2016.11.11
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「聞く力」の鍛え方

大阪府公立小学校教諭 松森 靖行

みなさん、こんにちは。だんだん寒くなってきましたね。2学期も1ヶ月と少し。体調を壊さないようにがんばっていきましょう。

さて、今回は、「聞く力」について考えてみようと思います。

先日、ある先生から次のような言葉をいただきました。「松森先生のクラスは、『聞き上手』だね。」私は、「静かに聞けていましたか?」と尋ねると、「反応しながら聞いてくれるから、こちらも話したくなりますよ。反応と言っても、余計なおしゃべりとかは全くありません。とにかく反応がいいんです。」私は、「ありがとうございます。うれしいです。これからもご指導よろしくお願いいたします。」とその先生に伝えました。

「聞く力」とは、どういうものでしょうか?イメージしてみてください。そのイメージの中に,
「教師の都合」的なものが含まれていたら、反省すべきです。「授業がスムーズに進むように・・・」「教師が話しやすいように・・・」「教師の言うことを聞いて・・・」などです。とにかく、「スムーズに」「とどこおりなく」授業や指導が進むことが「すばらしい」とされることが多いようです。

しかし、現実はそうでない場合が多い・・むしろ、そうでない場合ばかりなのです。

授業は「生き物」です。同じ指導案でしても、学校や子どもたち、指導者、そして時期や時間、今までの学びが違えば、授業の内容もちがってきます。「きちんと聞く」ことだけが、「聞く力」ではないのです。

『話を聞いている時の反応の仕方。つぶやきの仕方。仲間との共有の仕方。知り得た情報をどう自分の中に落とすか、そこまで教えて「聞く力」である。』というのが私の持論です。

そうなると、スムーズになんか進みません。私は、授業以外でも子どもの前で話をする時は、ものすごく緊張します。頭の中はフル回転です。せっかくいただいた子どもたちと過ごす時間を無駄にせず、子どもたちの成長につながるものにしたいと思うからです。例え、30秒であっても子どもたちの中に、教師の話を落とし、子どもたちの血となり、肉となるものにしたいのなら、「子どもたちの生の反応」を無視することはできません。
4月から、「聞き方」について、姿勢から心がまえ、反応の仕方、しゃべっていい時、いけない時・・・細かに教えていきます。できたら、ほめる。できていなかったら、もう1度指導のし直し、そしてほめる・・・の繰り返しです。
イメージとしては、「全員で居酒屋で話をしている感覚」です。みんなで居酒屋で飲み会をしていて、一人が話し始めます。すると、最初は各々の話だったものが、だんだん一つになり、みんなが共有し始めます。居酒屋での飲み会では、そんな良さがあるのだと思います。私も、ほぼ毎週体験しています(笑)。だれかのつぶやきを、「そうだよね。」と拾い上げ、「ぼくはこう思うのだけれど」などと、つないでいくのです。
これだけで、「聞く力」が身に付くわけではありません。書きたいことは山ほどあるのですが、「子ども達を教師の型にはめてはいけない」ということがポイントだと思います。詳しく言えば、「聞く力」に対して、「ここまでは許されて」「ここからは守らなければならない」ということころを、子どもたちが全員共有できているか、ということです。教師の手の内をしらせておくと、子どもたちは安心して成長していきます。

「居酒屋で話しているように」というのは、教師の心構えです。それにプラスでして「KJIH」な子ども達に育てることを目指しています。「KJIH」とは・・・・・?それは次回までのお楽しみです。次回は、具体的な「聞く力」の育成の方法についてお話します。それでは。

松森 靖行(まつもり やすゆき)

大阪府公立小学校教諭
休日には全国の教員セミナーに講師・受講者として参加、仲間と切磋琢磨しています。2014年度は大阪府の教員となり、若手教員研修を担当。若手の皆さんと一緒に学び直しをしています。

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