2021.04.21
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和菓子について学ぼう 【小4総合的な学習の時間】

〈大阪教育大学附属池田小学校 山本加奈先生の授業をご紹介します。〉
池田小学校の4年生は国語科で和の文化について触れます。

また茶道体験を4年生、6年生がおこない、和菓子をいただきます。
和菓子をいただく前に、学習をおこなうことで、和菓子についての興味関心を高めるとともに、和の文化に触れるひとつのきっかけとなる授業をおこないたいと思い、学習を構想しました。

茶道体験後には、和菓子職人による出前授業で和菓子を作る体験をしました。

そんな体験授業を取り入れた学習の導入となる1時間目を紹介します。

授業情報

テーマ:食と文化

教科:総合的な学習の時間

学年:小学校4年生

1.季節によって変わる富士山の羊羹を見比べる

四季によって姿をかえる羊羹(写真出典元:株式会社虎屋)

電子黒板を用いて、四季によって姿を変える実際の富士山の写真と四季の富士山を表現した羊羹(写真出典元:株式会社 虎屋)を見せます。
指導者の「これは何?」に対して

「富士山!」
「春の富士山?」
「チョコ?」
「いろいろな季節の富士山!」
「羊羹?」

と、季節によって色が変わる和菓子に興味津々の様子がうかがえます。
ここで羊羹をはじめとする和菓子について学ぶ意欲を高め、「和菓子といえば?」 と発問します。
すると、「もなか」「まんじゅう」「もち」……普段食べる和菓子を口々に言い始めます。

2.行事のときに食べる和菓子を見比べる

和菓子を比べる様子

ここから班で様々な和菓子を見比べていきます。
ここで用意したのは、花びら餅、菱餅、粽、月見団子の4つです。
これらの和菓子がのっている写真を各班に配り、それぞれの名前を班で共有します。
また、4つの和菓子が食べられる順番を1月から順に並べ替えます。

「この餅は何だろう」
「これは菱餅だから、ひなまつりに食べるものだよね」
「粽は5月に食べるもの?」
「月見団子は9月ごろだから、食べる順番は粽の次かな」

花びら餅以外は名前と食べる時期についてはすぐにわかるようでした。
答えを探すために、国語の教科書からヒントを探そうとする様子も見られました。
班で見比べた後、それぞれの名前、食べる時期を全体で共有します。

「4つの和菓子の共通点は?」

と発問することで、「○○の日に食べる!」と行事ごとに食べる和菓子があることに気づくことができます。

3.季節ごとに色やかたちが変わるきんとん、練切を見比べる

きんとん製(写真出典元:株式会社 虎屋)

次に4つのきんとんの写真を各班に渡します。
きんとんはそぼろの色を変えることで、季節を表現しています。春夏秋冬の季節に合わせて食べる順番に各班で並べ替えます。見た目から意見が割れるところです。

「ピンクがさくらを表している」
「緑色が涼しそうなイメージだから、これが夏かな」

と色に着目して季節を考えています。

ヒントカードと照らし合わせて考える様子

しかし、色だけでは判断ができないところです。
そこで菓銘(和菓子の名前)と作り手の意図を書いたヒントカードを渡します。
和菓子はひとつずつに菓銘があり、どの色で何を表現しているのか、作り手のこだわりもあります。
ヒントカードをしっかりと見ることで、作り手の意図どおりに和菓子を四季の順に並べ替えることができます。

きんとんのほかに、春夏秋冬、それぞれの時期でしか売っていない練切の写真も配布します。
練切は、その季節に見られる花や旬の食べ物が上手に表現されています。
きんとんと同様、練切は細かな職人技で作られていることがわかるものです。
実際に和菓子の大きさを想像しやすいように、実物の練切も各班に用意します。

「小さいのに細かなところまで工夫されている」
「花びらも細かい!」

と写真だけではなく和菓子の実物を見ることで、特徴をさらに見つけることができます。
各班でヒントカードも参考にしながら、四季で食べる順番に並べ替えます。

4.見比べた和菓子をもとに、和菓子の特徴をまとめる

1~3の活動で見比べてきた和菓子をもとに、
「和菓子ってどんなもの?どんな特徴がある?」と発問します。

「色鮮やか」
「季節や行事に合わせて食べられている」
「一つ一つ職人が細かく作っている」
「本物の花や食べ物のように作られている」

などと子どもたちから出ました。
また、材料が植物性由来であることも和菓子の特徴のひとつです。

5.和菓子屋さんになったつもりで和菓子のポイントを考える

4の活動でおさえた和菓子の特徴をもとに、和菓子屋さんになって各班で1つの和菓子を売る設定とし、それぞれの班で売るときのアピールポイントを考えます。
全体で2つの和菓子を用意することで、他の班が考えたアピールポイントと自分の班で考えたアピールポイントを比べられるようにします。
自由に菓銘をつけたり、1つの和菓子について特徴を考えたりすることを通して、再度和菓子の特徴をおさえることができます。

「黄色は夕焼けを表しているのかな?それともいちょうかな?」
「秋に売られているもの」
「桜の花かな?桜にしたら花びらが多いかな?」
「白いのは雪かな?」

見た目だけで様々なことを考える子どもたちの想像力や表現力にこちらが驚かされます。

6.考えたものを交流し、学習を振り返る

各班で考えたことを全体で交流し、他の班の良いところを見つけます。
また学習を振り返るとともに、次時の茶道体験のときに食べたい和菓子を書くことで、次時への学習の興味を高められるようにしました。

和菓子職人による出前授業

本時を終えた後、実際に茶道体験を行い、和菓子をいただきました。
そこでは、どんな和菓子が食べられるのか、わくわくした様子を見ることができました。

また、和菓子職人による出前授業では、目の前で見る職人技に感動の声がたくさんあがり、実際に作ることで、和菓子の細かな手作業の難しさに触れることができました。

授業の展開例

  • 5年生国語科 「和の文化を受け継ぐ -和菓子をさぐる」(東京書籍)の学習を通して、和菓子についての理解を深める
  • 6年生家庭科 和食文化の学習から、和菓子のことへとつなげる
  • 特別活動   給食でかしわもちがでたことをきっかけに、和菓子への興味関心を深める

山本 加奈(やまもと かな)

大阪教育大学附属池田小学校 栄養教諭

新しい食との出合いを日々の給食で提供できるよう、また食と食に関わる人々との出会いの場を食に関する指導で設定できるよう、意識して指導を行っています。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

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