2012.04.19
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【先生たちの復興支援】さいたま市立東宮下小学校 教諭 菊池健一さん(第1回) 「東日本大震災を身近なものに」

今回は、埼玉県のさいたま市立東宮下小学校 教諭 菊池健一さんの授業実践です。

昨年、3月11日に起きた東日本大震災から1年が過ぎました。この大地震、そして原発事故などを境に日本も大きく変化がありました。その一番大きなものは「今まで本当だとか、正しいとか信じていたものが、そうではないかもしれない」ということが分かってきたことです。原発の問題に関して言えば、現在までのように豊かな生活を送る上での電力を原発に頼ってきましたが、今回の事故を受け原発への批判が高まっています。しかし、原発をやめて火力発電にたよると今度は温暖化への影響が多くなってしまいます。そのように、答えが分からない、そして何を信じてよいのか分からないというような時代に入ったのではないかと考えています。

そんな中、学校教育ではこの地震を教訓とした取組が多くおこなわれるべきだと考えています。特に、

【1】 防災教育(自分の身は自分で守れるように)
【2】 人とのつながりを感じる教育(大震災では多くの方の命が奪われました。そのことからもう一度身近な人との絆を感じられるようにさせたいです。)

以上の二つはすべての子どもたちに感じてほしいと願っています。今年度、小学校2年生においてその二つを子ども達の実態に合わせて実践しました。次に紹介します。

まずは、【1】の防災教育です。今回は学級活動で「じしんがきてもだいじょうぶ」というテーマで授業を行いました。まずは、震災の当日、地震が起きた時のことを思い出す活動を行いました。

「歩道橋の上でとってもびっくりした!」
「マンションの前で、友達のお母さんが抱きしめてくれた」
「川が揺れている感じがしたので、そのまま座り込んでしまった」

など、その日の様子が詳しく思い出され、あらためて大きな地震であったことを認識しました。また、地震の後に、食べ物がお店におかれなくなったことなども思い出し、地震の影響が大きかったことも再確認しました。そして、また大きな地震が起きた時にみんなが無事でいられるように、地震に備えてどんなアイテムを備えておくとよいかということを考えさせました。そして、防災について特集されている新聞を活用して必要なアイテムについて調べる活動も行いました。

「ラジオがあるとどこでも聞けて便利だね。」
「ホイッスルがあると、もし家がつぶれて出られない時でも外の人に知らせられるね。」

など、思い思いに感想を述べ合っていました。この授業で考えたことをもとに、家庭でも防災について考え、地震に備えることを宿題としました。

【2】の人とのつながりを感じる教育では、家庭の協力も得て東日本大震災の新聞写真のスクラップをする活動を行いました。新聞記事には地震の影響で困っている人や、悲しんでいる人の写真、そして復興に向けてがんばっている人の写真などが多く載せられていました。例えば、

・がれきを一所懸命に片付ける人の写真
・漁業が再開されて、仕事に燃えている人の写真
・幼稚園の子どもたちが復興の願いを七夕の短冊に書いている写真
・夏の節電のため暑そうにしている人の写真

など、たくさん集まりました。子どもたちは近くて遠い被災地のことについて新聞写真を通して身近に感じることができました。そして、もし、自分があるいは自分の家族がスクラップした写真の人だったらということを考える活動も行いました。

「今まで、お家の人がいなくなってしまうなんて考えてもいなかったけれど、もしそうなったらかなしいと思う。」
「お父さん、お母さんを大切にしたい。」
「妹にももっと優しくしてあげたい。」

などの感想が子ども達から出されました。

今回、この2年生での活動を通して、東日本大震災で得た教訓を生かし、子どもたちといろんなことを考えていかなければいけないとあらためて考えました。

文・写真:菊池健一

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