2016.09.26
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主体的・対話的で深い学び

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

今回が第十九期としての最後の原稿になります。

これまで約一年半にわたってまさしくつれづれと思いつくままに様々な話題について書かせていただきました。その中で、最も多くのご意見ご感想をいただき、教育に携わる皆様の大きな関心となっている「アクティブラーニング」について、いま現在感じていることや日々の授業で取り組んでいることなどについて書かせていただきたいと思います。

 いわゆる「アクティブラーニング」が何を指すのか、授業の中にグループワークや生徒のプレゼンテーションを入れればそれで良いのか等、「アクティブラーニング」に関する情報が氾濫し、書店で多くの「アクティブラーニング」を冠する書籍を多く見かけるようになりました。この状況を鑑みると、言葉の定義が何なのかをはじめ、不明確な部分や不徹底な部分が多くあるのではないかと感じています。それでは私自身がそのことを明確にするだけの理解ができているかと言うと、その自信は全くありません。

そんな中、中央教育審議会の審議内容において、「主体的・対話的で深い学び」すなわち「アクティブ・ラーニング」との説明がなされるようになりました。

「アクティブラーニング」という用語をきっかけに、これまでとは全く異なる視点や手法で授業改善を実践してきた私自身の取り組みの変遷において、現在の考えとよく合致しておりとても納得できる印象を得ました。

 地域、校種、教科等の様々な要素はもちろん、授業形態がどの様なものであったとしても、生徒の前に立ち「先生」と呼ばれて授業をする全ての教員が授業をするうえで最も大切なのは「児童・生徒」であり、彼らがどの様な学力をつけていくのかが大切なのは言うまでもありません。思考力を鍛えていかなければいけないのも生徒、判断力を磨き進んでいかなければいけないのも生徒、表現力を身につけて学んだ内容をアウトプットしていくのも生徒です。彼らがどの様にして学びを深めていくかを端的に表現したのが「主体的・対話的で深い学び」であると解釈しています。

 これを踏まえて、日々の授業で特に意識していることは、まず「自分で考える」ことです。何の考えもなしに学びを進めていくのは、全くの主体性の欠如としか言い様がありません。どの様な教科であっても、まず「自分で考える」ことがスタートラインに立つために必要不可欠な要素だと考えます。

そのうえで、学びを深めていくために必要なことが「対話」です。対話=グループワークではなく、自分自身との対話、問題との対話、教員との対話等様々な「対話」があります。グループワークとして周囲のクラスメイトとの対話は、その様な手段のひとつでしかありません。よく「アクティブラーニングでは生徒の聴く力すなわち傾聴力が育たない。」と聞きますが、それは「対話的」の意味を取り違えていると考えます。

最近は授業で繰り返し、「思考の言語化」というフレーズを強調します。自分で考えたことを言葉にして対話することで、自分の考えがより明確になります。他者の言語化を聞くことで新たな視点を手に入れることがあります。わからないとわからないが掛け合わせられることによりわかった!につながることや、間違っていると間違っているが掛け合わせられることにより正解に近づけることがあります。もちろん、教員の解説を聞くことにより理解が得られることもあります。この様に「思考の言語化」に取り組むことで深い学びにつながっていくと考えています。

 ここで気をつけなければいけないのは、生徒の深い学びへのプロセスの中で教員が与えられる影響力はほんの一部であるということです。何もかも教員が影響を与えていると考えるのは傲慢であると考えています。誤解を恐れずに言えば、教員という仕事は先生と呼ばれ、「お客様の方が頭を下げる数少ない業種」です。また、右も左もわからない1年目の教員であっても、様々な経験を経たベテラン教員でも、生徒はそれを選ぶ権利はあまりなく等しく「先生」と呼ばれるのです。

したがって、教員は自ら課題を発見しそれを解決していく、課題発見能力も課題解決力も磨いていかなければいけません。その様にして自らを律していく覚悟と決意が必要です。

 少し話がそれましたが、日々授業で特に意識していることの話の続きに戻ります。

主体的に自分で考え、対話により学びを深めた後は、再び「自分で考える」ことに戻ります。再び問題に自分だけで向かい合い、仕上げていくのです。簡単に言えば、しっかり復習をすると言えるでしょう。それをチェックし徹底させることは、教員としての力の見せ所といったところでしょうか。

 この様に、インプットとアウトプットを繰り返すこと、そのサイクルを自らの力だけはなく周囲と力を合わせて協働的に進めていくこと等を促していくことが教員の仕事ではないかと理解しています。

 甚だ簡単な記述かつ抽象的な話でしたが、最近日々の授業で特に意識していることを、つれづれと書いてみました。

 以前この場で取り上げたことがある、勤務校の「教師の日」職員研修が今年度も10月末に行われます。今年度は「研究授業」を公開します。詳細は近日中に本校ホームページにアップされると思われますので、ご興味を持っていただいた方はぜひご確認ください。

 定期的な投稿からは一度卒業させていただきますが、今後も教員として教壇に立ち続けますし、目の前の生徒達をどのように育てていくのか、そのための最善の方法は何なのか等を今後も追求し続けていきます。

 この様な場をいただけたことに、学びの場.comの関係者の皆様に多大な感謝をしております。

また、拙い文章を根気よく読んでくださった多くの皆様、さらにフェイスブック等でのつながりからご意見ご感想をくださった皆様に感謝をしております。

ありがとうございました。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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