2016.12.05
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小学校英語の評価(ポートフォリオ)

前回は教師の願いと子どもの意欲が同じベクトルになるように私が行っている手立てを紹介しました。
今回は、子どもが自分自身を客観的に評価できる力(自己評価能力)を高めるために私が行っているポートフォリオを紹介します。

倉敷市立連島南小学校 教諭 江尻 寛正

みなさん、こんにちは。
学期末が近づいてきました。
授業のまとめ、そして成績処理・通知表作成で忙しい時期だと思います。
まさに師走です。
体調を崩さないように、計画的に仕事をしていけたらと思います。

さて今回は「評価」についてです。
評価というと、どうしても通知表がイメージされます。ですが、「なんのために評価があるの?」と問われると、通知表以外にも答えはたくさんあると思います。
それらの中で、今回は子ども自身の自己評価能力を高めるために私が行っているポートフォリオ評価を紹介します。

ポートフォリオで自分を客観的にふりかえる!

左の画像は私が学期末に使用するワークシートです。
今回のポイントは 4 のところです。

「英語マスターへの道」では、(1)〜(7)までそれぞれ何ポイント集めましたか。

(1)〜(7)というのは、前号までで紹介したワークシートの”1ポイントゲットルール”のことです。これを子ども自身に記入させます。
つまり、(1)〜(7)の中で、自分が積極的にできたことと、あまりできなかったことが分かることになります。
子どもの言葉で言うと、「これはがんばった!」「これは得意なんだよなあ!」とか、「そういえばこれはあまりできてなかった。」「これはちょっと苦手なんだよなあ。」となります。

ほとんどの場合、普段の授業では子どもは目の前の課題に一生懸命です。そして「できた」「できなかった」という評価がついてきます。これはまわりからのものもあれば、自分で分かることもあるでしょう。
その評価が肯定的なものであれば、その部分をさらに高めていくことでしょう。課題を指摘されたり、できないことがあると、それをバネにして自分を高めていくのだと思います。

ですが、高学年ぐらいになると「できた」「できなかった」という結果だけではなく、「どんな取り組み方をしたのか」まで考えられるようになってほしいと思います。
たどり着いたゴールだけではなく、どんな方法でここまで来たかを客観視することで、次の目標に進むために自分が何をすればいいかが分かるからです。
主体的な学修が求められるこれからはなおさらだと思います。

だからこそ、学期に1回は自分の取り組み方をふりかえる機会をつくりたいと思います。

そして、自分の強みはさらに伸ばし、課題は解決していけるように、次の学期の目標を可視化します。

「3学期にがんばりたい目標を3つ選び、数字を⬜︎に書きましょう」

このように、自分を客観視してからたてる目標は、やみくもに「3学期はもっと英語をがんばる!」というものより、具体的で焦点化されたものになります。

今回は、自己評価能力を高めることで、次への意欲を高める手立てを紹介しました。2学期が終わり、3学期の取り組みを考えていく今、何かの参考になれば幸いです。

忙しい師走ですが、心を亡くさないように日々大切にすごしていけたらと思います。

補足

ワークシートの他の部分について簡単に補足しておきます。

テイクアウェイシートは、ワークシート(家庭学習用)のことを意味しています。
スタンプポイントは、前号で紹介したすごろく形式のワークシートの中の、途中のチェックポイントのことです。

江尻 寛正(えじり ひろまさ)

倉敷市立連島南小学校 教諭
アクティブラーニングを意識した“子どもが学修する”小学校英語教育実践を紹介したいと思います。平成26年度「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)特選受賞、「小学校外国語活動研修ガイドブック」(文部科学省)や「英語教育」(大修館書店)等で執筆協力。

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  • 常名 剛司

    静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭

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