2016.12.06
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「デジタル連絡帳」アプリ実践活用の効果 その3

第3回目は、『「デジタル連絡帳」による、子ども、保護者、教師をつなぐ教育共生』についてです。

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子

『「デジタル連絡帳」による、子ども、保護者、教師をつなぐ教育共生』

今週は、「合同宿泊学習」がありました。

小学部の1年生~4年生が、

校内の宿泊施設『いきいき棟』に泊まり、

日常生活の学習を行いました。

午前中は買い物へ出かけ、午後からは夕飯づくりをしました。

和室に座布団を並べて遊んだり、大浴場で水遊びをしたり、

おやつを一緒に食べたりして楽しみました。

本来、日常生活指導の一環としての宿泊学習であり、

着替えや持ち物の整理、入浴、食事の準備・片付け・・・

といった身辺自立のための学習をします。

が、それと同時に、

「同じ釜の飯を食らう」という言葉があるように、

2日間、生活を共にすることで、

不思議と気持ちが一つとなり、

お互いの理解、集団意識がさらに強まるように思います。

宿泊学習は、まさに、

子どもと子どもを繋ぐ、

子どもと教師を繋ぐ、

素晴らしい学習の一つですよね。

さて、今回は、

『「デジタル連絡帳」による、子ども、保護者、教師をつなぐ教育共生』です。

「デジタル連絡帳」の活用は、

子どもと保護者と教師を繋ぎ、

教え、育て、育てられ、教えられ、共に生きる、

教育共生の姿を実現しますよ!

子ども、保護者、教師をつなぐ教育共生

「デジタル連絡帳」活用の効果3つ目は、「教育共生」です。

これまで私たちは、

「デジタル連絡帳アプリ」を開発してから3年間、

毎日、保護者と教師、学校間で、

「デジタル連絡帳」による教育支援連携活動を実践してきました。

「デジタル連絡帳」の映像は・・・

ある時、「デジタル連絡帳アプリ」で送受信される、

写真や動画を分析してみると、ある傾向に気づきました。

それは、

家庭から送られてくる写真や動画も、

学校から送る写真や動画も、

そのほとんどが、

子どもの良いところ発見につながる映像だったのです。

例えばそれは、

子どもが家庭生活や学校生活で、

子どもの好きなこと(興味・関心のあること)、

子どもの特技、

子どもが作った作品、

子どもが頑張っていたこと、

子どもがお手伝いしたこと、

友だちと一緒に遊んでいるところ・・・、

というように、

圧倒的に子どもの良いところについての映像、話題だったのです。

保護者も教師も『美点凝視』

つまりこの事実は、

保護者も教師も「デジタル連絡帳」の活用により、

日々の生活の中で、

子どもの良いところ探し=美点凝視を、

常に意識するようになったことのあらわれだったのです。

「今日、サッカー頑張ってたなぁ。」

「野菜も全部食べられたやん!えらい!」

「ブロックで、上手に作ったね。写真撮って送ろう。」

「何もないな。あれ?よく見たら、こんな事、好きなんや。」

「ちょっとお手伝いでも、させてみようか。できるやん!」

この保護者や教師による、

子どもへの「美点凝視」は、

子どもを教育・支援する上で、非常に重要なことでした。

それは、

日々の子どもの何気ない仕草や、

日々の生活の中に、

子どもの成長・発達の姿があるということを、

「デジタル連絡帳」を活用することによって、

気づき、発見させてくれたのです。

「子どもの良いところを探して、ほめましょう!」

これまでに何度も耳にして、それが大事であることはわかります。

しかし、なかなかできなのが現実です。

気がつけば、

「ちゃんと、片付けなさい!また散らかして」

「早く寝なさい。朝起きられないでしょ。」

「残さず食べなさい。」・・・

と、目につくところは、子どもの気になる様子ばかり。

しかし、「デジタル連絡帳」があれば、

一日少なくとも一回は、

子どもの良いところを探すようになるのです。

「デジタル連絡帳」による教育共生

保護者や教師による、子どもへの「美点凝視」は、

保護者や教師自身を成長させました。

つまり、

この毎日の積み重ねは、

子どもの成長・発達と共に、

保護者も教師も、

教え、育て、育てられ、教えられ、共に生きる、

まさに教育共生の姿だったのです。

たかが「デジタル連絡帳」、されど「デジタル連絡帳」

「デジタル連絡帳」は、

日々の暮らしの中での子ども情報を共有する、

アプリケーション・システムであり、一つのツールにすぎません。

しかし、

これまでお伝えしてきた

「デジタル連絡帳」アプリ実践活用の効果は、

確実に子ども達の成長・発達に役立っている、

保護者と教師の教育支援連携活動に役立っている、

と、確信しています。

たかが「デジタル連絡帳」、

されど「デジタル連絡帳」なんですよ!

もしよければ一度、一緒に実践活用してみませんか?

次回は、「特別支援教育の道は、日々の暮らしの実践にあり」

「デジタル連絡帳」を実践活用して見られた、

特別支援教育のあるある!についてお伝えします。

中川 宣子(なかがわ のりこ)

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!

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