2017.03.15
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感謝して食べよう~きゅうしょくをつくってくれてありがとう~ 【食と暮らし】[小1・学活]

感謝して食べよう~きゅうしょくをつくってくれてありがとう~

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第124回目の単元は「感謝して食べよう」です。

小学校の1年生にとっては、給食に関わる指導は他の学年以上に大切です。これから続く学校給食を楽しめるようにする手立てが必要となります。今回は、調理員さんを招いて調理器具の体験を取り入れることにより、調理の大変さや衛生・安全にも気を配っていることに目を向けさせます。

また、給食を作っている時の調理員さんの思いを話してもらうことで、給食のおいしさの中には、作って下さる方の思いが込められていることに気づかせます。そして、自分ができる「ありがとう」の気持ちを表す方法を考えさせることで、実践へとつなげます。給食に関わる人々に感謝の気持ちを持つことを目指した1時間の授業です。

調理員さんの仕事について考える

授業の冒頭、担任の教師から今日の給食についての話があります。
「これは、今日の給食の献立です。牛乳、たこ飯、焼き魚は『サバ』です。それに、ごぼうサラダ、すまし汁です。今日は『半夏生』という日です。『タコを食べて元気に夏を過ごそう』ということで、たこ飯になっています」
今日の給食献立表を提示することで、子ども達からは、
「おいしそう!」
「たこ飯、早く食べたい!」
の声が上がり、今後の活動に興味を持たせることができました。
「このおいしい給食は、どこからきていますか?」
の問いかけには、
「給食センター」
と、すぐさま答える子ども達。1学期に給食センターの見学をしていることが本時の学習に生きています。
「今日は、この給食のおいしさの『ひみつ』を見つけましょう」
と授業のめあてを確認します。

給食センター見学時の写真を見て、調理員の仕事を説明する

給食センター見学時の写真を見て、調理員の仕事を説明する

次に、調理の写真を手掛かりに、給食センターの見学で見て来たことを想い起こさせ、調理員さんの仕事について発表させます。子ども達からは、
「大きなお釜で作っている」
「スパテラを使って混ぜている」
「ピンク色のエプロンをしていた」
などの見学を基にした意見がどんどん出てきます。

スパテラやしゃくを持ってみる

スパテラとしゃくを持った調理員が登場!

スパテラとしゃくを持った調理員が登場!

今度は、調理員さんがスパテラとしゃくを持って登場します。
「今日の献立は、すまし汁なので、スパテラでこうやって混ぜます。とっても重くて大変ですが、こうやって混ぜているのです。今日も給食を作ってから来ました」
と調理員さんが説明します。


続いて、模型の大きな釜を示して、
「これはお釜です。このお釜は、給食センターのお釜と同じ大きさで、同じ深さです」
と話します。担任の教師から
「お釜の高さは調理員さんの腰の所ぐらいだね。皆もここに来てスパテラで混ぜてみましょう」
の声があり、子ども達は大喜びです。一生懸命にスパテラを使います。
「スパテラは、持ったら重たかった」
「お釜が深かった」
の感想が出てきます。

2600gの米を入れたしゃくを持ってみる

2600gの米を入れたしゃくを持ってみる

今度は、調理員さんがお釜の模型を使って
「できたお汁は、しゃくを使って分けます。1年生は、13人ですね。13人なら、このしゃくに1杯分くらいです。しゃくは、こうやって使っています。腕で支えて、こぼれないようにそうっと入れます」
と実演を交えての説明があります。子ども達からは
「(自分の)顔くらいある」
と自然につぶやきが生まれます。さらに、調理員さんがしゃくの中に2600gの米の袋を入れ、
「これでいつも調理員さんが入れているのと同じ重さになりましたよ」
と話した後、子ども達も早速持ってみます。子ども達からは、
「すごく重いです」
「手が折れるくらい重い」
「大変だ」
の声が続きます。実物と同じ大きさのお釜をスパテラで混ぜたり、調理時と同じ重さのしゃくを持たせたりする体験を通して、たくさん作っていることや仕事の大変さに気づかせることができました。

身支度や服装について考える

次に、調理員さんが帽子やエプロンを見せ、身支度や作業ごとにエプロンの色を変えている理由などを話します。
「まず、ネットの帽子を被ります。髪の毛が出ないようにこうして入れて、次に、もう一つ上から帽子を被ります。耳も隠して、それからマスクをします」
子ども達は
「プールと同じだ」
と、つぶやいています。
「最後にエプロンを着けます。エプロンにも秘密があります。この裾のネットをズボンの中に入れてしまいます。なぜ入れると思いますか? それは、服に付いたごみを服の中で止めているのです。仕上げに、ローラーでコロコロします」。

担任の教師が、
「どうして、帽子やマスクやエプロンをするのでしょう?」
と聞くと、
「ばい菌が入らないようにだと思います」
「体のばい菌がご飯に付かないようにしています」
「汗とか髪の毛が付かないようにです」
「髪の毛が入ったらだめだから。お汁とかに」
と子ども達は次々に発表します。
「そうですね。エプロンにも気をつけています。ピンクは、お料理をする人。水色は、野菜を洗ったりする人。黄色は、卵を割る人。時には、600個割ることがあります。このピンクに透明のエプロンは、お肉の人のエプロンです。色んな菌が付かないように違う色にして分けているのです」。

続いて、調理員さんから「いつもどんなことを思いながら給食を作っているか」のお話を聞きます。
「皆さんが『おいしい』と言ってくれるように作っています。給食センターに戻ってきた食缶を見て、空っぽになっていると、とても嬉しいです。食器にもご飯粒やおかずが付いていなかったら『おいしかったんだな』と、思います。明日もまた頑張ろうと力が湧いてきます」
と給食作りの思いや、遣り甲斐を語ってくれました。

「ありがとう」の気持ちを表す

担任の教師から、
「調理員さんのお話を聞いてどう思いましたか?」
と問われると、子ども達は次のように答えました。

「色々なことがわかって嬉しかった」
「いつも頑張ってくれているのがわかった」
「きれいに食べたら嬉しいって言ってた」
「すごかったです。色んなことをやっていて」
「エプロンの色が多くてびっくりしました。透明のもあるってわかった」
「色々教えてくれてありがとうございます」
「ありがとうございました」

最後に、
「調理員さんに『ありがとう』って伝えるために何かできることはありませんか? 考えてみましょう」
と聞くと次のような発表がありました。

「きれいに食べる」
「残さずにきれいに食べると、『ありがとう』ってわかる」
「『いつもおいしい給食をありがとう』って言う」
「いつも残さないで食べると、給食センターの人がすごく洗わなくて済む。金ピカに食べる」
「『また、おいしい給食作ってね』って、言う」
「『いつも作ってくれてありがとう』って、言う」
「いつもご飯粒とかを残さないで食べていると嬉しいと思います。ご飯粒とか付いていると洗う時困るから」
「『気をつけて毎日作ってくれてありがとう』って、言う」
「エプロンやマスクや帽子をしていることに、ありがとう」
「きれいに食べる。金ピカに」

授業後に、子ども達から給食センターの調理員さんに送った手紙を紹介します。

■○○さんへ、がっこうにきてくれてありがとう。わたしは、しゃくをもったらおもかったので、たいへんだとわかりました。わたしは、ごはんつぶものこさずたべます。

■ばいきんがはいるから、エプロンをちがういろにしているのがわかりました。4こもあってびっくりしました。ぼくは、にがてなやさいもがんばってたべます。

■しゃくがおもたかったです。おかまは、おおきかったです。たいへんだとわかりました。おいしいきゅうしょくをいっぱいつくってくれてありがとうございます。

■スパテラをもったとき、おもたかったです。いつもおもたいのに、がんばってくれてありがとうございます。わたしは、のこさずにたくさんたべるのをがんばります。

授業の展開例
  • 給食調理に使うエプロンを通じて衛生的な調理について学ぶ(家庭科)

水島 廣子(みずしま ひろこ)

兵庫県佐用郡佐用町立三日月小学校 主幹教諭
27、28年度、地域の特色を生かした食育推進事業(食育推進校指定)を受けて子ども達と食について各教科や特別活動などで深めてきました。その中には青色マン、赤色マン、黄色マンなどで栄養素を勉強したり、トウモロコシを栽培して直接食べたりして、様々な方向から「食」にアプローチしました。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学文学部教育学科 専任講師 小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

監修:藤本勇二/文・水島 廣子/イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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