うどん職人への道「だしにこだわる」(その弐) 【作ってみよう!食と歴史】[大学・教育学部]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイデア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子どもたちの興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第220回目の単元は「うどん職人への道~だしにこだわる~」(その弐)です。
「作ってみよう!」編では、実際に作りながら学べる内容をお届けします。授業や家庭での実践に役立つ調理のポイントを、食に関する学びを深めるきっかけとしてぜひお役立てください。
授業情報
テーマ:食と歴史
学年:大学教育学部
はじめに
みなさんは、カップうどんに東日本と西日本で味が違う商品があるのをご存じですか。
東日本のだしと西日本のだし。
東西の2種類のだしの歴史は、江戸時代から始まったといわれています。
では、なぜ違うのか。
味にはどのような違いがあるのか。
味や香りの違いを比べてみるのは、夏休みの自由研究にもぴったりです。
今回は、だしの文化について実践した学生の視点からご紹介します。
だしの準備物(4人分)
【いりこ・昆布だし】(西のだし)
・水 1000㎖
・いりこ 30g
・昆布 20g
【いりこ・鰹節だし】(東のだし)
・水 1000㎖
・いりこ 25g
・鰹節 15g
かえし
・醤油 大さじ1
・みりん 小さじ1
・塩 小さじ1
だしをとる

いりこは頭とワタを取り除く
北海道の開発に伴う昆布の生産増加により、昆布の新しい利用方法が考えられるようになりました。
江戸の商人・河村瑞賢によって、酒田から下関を通り、大坂を経由して江戸へ向かう西廻り航路が確立されました。
北前船の航路が伸び、北海道から昆布をはじめとする海産物が京都・大坂へ、さらに江戸へも運ばれるようになります。
この昆布の流通網は、現在「昆布ロード」と呼ばれています。
「昆布ロード」の確立により 「だし」の普及が進み、関東では主に鰹節、関西では主に昆布が使われるようになりました。
【いりこ・昆布だし】(西のだし)
①いりこと昆布を水1,000mlに一晩つけておく。
(このとき、いりこの頭を取り、身を開いて中のワタを取り除くと苦味を抑えられます。また、煮出す面積が増えるのでだしが出やすくなります。とらなくても問題はありません。)
②沸騰寸前の温度でアクを取りながら20分ほど煮出す。沸騰しないように火加減を調節する。
(沸騰すると苦みや雑味が出てしまいます。)
③いりこ・昆布を取り出し、かえしを加える。
④弱火にかける。
【いりこ・鰹節だし】(東のだし)
① いりこを水1,000mlに一晩つけておく。
(いりこ・昆布だし同様、苦味を抑えたい場合は、頭とワタを取り除く。)
② 沸騰寸前の温度でアクを取りながら20分ほど煮出す。沸騰しないように火加減を調節する。
③ いりこを取り出し、弱めの中火にかける。
④ ふつふつ沸いてきたら鰹節を入れる。再度ふつふつしたら火を止めて10分置く。
⑤ 鰹節を取り出す。
⑥ かえしを加え、再度弱火にかける。

沸騰しないように火にかける
現代にも続く、関東と関西における「だし」の違いには、主に2つの理由が考えられています。
1つ目は、昆布の流通です。
昆布は北前船で北海道から大阪へ運ばれると、上質なものから売れていきました。
大阪で売れ残った昆布が江戸で消費されたため、関東では関西ほど昆布だしが発達しなかったといわれています。
2つ目は、水質の違いです。
硬度が低い関西の水は昆布だしを引き出すのに適していますが、硬度が高い関東の水は昆布の旨味が出にくいことが分かっています。
より濃い「だし」を取るために、関東では鰹節が、関西では昆布が主に使われるようになったといわれています。
振り返り

だしの味を比べてみる
【いりこ・昆布だし】(西のだし)
昆布の味、香りがしっかりしていた。
普段食べているものに似ていて安心感がありました。
昆布の味がしっかりしているため、かえしの醤油は少なめでもおいしく仕上がると感じました。
【いりこ・鰹節だし】(東のだし)
いりこ・昆布だしに比べると味が少し薄く感じました。
いりこの深い旨みと鰹節の芳醇な香りを感じることができました。
授業の展開例
・いりこ・昆布・かつお節を使っただし以外にも、煮干しだしや椎茸だしなどがある。「だし」の材料になるものを探して、実践してみる。
関連リンク
小松未來 團野和香 永元リサ 若林李歩
武庫川女子大学教育学部

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)
武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。
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