2008.06.17
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どこを食べているのかな 【食と命】[小3・理科]

第二十三回目のテーマは「食と命」。野菜のどこを食べているかに注目して、野菜に関心をもちましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

 野菜は食べている部位により、「果菜」「葉菜」「根菜」などに分けられます。ブロッコリーやカリフラワーのように花を食べる野菜もあります。利用部位に注目して野菜に対する関心を深める「どこを食べているのかな」の授業をしました。3年生の理科の「植物の育ち方には一定の順序があり、その体は根、茎及び葉からできていること」の学習から発展させた1時間の活動です。

野菜のこの部分はどこかな?

 「植物の体の名前は何でしょうか?」
そう言ってこれまでの学習の復習から授業を始めました。
「根っこ」
「そうですね」
黒板に「根」と書きます。
「葉っぱ」
「茎」
「たね」
と発表が続きます。
「たねが入っているのは?」
「実だ」
「あと一つあるんだけど何だろうか」
「花」
「そうだね。他には花があるね」
黒板には「たね」「実」「根」「茎」「葉」「花」と書きました。

「これから野菜を見せます。野菜のどこの部分を食べているか考えてください」
そう言いながら、まずゴボウを見せます。
「根だ」
「その通り」
このように実物を見せながらどこを食べているかを考えていきます。
ゴボウ(根)、ネギ(葉と茎)、ピーマン(実)、ブロッコリー(花)、ジャガイモ(茎)、ハクサイ(葉)、キュウリ(実とたね)と進みます。答えが分かると野菜の絵カードを貼っていきます。ジャガイモはだれも分かりませんでした。大人も分かる人は少ないでしょう。

この野菜の食べている部分はどこ?

 実物を見せながら食べている部分を確認していく作業が一段落したので、ワークシートを配ります。縦には野菜、横には部位の名前があり、○を記入するようになっています。

 野菜は「ナス」「カボチャ」「カブ」「コマツナ」「レンコン」「ラッキョウ」「アスパラガス」「ホウレンソウ」「トマト」「タマネギ」「ダイコン」「カリフラワー」「セロリ」「キャベツ」「パセリ」「サトイモ」「タケノコ」「サツマイモ」の18種類が書かれています。


野菜の食べる部位を「たね」「実」「根」「茎」「葉」「花」に分類し、野菜カードを貼る

 このワークシートに○を付ける作業を子どもたちは楽しんでくれました。
「ラッキョウって何?」
「カレーについてるやつ」
「ホウレンソウは分かるよ」
「これってけっこう難しいな」
「ダイコンは分かるよ。漢字で書くと大根だもの」
「サトイモってどんな形してたかなあ」
「トマトは全部食べるけどあれはどこ?」
何の指示も出さなくても子ども同士で相談しています。どんな野菜か分からないときには野菜の絵カードを見せます。

「では、グループごとに野菜の絵カードを配りますから、グループ内で意見がまとまったら黒板に絵カードを貼ってください 」
各グループに3枚ずつ計18枚のカードを配ります。子どもたちは相談がまとまると黒板に貼ります。全部のカードが揃ったところで答え合わせです。一部、タマネギを実と答えたり(正しくは葉の根元/りん茎)、タケノコやアスパラガス、カリフラワーはまったく分からなかったりしましたが、全体的にはよくできていました。

根を食べる野菜には何がある?

「これらの野菜の他に、根を食べている野菜はなんだろう?」
「にんじん!」
元気よく見つけてくれました。にんじんの野菜カードを黒板に貼ります。前半は食べている部位を分類し、収束していく作業。後半は食べている部位から野菜を見つける拡散的な作業です。

「次、たねを食べている野菜は?」
「トウモロコシ」
「インゲンマメ」
今度はしばらく考えてからの発言です。
「では、葉っぱを食べているのは?」
「レタス」
「花を食べている野菜は?」
「ブロッコリー」
「昨日の給食に出てたよ」
「ブロッコリーって花なの」
「そうです」

 子どもたちの感想を紹介します。

「野菜のどこをたべているとかそんなこと考えたことありませんでした。でも食べているところが分かってすごく勉強になりました」

「タケノコが地面の下をはう茎だとは知りませんでした。野菜はふしぎだなあと思いました」

「私が一番驚いたことはジャガイモが茎だったということです。茎がふくらんであの丸いジャガイモになるんだなあと感心しました」

 

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉

授業の展開案

同じイモでも、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモはそれぞれどこを食べているのか調べてみましょう。

ブロッコリーは花の部分を食べています。本当かどうかを確かめるために水栽培をしてみましょう。水を入れたコーヒーの空きビンにブロッコリーを入れておきます。数日後、花が咲きます。

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