2024.03.07
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石臼で抹茶蒸しケーキを作ろう 【食と文化】

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイデア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子どもたちの興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第203回目の単元は「石臼で抹茶蒸しケーキを作ろう」です。

授業情報

テーマ:食と文化

石臼を触ったことはありますか。石臼はとっても重くて、ひんやりしています。
石臼を使って加工品を作ったことはありますか。石臼で食べ物を加工することは環境や地域の生活に目を向けるきっかけになります。
今回は、石臼を使って、米粉をつくり、抹茶をつくってみましょう。
大学の「環境教育論」の授業で石臼を使って、米粉を作り、抹茶を作った事例から紹介します。

1 米粉を作る

洗ったお米を乾燥させます。今回は5日ほど乾燥させました。石臼にお米を入れて、挽いていきます。挽くときは反時計回りです。挽く時のポイントは、ゆっくり挽くことです。
学生は石臼に触れるのはもちろんのこと、挽くのも初めてで、反時計回りに回すことを知って驚いていました。

ゆっくり挽かないと米がつぶれません。また、摩擦で熱が発生すると、風味が落ちてしまいます。ゴリゴリつぶれる音が聞こえてくると良い感じです。しばらく挽いていくと、少しつぶれたお米が出てきて、徐々にお米のにおいがしてきました。
しかし、回すスピードが速かったため、まだまだ粒の大きさはまだらで粉にはなっていません。石臼に手を近づけると、少し温かく感じました。熱が発生していることが分かりました。粒が大きいと食べるときにどう感じると思いますか。そうですよね、じゃりじゃりして口当たりがよくありません。
そこで、もう一度挽きました。二回目は、一回目の反省を生かしてとにかくゆっくり挽きました。すると、一回目よりも細かく白い粉が出てきました。中からぽろぽろあふれ出てくる感じがすごくきれいでした。粒が小さくなると、白くてきれいな粉になるのはなぜでしょうね。

昔は、主におばあさんが石臼を使って食べ物を加工していたようです。それは、若者が仕事に出ていたということもあるでしょう。それに、力持ちの若者がひくと、スピードが速くなってしまい粒もつぶれず風味も少ないものができあがったのでしょう。おばあさんが石臼の達人だったのでしょうね。

2 抹茶を作る

抹茶も石臼で作ることができます。

(1)てん茶を石臼で挽く

石臼にてん茶を入れて、反時計回りに回します。
ゆっくり回すと粒が小さくなり、香りが強くなりました。

(2)石臼の後ろについている抹茶をハケではらいかき集める

抹茶の粒がとても細かく、ハケではらうと粉が舞ってしまうため、慎重にゆっくり払います。

(3)粒が大きい抹茶を茶こしでこす

ほとんどの粒は一度で細かくなりますが、より口当たりをよくするためにこします。

(4)茶こしで残った抹茶をもう一度石臼で挽く

抹茶の量が少ないと細かくならず、石臼からなかなか出てきません。

(5) 挽ききれなかった抹茶を再度ハケで集める

石臼を上げると、抹茶は中央部分に残っていました。

(6)牛乳で割って飲んでみる

最後に、残った大きい粒の抹茶を牛乳に入れ、混ぜて飲んでみました。 つぶつぶ感が残り、苦味を強く感じました。
牛乳を入れ過ぎると、抹茶の風味はあまり感じられませんが、後味に抹茶の風味が残ります。
香り、色、手応えで抹茶を楽しめるのが石臼の良さです。

蒸しパンを作る日まで、2週にわたり90分間ずつかけて米粉と抹茶を挽きました。計3時間以上費やし材料を揃えていく中で、スーパーなどで何でも手に入る、現代社会のありがたみを感じました。薄力粉や砂糖など、もとの形を一度も見たことがない食材が、この世に溢れていることに気がつきました。食のルーツをたどることは、食を大切にする事につながるとこの授業を通して実感しました。
また、今回抹茶のもとである甜茶は、宇治の栄養教諭の先生から教えていただいた、京都府京田辺市のものです。甜茶もすでに加工された物ではありますが、カカオを見たときのようでわくわくしました。

初めは戸惑っていた様子でしたが、石臼を使って米や抹茶を引くときのゆったりしたリズム、手ごたえ、そしてそこから生まれる豊かな香りに触れた学生は何度も何度も楽しみながら石臼をかわるがわる挽いていたのが印象的でした。
みなさんの学校やご家庭でも石臼をお持ちなら試されてはいかがでしょうか?

3 抹茶蒸しケーキを作る

(1)米粉、抹茶を取り出す

米粉はラップをかけたトレーから取り出す。抹茶は保存袋から取り出す。

(2)鍋でお湯を沸騰させる

ステンレス蒸し器が浸からないくらいの量の水を鍋に入れ、沸騰させる。

(3)まぜて、生地をつくる

ボールに米粉、抹茶、砂糖、ベーキングパウダーを入れて混ぜる。そこに豆乳と油を入れ、粉っぽさが少し残るまで混ぜる。

(4)生地をカップに入れる

生地をシリコンカップの八分目まで入れる。

(5)蒸す

ステンレス蒸し器に、カップをのせ、鍋に入れる。15分ほど蒸して、竹串に生地がつかなければ完成。

◎蒸しパンの材料(20個分)

米粉  150g
抹茶   10g
砂糖   10g
豆乳   75g
ベーキングパウダー 10g
油       10g

授業の展開例

石臼で加工できる食べ物にはどんな物があるでしょうか。
今回は、米粉と抹茶をひいてみました。
調べてみましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

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