2016.11.17
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「デジタル連絡帳」アプリ実践活用の効果 その2

第2回目は、『「デジタル連絡帳」は家族を繋ぐ―『家族の絆』―』についてです。

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子

「デジタル連絡帳」は家族を繋ぐ―『家族の絆』―

昨日一昨日の2日間、本校では「学校祭」を開催しました。

一日目はバザー・・・

中・高等部の生徒が作業学習で作った木工製品や陶芸、食品等を販売したり、

児童生徒だけでなく、保護者の方からも、ゲームや飲食のお店を出店してもらい、

皆が一体となって開催するバザーです。

ご家族、近隣の方、卒業生、教育実習生、放課後等支援デイサービスの方等、

日頃、子ども達に関わる多くの方々と一緒に、秋の一日を楽しみました。

二日目は劇発表・・・

小学部、中学部、高等部と学部毎に劇発表をしました。

お揃いの衣装を身に付けて、演じたり、歌ったり、ダンスをしたり。

桃太郎も、忍者も、カンフーも、猿も、うさぎも、ライオンも登場。

今年は、2週間という短期間の中で学習しました。

子ども達一人一人の持ち味が、精一杯発揮でき、

最高のパフォーマンスができるようにと、

工夫を凝らした、たくさんの手立てが散りばめられた劇発表でした。

演じた子ども達、指導支援した私たちはもちろん、

ご家族も、観客も、大喜び!大感動!

特に、ご家族は、

子ども達の日々の様子、学習過程をご存知だけに、

子どもが演じるその時は、気持ちがシンクロして、

「ドキドキしていた!」と、口を揃えておっしゃっていました。

そう!子ども達とご家族の心は、まさに繋がっています。

今回は、「デジタル連絡帳」は家族を繋ぐ―『家族の絆』―について、お伝えします。

「デジタル連絡帳」アプリの実践活用の効果 その2『家族の絆』

「デジタル連絡帳」アプリを活用して、大きく変化したことの二つ目は、

「デジタル連絡帳」は、家族を繋ぐ―『家族の絆』―です。

「デジタル連絡帳」アプリを活用することによって、

学校や家庭での子どもの学習状況は、

タブレットPCを開くだけでいつでも、リアルに見られるようになりました。

これが、家族を繋ぎ、絆を深めたのです。

家族の子どもへの興味・関心

これまで、活用していた「連絡帳(紙媒体)」は、

主に保護者(母親)と教師で綴られていることが、

圧倒的に多い状況でした。

おそらく、今でも多くの特別支援学校や特別支援学級で、

同じ状況があると思われます。

ところが、「デジタル連絡帳」アプリになると、

母親はもとより父親、兄弟姉妹が、タブレットPCを開いて、

子どもの様子に、興味・関心を抱くようになったのです。

「へぇ、今日、サッカーやったんや!」

「給食、おいしそう~。完食したんやね。」

「図工で、絵を描いたんやね。これ、絵の具?一所懸命描いてるやん。」

「○○ちゃんと一緒に、本を読んでたんやねぇ。」

「デジタル連絡帳」アプリに映し出される写真や動画を見れば、

学校生活の ほんの一部分ではあるけれども、

「今日、何を学習していたのか」

「どのような様子だったのか」が、一目でわかります。

そのうち、「今日は何してたんかなー?」と、気になるようになり、

タブレットPCを開くことが楽しみになります。

そして、映像を見ているうちに、

「あれ、学校でこんなこともできるんやったら、家でもやってみたら?」

「こんなお手伝いも、できるんちゃう?」

と、「デジタル連絡帳」アプリがきっかけとなって、

家族の間で、

子どものことが、常に話題になっていきます。

子どものことが、家族の間で話題になること・・・

これは、子どもへの教育・支援の第一歩に繋がります。

家族の繋がり、支援の輪の広がり

「特別支援学校って、何を勉強してるんやろう?」

今でこそ、インターネット等で情報が伝わるようになりましたが、

それでも、その子が何を学んでいるのかは、

家族も、祖父母や親戚も気になるところです。

そこで、

「特別支援学校では、こんなこと、勉強してるのよ、デジタル連絡帳、見て!」

と、日々の学習の様子を、言葉だけでなく、映像で見てもらえれば、

母親、父親、兄弟姉妹から、祖父母、親戚・・・と、

支援の輪はどんどん広がっていきます。

家族の絆

「デジタル連絡帳」アプリを活用することで、

家族が繋がり、常に家族の間で子どものことが、話題になるようになりました。

子どもを中心とした家族の絆は深まり、支援の輪はどんどん広がり、

子どもへの教育・支援は強化されていきます。

このことが、子どもの成長・発達に大きく影響しています。

以上、今回は、「デジタル連絡帳」アプリによる、

『「デジタル連絡帳」は家族を繋ぐ―『家族の絆』―』についてお伝えしました。

次回は、『「デジタル連絡帳」による、子ども、保護者、教師をつなぐ教育共生』についてです。

ここ数日の冷え込みで、京都もすっかり紅葉しました。

赤や黄色や・・・色づいた木々や山々を眺めて、ホッと一息、心豊かに過ごしましょうね。

中川 宣子(なかがわ のりこ)

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!

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