2024.01.17
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

岩津ねぎぽんせんをプログラミングでアピールしよう!~IPP(岩津ねぎぽんせんプログラミング)プロジェクト~ 【食とプログラミング】[小学3年生・総合的な学習の時間]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイデア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子どもたちの興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第202回目の単元は兵庫県朝来市立中川小学校の「岩津ねぎぽんせんをプログラミングでアピールしよう!」です。

授業情報

テーマ:食とプログラミング

教科:総合的な学習の時間

学年:小学3年生

指導計画

食育×プログラミング×ふるさと学習(地域学習)の実践です。兵庫県朝来市についての学習、地域の特産である岩津ねぎの栽培体験や調べ学習、校区にあるぽんせん工場の見学や学習会、プログラミングの学習などを経て、IPP(岩津ねぎぽんせんプログラミング)プロジェクトとして、Scratch3.0を使ってプログラミングアニメーションを作りました。テキストマイニングツールや発表ボードを使って、プログラミングアニメーションをブラッシュアップしていきました。

朝来市、岩津ねぎについて知ろう(社会科・総合的な学習の時間)

岩津ねぎの収穫

社会科で朝来市について学習する際、校区でも多く栽培されている岩津ねぎについて学習した。岩津ねぎが作られ始めた由来や、栽培方法、味の特徴なども調べ、タブレットでまとめた。その際に、実際に栽培してみたいと子どもたちからの意見もあり、岩津ねぎの栽培体験を実施した。
6月に物部営農組合の方々と朝来市地域振興課にお世話になり、岩津ねぎの植え付け体験を行なった。岩津ねぎの特徴や植え付け方、お世話の仕方、おすすめの料理等も教えていただいた。子どもたちは小さな岩津ねぎの苗を見て「ストローみたいな苗」と言っていた。苗を植える間隔や土のかぶせ方なども教えてもらいながら体験した。
11月には、物部営農組合の方々、朝来市地域振興課にお世話になり、岩津ねぎ収穫と調理体験を行った。6月に植え付けた岩津ねぎの苗は、除草や土寄せなどを営農組合の方々にしていただきながらぐんぐん育ち、立派な岩津ねぎになっていた。ねぎが折れてしまわないように白い部分を持って丁寧に抜いた。とても大きく太く立派な岩津ねぎに子どもたちも笑顔になった。取れたねぎは3年生だけでなく、全校生にも少しだけおすそ分けできた。またさらに残った分は岩津ねぎぽんせんに入れてもらえることになり、製造される岩津ねぎぽんせんに入れられた。
調理体験では岩津ねぎ入りお好み焼きを作った。岩津ねぎを刻んで粉とだし、卵を混ぜたものに入れ、天かすやウインナーも入れてフライパンで焼いていった。とてもおいしいお好み焼きができ、「また家で作ろう!」「こんなおいしいお好み焼き食べたことがない」と口々に言っていた。

校区のぽんせん工場を見学しよう(社会科・総合的な学習の時間)

フジッコ和田山工場見学

社会科の学習として校区にあるぽんせん工場のマルサ製菓、おまめさんで有名なフジッコの和田山工場の2か所を見学した。
安心安全な食べ物を提供するために、衛生管理に気を付けたり、検査や検品をするようにしていることを学習することができた。
また、朝来の豊かな自然を生かして、商品づくりがされていた。

マルサ製菓工場見学

ぽんせんは県内で製造された小麦、県内産のしょうゆや塩、黒豆、朝来市産の岩津ネギを使用するなど、まさに地産地消のぽんせんが作られていた。
11月にもマルサ製菓の方に来校いただき、岩津ねぎぽんせんについて再度教えていただき後述のIPPプロジェクトへつなげていくことができた。

岩津ねぎぽんせんについて知り、岩津ねぎぽんせんのキャラクターを作ろう(図工科・総合的な学習の時間)

社会科の学習で、朝来市の学習、岩津ねぎの学習、そして校区で製造されているぽんせんについて学習した子どもたちは、岩津ねぎぽんせんが地域の自慢であると感じ、この地域の特産を使ったお菓子をさらにアピールし、多くの人に知ってもらいたいと考えるようになった。そこで学習したプログラミングの力を用いてアピールするアニメーションを作ることとした。その為に、物部営農組合の方やマルサ製菓の方にインタビューして、岩津ねぎ、ぽんせん、そして岩津ねぎぽんせんをアピールするための素材を集めた。さらに図工科の時間を使って、岩津ねぎぽんせんやそれに関連するキャラクターを作った。このキャラクターも可愛さや親しみやすさだけでなく、岩津ねぎぽんせんの特徴や味など、伝えたいことがより伝わりやすくなるという視点の下、作成していった。

岩津ねぎぽんせんのアピールアニメーションをプログラミングで作ろう

IPPプロジェクトとして、朝来市、岩津ねぎ、ぽんせん、岩津ねぎぽんせんの4つのグループに分かれてアピールアニメーションを作ることにした。プログラミングの作成にあたっては、テキストマイニングツールを用いてアピールポイントの整理も行った。

【朝来市のアピールポイント】・自然豊か ・岩津ねぎ ・竹田城跡 ・生野銀山 ・円山川 ・朝来みどり など

【岩津ねぎのアピールポイント】・白ネギと青ネギの中間種 ・白い部分が30cm以上 ・とろとろで甘い ・天ぷら

【ぽんせんのアピールポイント】・砂糖不使用 ・地元の素材を使用 ・昔からある ・岩津ねぎぽんせん ・無添加

この時間までに総合的な学習の時間を使ってプログラミングの基礎や仕組みについて学習した。まずはチュートリアル型のプログラミングである「Hour of code」を用いてプログラミングの基礎を学び、Scratch3.0でお話作りを行うなどした。

次にプログラミングをブラッシュアップしていくためのポイントを確認し、課題を明確化していった。4つのチームが作ったアニメーション(朝来市、岩津ねぎ、ぽんせん、岩津ねぎぽんせん)を確認し、アドバイスのポイント(内容面→写真や絵、時間、具体的かどうかなど)(プログラミング面→BGMや効果音、セリフのタイミングや長さ、キャラの動きや表示時間が見やすいかどうか)について確認した。そして各アニメーションの改善点を話し合った。自分のチームのプログラムと比べたりしながら良いところ、改善点を伝え合った。(発表ボードにKJ法で書き込み情報共有する)友だちから出た意見を整理し、自分達のブラッシュアップの方向性を話し合った。

話し合った改善点をプログラミングではどう改善していくか試行錯誤しながらアニメーションをブラッシュアップしていき、マルサ製菓の担当者の方のアドバイスも受けながらプログラミングを完成させた。ブラッシュアップ後、完成したアニメーションは岩津ねぎぽんせんのパッケージにQRコードで掲載され、実際の商品として流通し、多くの人にアニメーションを見てもらうことができた。

丹波篠山市立城南小学校3年生と、地域の伝統野菜、丹波の黒大豆と岩津ねぎの発表交流をしよう。

丹波篠山市立城南小学校3年生のみなさんとZOOMを用いてオンラインで交流会を行った。本校も城南小学校も食育を研究し、本年度の研究発表会を行った縁で実現した。半年間取り組んできたIPP(岩津ねぎぽんせんプロジェクト)の軌跡や岩津ねぎについてクイズやプレゼンを交えながら発表を行った。城南小学校からは丹波地方の特産である黒大豆を紹介してもらった。学校紹介、岩津ねぎクイズ、IPPのスライドショー、IPPのプログラミング紹介を行い、岩津ねぎやぽんせんについて上手に伝えることができた。岩津ねぎやぽんせんの良さ、特産品として特徴などもしっかりと発表できた。城南小学校からは黒豆の特徴や生産工程、黒豆を使った料理などを紹介してもらった。発表の後、黒豆の料理について質問したり、黒豆の館について質問や感想をしっかり述べたりして交流することができた。

岩津ねぎぽんせんのポップ(ポップとパッケージにQRコードとIPPプロジェクトの概要について掲載された)

IPP(岩津ねぎ・ぽんせん・プログラミングプロジェクト)

​​​​​​​中川小学校3年生の16名はマルサ製菓の工場へ見学に行き、ぽんせんのことを学習しました。その中で自分たちも地域の方にお世話になりながら育てている「岩津ねぎ」を使ったぽんせんがあることを知りました。そしてIPPプロジェクト(岩津ねぎぽんせんプログラミングプロジェクト)として、朝来市、岩津ねぎ、ぽんせん、岩津ねぎぽんせんの4つをアピールするアニメーションを作ることにしました。プログラミング学習で学んだScratch3.0を使って、4つのグループがプログラミングでアニメーションを作りました。朝来市の学習、マルサ製菓の工場見学や学習会、岩津ねぎの栽培体験や調べ学習、プログラミング学習等の成果と、子どもたちの頑張りが詰まった4つの動画をお楽しみください!

朝来市アピール動画はこちら

岩津ねぎアピール動画はこちら

ぽんせんアピール動画はこちら

岩津ねぎぽんせんアピール動画はこちら

授業の展開例

・社会科 都道府県や市町村の特産品や伝統的な産業、地場産業などを調べよう

・総合的な学習の時間 自分たちの市町村のPRアニメーションをプログラミングしよう。

・家庭科 伝統野菜を用いた郷土料理を作り、レシピを伝えよう。

川口 純弥

朝来市立中川小学校勤務
子どもたちの「知りたい、学びたい、伝えたい!」そんな思いを大切にして、教科横断的にプログラミングを用いた、プロジェクト型学習を行っています。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop