2006.08.08
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「夏休み!親子でできる危機管理」(Vol.2 ) 自由研究に最適(^_^)v 危機マップをつくろう!

夏休みも残り半分。今回は、自由研究にも使える「親子で危機マップづくり」に挑戦してみましょう。

危機マップってなに?

最近、PTAや地域の皆さんの協力で、学校での危機マップづくりが盛んに行われるようになりました。これは、模造紙などに、学校を中心に地図を書き、「ここは、道が細くて何度も車に轢かれそうになった」「この公園でへんなおじさんに声をかけられた」「ここは昼間でも暗くてこわい」「ここの遊具は錆びていてギシギシいう」などといった情報をマーキングしながら、地図を作成するものです。

これによって普段大人たちが知らない危機情報を子どもたちから聞き出すことができます。さらにマップという形にすることで皆が危機情報を共有すること、パトロールルートの決定など安全対策の基礎情報とすることもできるため、効果的な危機管理の手法として注目されているもののひとつです。

 例えば、あなたは普段生活している町のことをどのくらい知っていますか?
 大通り、裏道、通学路、繁華街、公園、雑木林、池や川などなど。その仲で危険な場所、安全な場所はどこかを考えながら歩いたことはあるでしょうか。

 日常生活の中で、毎日このようなことを考えながら歩くのはとても難しいことですが、一度は住みなれた町を、お子さんと一緒にゆっくり歩きながら、身の回りの危険について考える機会として、この危機マップづくりにチャレンジしてみてはいかがでしょう。

親子で作るという意味

学校で作っているなら、わざわざ家で作らなくても・・・という方も多いはず。でも、あなたのお子さんの行動範囲が学校で作るマップの範囲だけとは限りませんよね。(例えば通っている塾の周辺など)また、自宅の周りや、お子さんのよく行く公園、お子さんと仲の良いお友だちの家なども学校の危機マップですべて網羅することはできません。

 家族が使うことを目的に親子で危機マップを作ることによって、わが家、わが子によりフィットした危機管理ができるのです。

 例えば、こんな情報も書き込んでおけば、いざというとき役に立つでしょう。

  • 地震で家が壊れた。会社に行ったお父さんとの待ち合わせ場所はココ。
  • 塾に行く自転車ルートは・・・、でも雨の日はこっち。
  • 公園で何かあったとき、助けてくれるのはココとココの家。
  • わが家のルールで、近づいてはいけない場所はココ。
  • この家にはこわい人が住んでいる。
  • ココの家の犬は手を出すと噛みつく。
  • 大雨が降ると、この道は歩けない。

 また、危機情報ではないですが、

  • いつもあそびに行く○○ちゃんの家はココ。ついでに電話番号も書いておこう。
  • お父さんの好きなおつまみが売っているのはこのお店。
  • お母さんの好きな景色は××時頃、ココからよく見える。

 などもところどころに書き込んでおくと、殺伐としたマップづくりも楽しくできますね。

 実際にチャレンジするときは、地図を完成させることよりも、「考えながら町を歩く」ことに重点をおきましょう。その過程で子どもとのコミュニケーションをたくさんとること。そして子どもに自分で考えさせる機会をたくさん与えることが最も重要です。 もちろん、出来上がった地図は、縮小コピーして保護者の方も携帯しておけば、いざというとき必ず役に立つはずです。

実際にやってみよう

さて、ここからは具体的な例をもとに、説明します。

 では、ここで質問です。以下の中で最も危険な場所はどこだと思いますか?

  1. 人通りの多い道
  2. 人通りの少ない道
  3. 曲がりくねった道
  4. 路地のあるまっすぐな道

 いかがでしょう。みなさんはどう思われましたか?
 実は、正解はありません。いずれの場所にも危険な要素は含まれているのですが、住んでいる場所や育ってきた場所がそれぞれ異なる皆さんは、単に「人通りの多い道」と言っても、頭に浮かぶシーンが異なるはずです。また、思い浮かべる時間帯や、過去の経験によってもどこが一番危険かは違います。

 このように、ことばでイメージする危機というものには限界があり、別々の人間がこれらを共有することは非常に難しいものです。

 身体的にも、経験値も、活動パターンも全く異なる大人と子どもの場合、このイメージの乖離はもっと顕著になります。そこで、以下の手順をお薦めします。

手順1 まず、子どもとの情報交換から。  
 親子で町に出る前に、まず子どもと話をしてみるとよいでしょう。子どもが、どんなことを危ない、こわいと感じるか? どこが安全だと思っているか? それはなぜか? など事前に話してみることで、今まで気にもとめなかった危険が見つかるかもしれませんし、逆に、子どもの思い違いや大人との感覚のズレに気づくかもしれません。これらがわかると、実際に町に出た際に、それらを大人が確認したり、子どもに考えさせたりするチャンスを逃すことが少なくなります。

手順2 出かける前にそろえよう
 子どもとの話の中で、ある程度の情報共有ができたら、次に、マップ作りの範囲やルートを決めましょう。一日ですべてを回ろうとせず、今日はこのルート、次はここ、と何回かに分けながら行うとさらに良いでしょう。

 町へ出る際は、場所をマークできるよう、地図とメモ帳を忘れずに。デジカメやカメラ付携帯電話もあると便利です。

手順3 子どもに問いかけながら、町を歩こう。
 ルートに沿って、ゆっくりと歩いてみましょう。スピードはいつのも半分で。建物や自然環境、交通量や騒音など上下左右に気を配りながら、五感を駆使して普段は感じられないものに出会ったら、その気づきを口に出して、子どもと共有してください。

クライシスインテリジェンス所属。現在、危機管理・安全管理コンサルタントとして学校の安全管理および子どもの安全に関する指導、助言を行っている。

クライシスインテリジェンス所属。現在、危機管理・安全管理コンサルタントとして学校の安全管理および子どもの安全に関する指導、助言を行っている。

子どもには、「ここで向こうから車がきたらどうする?」「ここの路地でもし人が倒れていたら?」など具体的な問いかけをしながら考えさせるように仕向けてみましょう。もちろん、危険だと感じることがあったら、メモや写真撮影をしておきます。その際、地図のほうにもマーキングし、あとで場所とメモや写真がつきあわせられるようにしておきましょう。

手順4 忘れないうちに地図を作成。
 その日のうちに、気づいた点を地図にプロットしておきます。マップの大きさは目的に応じて自由に。小さいものをつくる場合は、文字スペースが小さくなりますから、色や記号を決めてからつくってみましょう。

つくりっぱなしはダメ

危機マップは1回つくって終わりというものではありません。同じ場所でも、歩く時間帯や季節によって状況は異なります。また、防犯や防災など危機の種別によっても、携帯用か掲示用かなどの使用目的によってもマップのつくりかたが違ってきます。

 一度にすべてをそろえようとするのではなく、日常の生活のなかで目配りの習慣づけができるようになれば最高ですね。

(監修:浅利眞 文:須藤綾子 イラスト:じえじ)

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