2016.09.21
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ビタミンCマジック! 【食と科学】[小3以上・理科]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第118回目の単元は「ビタミンCマジック!」です。

ペットボトルに入ったお茶を振ると次第に色が消えていきます。最後には、お茶の色が消えて透明になってしまいました――。

このマジックには、ビタミンCが関係しています。果物や野菜に含まれているビタミンCは、人間が生きていくのに欠かせない大切な栄養素の一つ。このビタミンCが食品に含まれているかどうか、ポビドンヨード主成分のうがい薬を使って調べることができるのです。科学クラブや自由研究で取り上げることができるマジックを紹介しましょう。

用意するもの

用意するもの

用意するもの

次のものを揃えてください。

○ポビドンヨード主成分のうがい薬(ヨウ素の入っているもの)
○ビタミンC入りの菓子(レモン味のキャンディ等、成分表示でビタミンCを多く配合するもの)
○両面テープ
○ペットボトル
○ピンセット

蓋にビタミンC入り菓子を貼り付ける

ビタミンC入り菓子をペットボトルの蓋の内側に貼り付ける

ビタミンC入り菓子をペットボトルの蓋の内側に貼り付ける

ペットボトルの蓋の内側に、上の写真のように両面テープでビタミンC入り菓子を貼り付けます。ピンセットを使って、両面テープの剥離紙を取るようにするとうまくいきます。形がタブレット型の菓子なら、蓋の裏にぴったり入ります。

うがい薬でお茶に似た色の水溶液を作る

うがい薬を垂らす

うがい薬を垂らす

ペットボトルに水を入れて、そこにうがい薬を入れていきます。2、3滴垂らしてはよく振って色を確認します。お茶のような色になるまでうがい薬を入れていきます。

蓋の裏から菓子が落ちないよう丁寧に閉める

蓋の裏から菓子が落ちないよう丁寧に閉める

色が完成したらゆっくりと蓋をします。この時、蓋の裏に貼り付けた菓子が落ちないように丁寧に蓋を閉めます。

振ってみると

ペットボトルを振ると・・・

ペットボトルを振ると・・・↓

ペットボトルを上下に振ります。次第にお茶色が消えていきます。

お茶色が消えていく

お茶色が消えていく

ペットボトルの蓋の裏に貼ってあったビタミンC入り菓子がお茶の色を消したことを説明した後、子ども達の目の前で同じ菓子をお茶色の水に入れて色が消える様子を確かめます。この時、菓子を細かく砕けば砕くほど、表面積が大きくなり、ヨウ素と反応しやすくなって、透明になる時間が短くなることを紹介します。

身の回りにあるビタミンC

この実験の原理を使うと、色々な野菜や果物、飲料の中に、どのくらいビタミンC が含まれているかを調べることができます。うがい薬溶液に何滴垂らしたら溶液の色が消えるかによって、ビタミンCの含有量を比べられるのです。

例えば、レモンの絞り汁や緑茶を垂らしても色が消えていきます。ブロッコリーなどの野菜は、おろし金ですり下ろしてから絞り汁を垂らすといいでしょう。市販のジュースも使えます。このように調べたい試料がうがい薬溶液の色を消すまで何滴必要だったかを数えれば、その試料にどのくらいのビタミンC が含まれていたのかを知ることができます。

なぜかというと

なぜ色が消えるのでしょうか? ポビドンヨード主成分のうがい薬にはヨウ素という物質が入っています。ヨウ素は非常に強い酸化剤として知られています。一方、レモン汁に含まれるビタミンC(アスコルビン酸)は強い還元剤として知られています。一つの溶液の中に、酸化剤と還元剤が存在するとこの二つは反応します。 ヨウ素がビタミンC と反応すると、ヨウ素の構造は無色透明のヨウ化水素へと変化するため、溶液の色が消えるのです。
授業の展開例
  • レモンやオレンジなど、ビタミンCが多いといわれる果物だけでなく、それ以外の食品や飲み物も調べてみましょう。
  • ビタミンCは、どのような栄養素なのでしょうか。その働きも調べてみましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

監修・文:藤本勇二/イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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