みです。リーダーになった子は、活動後には本当にうれしそうな顔をしています。自尊心が高まっていくと思います。そして、まわりの子も、友だちのいいところを見る視点が増えます。話し合うことで、自分が知らなかったいいところを知る機会にもなります。
小学校英語はゲームが中心になることがよくあります。
でも、それだけでいいのでしょうか?
最近はICTを使って、楽しく英語を繰り返す活動が多く取り入れられています。
確かに発音はよくなり、子どもも流暢に英語を話すようになります。
でも、それだけでいいのでしょうか?
やはり、私は「言葉は人のために使う」という視点を忘れたくないと思っています。「楽しい」とか「流暢に」という視点以上に、コミュニケーションの授業だからこそ、相手意識があり、自分の言葉でまわりの人を喜ばせる時間をつくっていきたいと思っています。

“You can”TIMEは、5〜10分程度で行うことができます。
よく話題に上るモジュールでも実施可能です。
新年度の4月から、少しずつでも取り組んでみませんか?
思考しながら、生きて働く知識・技能が身につき、学びに向かう力が伸びていくと思います。おすすめです!最後に
今号をもって、学びの場.comでの執筆が最後となります。今後はイレギュラーで情報提供できればと思っています。
また、これまでの連載や学会での発表をまとめた書籍を発刊させてもらうことになりました。
モジュールでコミュニケーション能力を伸ばすために、”You can” TIMEをはじめとして、10分で行える活動をたくさん紹介しています。また、授業開きや隙間時間で行える小話も掲載しています。
興味があれば読んでいただけたらと思います。
「はじめての小学校英語 授業がグッとアクティブになる!活動アイデア」
これまで、多くの感想をいただくことができました。
読者の方がおられたから続けてくることができました。ありがとうございました。
英語教育改革の大きな波が近づいてきています。子どもたちがしっかり乗り越えられるように、教師が準備をしっかりしていきましょう。
私もそのためにできることを頑張っていきたいと思っています。
では、また!

江尻 寛正(えじり ひろまさ)
倉敷市立連島南小学校 教諭
アクティブラーニングを意識した“子どもが学修する”小学校英語教育実践を紹介したいと思います。平成26年度「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)特選受賞、「小学校外国語活動研修ガイドブック」(文部科学省)や「英語教育」(大修館書店)等で執筆協力。
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静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
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