2011.04.19
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野菜カードを作ろう 【食とものづくり】[小6・学活]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第五十六回目の単元は「野菜カードを作ろう」。野菜の絵カードを作る6年生、学活での学習です。

A5大の画用紙に野菜の絵を描いただけのカードはシンプルですが、いろいろな学習に活用できます。また、カードを作る活動自体、その過程で新しい発見があ ります。まずは、知っている野菜を班対抗で競争しながら発表することから始めます。野菜の絵カードを作る6年生、学活での学習です。

班対抗! 知っている野菜の名前を発表

「みんなの知っている野菜を発表してみましょう。班対抗です」
 そう言って、黒板にグループの番号を書いた磁石を貼ります。
「まずは1班から始めます。班で相談して、代表者が黒板に野菜の名前を書きます。他の班が書いた野菜は書いてはいけません。では始め!」
 子どもたちは、ニンジン、ピーマン、カボチャとよく知っている野菜の名前を次々に書いていきます。順番が最後の班まで回ったら、また1班から始めます。三回りほどすると、次第に野菜の名前が出てこなくなる班も現れます。
 そこで、給食の献立表を取り出して見たり、家庭科の教科書から探したりする班も出てきました。献立表をしっかり見ることはよいことなので、そのままにしておきました。教科書も同じです。こうして、黒板いっぱいに野菜の名前が書かれました。

野菜の絵カードを作る

「たくさん出てきたね。こんなに野菜があるのですね。では、これらの野菜を絵に描いてもらおうか」
「えーっ! いやだー」
「それがわかっていたら、こんなにいっぱい出すんじゃなかった!」
 と言う子もいました。A5大の画用紙を用意し、自分たちの班で出した野菜を、班のメンバーで分担して野菜の絵を描くように説明しました。

次に、図書室に行き、図鑑や百科事典、科学読み物などを調べて野菜の絵を描いていきます。先ほどまでいやだと言っていた子も喜んで描いています。1 枚のトウモロコシの絵をていねいに仕上げる子、ダイコン、ナス、カリフラワー、トマトと友だちの分まで絵を描くのに熱中する子とさまざま。6年生でも本当 に楽しそうに描いています。

「ワサビって、こんな形してたの」
「オクラの花はきれいだね」
「ブロッコリーって、花を食べているんだ」
 と、絵を描く中で野菜の特徴や旬などの新しい発見がありました。

野菜の絵カードを使った授業いろいろ

子どもたちが作った野菜の絵カードをラミネートします。こうすると絵カードが傷まなくなります。また裏面にシール磁石を貼り付けます。黒板に掲示しやすくなります。この野菜の絵カードを使って、次のような授業をすることができました。

旬の野菜を食べよう【旬と栄養】[学活]

 野菜の絵カードを、春夏秋冬別に並べます。食材には旬があることや旬のよさを知ることができます。

どこを食べているのかな【食と命】[理科]

 野菜の絵カードを、食べている部位別に分けます。「果菜」「葉菜」「根菜」などに分けられることを知り、利用部位に注目して野菜に対する関心を深めることができます。

私はだれでしょう【食と科学】[集会活動・クラブ活動]

 一人一人が1枚ずつ野菜の絵カードを背中に持ち、絵カードの内容を見ないようにします。「私の大きさはどれくらいですか」「どんな料理に使われますか」などの質問を次々と相手を替えながらしていくことで、自分が何の野菜カードを持っているかを当てるゲームです。

授業の展開例
  • 「野菜の絵カード」と同じように「魚の絵カード」や「果物の絵カード」を作ってみましょう。
  • 「野菜の絵カード」の内容に野菜を使った料理名や原産地、栄養素など学年に応じて調べたことを盛り込んで「野菜事典」を作るとよいでしょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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