うどん職人への道「SDGsにつながる!だしがら活用かき揚げレシピ」(その参) 【作ってみよう!食と環境】[大学・教育学部]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイデア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子どもたちの興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第221回目の単元は「うどん職人への道~SDGsにつながる!だしがら活用かき揚げレシピ~」(その参)です。
「作ってみよう!」編では、実際に作りながら学べる内容をお届けします。授業や家庭での実践に役立つ調理のポイントを、食に関する学びを深めるきっかけとしてぜひお役立てください。
授業情報
テーマ:食と環境
学年:大学教育学部
はじめに
だしに使ったいりこや昆布、かつお節はどうしていますか。
捨てていませんか?
大阪では「もったいない精神」によって、実は捨ててしまうものからたくさんの料理が江戸時代から作られています。
「うどん職人への道」第3回では、SDGsにつながる「だしがらを使ったかき揚げ」について実践した学生の視点からご紹介します。
かき揚げの材料
薄力粉 60g
片栗粉 10g
卵黄 1個
水 100ml
だしをとった後のいりこ・昆布・かつお節 ある分だけ
玉ねぎ 1個
にんじん 1本
揚げ油 適量
かき揚げを作る

昆布を切る
大阪の「もったいない精神」は、大阪人は何事も無駄にしないという考え方で、食べ物に関しても工夫を凝らして、美味しく食べる方法を考えてきました。
この考え方は、地域文化や風習でもありますが、同時に持続可能な開発目標(SDGs)の「12.作る責任、使う責任」の食品ロス削減の取り組みにもつながります。
ここでは、私たちが取り組んだ「SDGsかき揚げ」を紹介します。
だしがらを使ったかき揚げの作り方

乾燥させる
①まず、天ぷらの衣に使う粉・卵・水を分量どおりに量ってから、冷蔵庫で冷やしておきます。
すると、グルテンができることを抑えるので、カリッと揚げることができます。
②次に、だしをとった後のいりこ・かつお節・昆布(食べやすい大きさにカット)を、アルミホイルを敷いたオーブンまたはトースターで乾燥させます。
このとき、昆布のほうが水分を含んでいるので、昆布を上に置くと早く乾燥させることができます。
※注意:かき揚げにするときに水分を含んでいると、油が飛び散りやけどの原因になります。しっかりと乾燥させることが大切です。

かき揚げ完成
③そして、②のいりこ・かつお節・昆布と、2ミリ幅に切った玉ねぎ、短冊切りにしたにんじんを大きめのボウルに入れ、片栗粉で打ち粉をします。別のボウルに、水100mlと卵黄を入れて混ぜ、そこに冷やしていた薄力粉を加え、菜箸で線を引くように5~6回混ぜます。混ぜた衣を、打ち粉をした具材のボウルに加え、全体に絡むように優しく天地返しをしながら混ぜます。
④油を170度に温めます。温度の設定ができない場合は、油の中に水溶き薄力粉を一滴落とし、すぐに浮き上がれば、十分に温まっているという目安です。具材をテニスボール大にまとめて、ゆっくりすべり込ませるように油へ入れます。1分半ほど上げて、ひっくり返し、さらに1分半揚げて、色がついてくると完成です。油を切って、うどんに盛り付けると、「SDGsかき揚げ」の完成です。
SDGsかき揚げの振り返り

うどんに添える
だしをとった後の具材でも、香ばしさや深い旨味がしっかり残っており、食品を無駄なく活用できたことに満足感がありました。
ただ、いりこ・かつお節・昆布のみのかき揚げは少し硬くなりがちだったため、にんじんや玉ねぎを加えたところ、野菜の甘みとサクサクした食感が加わり、一層美味しく仕上がりました。
いりこの香ばしさと昆布の旨味が野菜と調和し、豊かな味わいを楽しめました。
授業の展開例
・だしをとった昆布を昆布の佃煮に活用する。
小松未來 團野和香 永元リサ 若林李歩
武庫川女子大学教育学部

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)
武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。
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