2017.01.18
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味噌汁で健康づくりを始めよう! 朝ごはんに"いっぱい"の味噌汁を! 【食と栄養】[中学生・特別活動]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第122回目の単元は「味噌汁で健康づくりを始めよう! 朝ごはんに"いっぱい"の味噌汁を!」です。

食育と授業:味噌汁で健康づくりを始めよう! 朝ごはんに

子どもも大人も時間に追われ、時間をかけて食事を準備し、家族団らんの中で味わって食べることが以前と比べて少なくなっているようです。朝ごはんは特にその傾向が強く、バランスが十分整っている朝食を摂っている子どもは半数にも満たず、ごはんとふりかけ、パンだけ、という子も珍しくありません。

そこで、朝ごはん内容の充実を図るため、味噌汁を軸にした取組を始めることにしました。味噌汁は季節の野菜を多く取り入れて副菜としての一品になる、今までの朝ごはんに実だくさんの味噌汁を添えることで充実した内容になる、地元の野菜を使ったり、味噌を使ったりすることで、郷土愛も育むことができるのではと考えました。

ここでは、日頃の給食献立での取組や、家庭で取り組んだ夏休みの課題、そして秋の公民館祭りへと発展して地域へ広めていった事例について紹介します。

様々な味噌汁を味わう

給食の主食は月に1回程度、麺やパンの日がある以外は米飯です。そのことを利用し、週5日の米飯と味噌汁を組み合わせ、様々な味噌を使った味噌汁を1週間通して味わう、「みそ汁週間」を平成27年度に実施しました。

第1回目は松江市各地で作られた味噌を使って、「松江市のみそ汁週間」、第2回目は町内の小学生が考えた「たまゆっこのみそ汁週間」、第3回目は島根県各地で作られた味噌を使った「島根県のみそ汁週間」、第4回目は全国各地で作られた味噌を使った「全国のみそ汁週間」でした。

生徒は毎日違う味噌汁を味わい、味噌への興味を膨らませ、4回通して登場した地元の味噌への愛着を高めました。

朝ごはん作りの課題

平成28年度は、全校生徒の夏休みの課題として、朝ごはん作りに取り組みました。生徒は1学期の給食時の指導では朝ごはんの大切さや栄養のバランス、内容の整え方などを学びながら、自分の朝ごはんを振り返ります。彼らは小学校の時から夏休みは毎年、おにぎり作り、味噌汁作りなどを経験していますが、1食分の献立を作成し家庭で調理するという経験を、ほとんどしたことがありません。

そこで、1年生は学級活動で栄養のバランスについて考え、夏休みの課題につながるように献立作成について学びます。

2、3年生は給食時の指導で主食、主菜、副菜の整え方を学び、今までの経験を生かしたり、自分で調べたりしながら、自分のため、家族のための朝ごはん作りに挑戦しました。

テーマ別朝ごはんを考えよう

班ごとに、テーマに合わせた朝ごはんを考える

班ごとに、テーマに合わせた朝ごはんを考える

1年生の朝ごはん学級活動では、それぞれの班ごとに、実物大の料理写真がカードになった「実物大・そのまんま料理カード」(群羊社)を使い、それらを組み合わせて朝ごはんを考えました。

「冷凍庫にあるもので朝ごはん」、「近所のコンビニで朝ごはん」、「和食で朝ごはん」、「洋食で朝ごはん」、「喫茶店で朝ごはん」といった、自分達の身近な食の場面を想定しながら朝ごはんを考えます。そして、色々な料理カードの中から、場面に合わせた料理の組み合わせを考えます。

生徒は
「味噌汁は入れようよ」
「インスタントの味噌汁に何か入れたらいいんじゃない?」
など、活発に意見を交わし、朝ごはんの内容について工夫を加え、考えを深めていきました。

夏休みの課題から10月の「味噌汁週間」

中華風味噌汁/夏野菜豚汁/ナスの味噌汁/実だくさん汁/白菜と豆腐の味噌汁

全校生徒で取り組んだ夏休みの課題、「朝ごはん作りに挑戦」の中から、味噌汁を5品選び、10月の給食献立に取り入れました。夏休みの取組であったため、夏野菜を多く使ったものが多かったです。その中でも、これら5品は特色があり、5日間、楽しんで食べることができました。

給食だよりや給食時間の放送で紹介し、同じ給食の献立を提供している町内の小学校でも
「○○さんのお兄さんの考えた味噌汁だ」
などと、教室で話題になることも多かったそうです。

中学校では、友達の考えた味噌汁への興味や期待をさらに高めようと、給食室サンプルケース横にポスターを貼り出し、皆で感想を言い合いました。

公民館文化祭「味噌汁コンテスト」

地元の公民館文化祭で「味噌汁コンテスト」を実施

地元の公民館文化祭で「味噌汁コンテスト」を実施

毎年10月の最終土曜日・日曜日に開催される公民館文化祭では、中学校3年生が模擬店を出店し、町内の保育園、幼稚園、小学校、中学校の園児、児童、生徒が歌や演技を発表します。保護者や町民が集まり、発表を観たり、模擬店で買い物したりして、楽しみます。

今年は公民館一角で、前述の「10月給食味噌汁週間」で出した5品の中から、さらに保健体育委員が選んだ3品「中華風味噌汁」「夏野菜豚汁」「実だくさん汁」を試食し、投票してもらうという、「味噌汁コンテスト」を実施しました。

保健体育委員がトレイに味噌汁の入った椀を3種類載せ、来場者に配りました。試食した人達には
「朝ごはんに作ってみたい! 食べてみたい! 味噌汁を一つ選んでください。決め手となったポイント、感想を書いてください」
と書かれた用紙に感想を記入してもらい、それぞれの投票箱に入れてもらいました(1食=3品1セットとして80食提供)。来場者の感想は次の通りです。

「3種飲み比べ手法が面白い! とっても良いことをされました。すごい、すごい!」
「トマトと味噌が合っていて、おいしかった。トマトはスープのイメージだったけど、とても合っていた」
「懐かしい給食の味がしました」
「どの味噌汁もおいしかったのですが、朝食で食べるなら、カボチャの入った優しい味の味噌汁がいいなと思いました。おいしかったです」
「どれもおいしくて、食べ比べるのが楽しかったです。ごちそうさまでした」
「時間のない時に、色々な食品が摂れるので味噌汁っていいなあと思いました」
「ニンジンをモヤシかレタスにすると、3分で作られる。時短できそう!」

味噌汁コンテスト1位の味噌汁は・・・

文化祭2日目に味噌汁コンテストの結果発表をしました。1位は「実だくさん汁」でした。今月(2017年1月)の学校給食週間中の献立に、再度「実だくさん汁」を取り入れ、 味噌汁週間を実施する予定です。町内二つの小学校児童が夏休みの課題で取り組んだ味噌汁作りからも3品選出し、地域の特産品であるシジミを入れたシジミ汁を加えて5日間、日替わりで味噌汁を味わいます。給食だよりや昼の放送で取組について知らせ、給食時間中に担任からの指導を加えて、実だくさんの味噌汁を朝ごはんに取り入れ、バランスの良い朝ごはんを食べようとする意欲を高めたいと考えています。

子ども達は、起床から家を出るまでの時間がなく、忙しく朝ごはんを食べて登校していることが多いのでは、と思います。中学校での取組は、小学校の時に学んできた食育を一歩進め、自分達で朝ごはんを考えながら自分自身を振り返り、朝ごはんを準備できる力をつけることをねらいました。

また、味噌汁週間などの給食を使った取組では、子どもを通して家庭への波及効果もあり、
「子どもから味噌汁週間の話を聞き、家に味噌を2種類揃えるようになりました」
という意見が届くこともありました。「日替わり味噌汁」「味噌汁3種食べ比べ」など、一つの食品で違った味を楽しむことは、食品への興味を深めると共に、地域で作られている味噌への愛着を感じる機会になったようです。とりわけ、公民館で実施した「味噌汁3種食べ比べ」は、地域住民に向かって、味噌汁のおいしさや工夫次第でバラエティーに富んだ料理になるということを発信できたと思います。

朝ごはんの内容を充実させるために、味噌汁を使った取組を展開してきました。今後も季節の野菜を使って、手軽に作ることができる味噌汁の魅力を子ども達に伝え、家庭につなげ、地域に広げていきたいと考えています。

授業の展開例
  • 目覚まし朝ごはんを考えよう!

福田 環(ふくだ たまき)

島根県松江市立玉湯小学校 栄養教諭
「食べる」ことの大切さを日々、感じています。どの子どもも、「食べる」幸せを感じ、楽しんでほしいと思いながら、給食の献立をたて、一人一人の小さな成長を喜びとしています。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

監修:藤本勇二/文・福田 環/イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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