2017.05.17
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燃えない紙コップ!? 【食と科学】[小4~6・科学クラブ]

燃えない紙コップ!?

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第126回目の単元は「燃えない紙コップ!?」です。

食育と授業:燃えない紙コップ!? イラスト

火であぶるとすぐに燃えてしまう紙コップ。ですが、紙コップに水を入れるだけで同じように火であぶっても燃えません。そこで思い出すのが、旅館の食事などで使われる固形燃料を用いた卓上コンロと紙鍋を使った料理。火をつけているのに燃えない紙鍋の秘密を探るべく、科学クラブで取り上げた1時間の事例を紹介します。

用意するもの

実験にあたり、次のものを用意します。

○紙コップ
○ガスバーナー、またはアルコールランプ
○三脚、金網
○マッチ
○燃えかす入れ(空き缶や缶詰のカラに水を入れたもの)
○濡れた雑巾(万が一、火が上がった場合に被せるもの)

実験の方法

紙コップが燃えないか、心配する子ども達

紙コップが燃えないか、心配する子ども達

次の手順で実験を行います。

(1) 紙コップに水を入れ、金網の上に置き、火であぶります。
子ども達は、
「紙コップが燃える~!」
と心配そうに言っています。

(2) 水はだんだん温度が上がって、ほぼ100℃に達します。それでも、紙コップの一部が焦げただけで、燃えていません。

(3) 火であぶる前にウズラの卵を入れておくと、ゆで卵ができあがります。

実験のコツと注意すること

あまり火を強くすると、水に接していない部分の紙が焦げたり、燃え出したりすることもあるので注意が必要です。弱火で時間をかければ紙コップの一部は温度が上がって多少焦げますが、やがてブクブクと泡が出てきて沸騰します。

特に、以下の点に注意しましょう。

○燃えやすいものが周りにないか確認してから実験をします。
○火であぶった紙コップは発火しないように水につけてから捨てるようにします。
○水がなくなるまで火であぶると紙コップは燃えてしまうので気をつけます。

なぜ燃えないの

物が燃えるための条件は、燃料と酸素と熱の三つが揃っていることです。この実験の場合、燃料は燃えるものとして紙コップがあります。酸素は空気中にあります。しかし、熱は紙コップの中にある水が吸収してしまうため足りません。

物質にはそれぞれ「発火点」という火がつく温度が決まっています。木材は250~260℃、木炭は250~300℃など、物質によって発火点は異なります。紙は簡単に燃えるイメージがありますが、発火点は意外と高く、450℃ほどです。つまり紙は450℃以上になると発火しますが、それ以下の温度で自然発火することはないのです。

水は温め続けても100℃以上にはならないので、紙コップは燃えないのです。

調理に利用する

紙コップで水を沸かして作ったウズラのゆで卵

紙コップで水を沸かして作ったウズラのゆで卵

この紙コップや紙皿に水を入れて火であぶっても紙は燃えないという原理を利用した紙鍋というものがあります。これも、だしを入れて火にかけている間は、紙鍋は燃えません。

また、丈夫な和紙である奉書紙を濡らしてスズキや甘鯛など白身の魚を包み、天火などで蒸し焼きにした奉書焼という料理もあります。奉書紙はある程度焦げるものの完全に燃えることはありません。

授業の展開例
  • 調理には、火が欠かせません。食物を炊く、煮る等、火を使っての調理にはどんなものがあるでしょうか? 調べてみましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学文学部教育学科 専任講師 小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

監修・文:藤本勇二/イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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