2002.04.09
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和差算

前回「旅人算」の最後の解法で「和差算」について、簡単に説明しました。和差算とは、2つの数の和と差がわかっているとき、2つの数を求める計算のことです。今回は具体的に問題を解きながら理解を深めていきましょう。



48cmのリボンを切って、A、Bの2本に分けます。AはBよりも8cmだけ長くなるようにするためには、AとBをそれぞれ何cmにすればよいでしょうか。
解法を見る



ある真分数の分母と分子の差は14で、分母と分子の和は98です。この分数を求めて約分しなさい。
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長さ30mのロープを切って、A、B、Cの3本に分けました。AはBより5m長く、BはCより2m長くなっています。このときA、B、Cそれぞれの長さを求めなさい。
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48cmのリボンを切って、A、Bの2本に分けます。AはBよりも8cmだけ長くなるようにするためには、AとBをそれぞれ何cmにすればよいでしょうか。

■ 解法
和差算の基本問題です。和差算の問題は次の3つの解き方で解くことができます。

解法(1):図に表して解く

解法(2):公式で解く

解法(3):方程式で解く

では、それぞれの方法で解いてみましょう。

解法(1):図に表して解く




和(合計)は48cmですから、仮にAのリボンの8cm分をのぞいた場合、残りはcmのリボン2つ分(Bのリボン2本分)になります。このcmのリボン2つ分長さは、48-8=40cmであり、cmリボン1本分の長さ(Bのリボンの長さ)は20cmであることがわかります。
よって、Aのリボンは20+8=28cm、Bのリボンは20cmにすればよいことがわかります。

■ 答え
Aのリボンは28cm、Bのリボンは20cm

このように問題文だけを見て、頭のなかだけで考えると、混乱しそうな問題も、図に表すと簡単に解けてしまうことがわかると思います。問題文を図で表すことができれば、問題は解けたも同然です。


解法(2):公式で解く
和差算の公式は次の通りです。とてもよく知られている公式です。

和差算の公式(2つの数の和と差がわかっているとき)
大きい方の数=(和+差)÷2
小さい方の数=(和-差)÷2


ここでは、2つのリボンの長さの和は48cm、差は8cmですから、この公式にあてはめてみると、
大きい方の数=(和+差)÷2=(48+8)÷2=56÷2=28  …Aのリボン
小さい方の数=(和-差)÷2=(48-8)÷2=40÷2=20  …Bのリボン
と簡単に解けてしまいます。


■ 答え
Aのリボンは28cm、Bのリボンは20cm

では、なぜこの公式で解けるのでしょうか。もう一度、図で考えてみましょう。
実は、小さい方の数は先ほどの解法(1)の考え方そのものです。
和(48cm)から差(8cm)を引くとcmリボン2つ分の長さ(40cm)になりました。
これを2で割ればcmリボン1つ分の長さ(Bのリボン)が出るわけです。つまり(和-差)÷2です。


【和-差の図】 小さい方の数=(和-差)÷2



次に大きい方の数を求める公式を考えてみましょう。(和+差)というのは、もとのリボン(48cm)に差(8cm)と同じだけのリボンを新しく用意してつなげることになります。この8cm分をBのリボンの方に加えてみましょう。するとAのリボンと同じ長さのものが2本できます。これを2で割ればAのリボンの長さ(大きい方)ということになります。つまり(和+差)÷2です。


【和+差の図】 大きい方の数=(和+差)÷2




重要ポイントについて
図を見ると分かると思いますが、
和-差を求める理由は、長さを小さい方にそろえて小さい方の数の2倍を求めるためです。
和+差を求める理由は、長さを大きい方にそろえて大きい方の数の2倍を求めるためです。
そして、それぞれ2で割れば、小さい方の数と大きい方の数が出てくるわけです。
この
長さをそろえるという考え方は、和差算の応用問題を解くときの大切なカギとなります。


解法(3):方程式で解く

Aのリボンの長さをχとすると、Bのリボンの長さは χ -8となります。和は48cmですから、



■ 答え
Aのリボンは28cm、Bのリボンは20cm

※ 和差算は通常小学校3年生で習い、算数なので方程式は使いません。
そのため以下の問題ではこの解法(3)は割愛させていただきます。




ある真分数の分母と分子の差は14で、分母と分子の和は98です。この分数を求めて約分しなさい。

■ 解法
これも和と差がわかっているので、和差算の問題です。真分数なので、分母が(大きい方の数)、分子が(小さい方の数)になります。

解法(1):図に表して解く



和が98で差が14なので、分子2つ分の大きさは
98-14=84
したがって分子は
84÷2=42
分母はそれより14大きいので
42+14=56
よって、求める分数は



■ 答え



※ここでは小さい方の分子に長さをそろえて解いたことになります。


解法(2):公式で解く




よって、求める分数は




■ 答え





長さ30mのロープを切って、A、B、Cの3本に分けました。AはBより5m長く、BはCより2m長くなっています。このときA、B、Cそれぞれの長さを求めなさい。

■ 解法

和差算の応用問題です。いままでのように2つに分けるのではなく、ここでは3つに分けています。どうやって求めればよいのでしょうか。ヒントは問題1の解法(2)で説明した重要ポイントにあります。「長さをそろえる」という考え方をすれば、2つに分ける場合でも、3つに分ける場合でも同様にして解くことができます。それでは、まず図に表してみましょう。



このように、Bのロープに5m、Cのロープに7m追加すると、3つのロープの長さがそろいます。これで、Aのロープ3本分になりました。

Aのロープ3本分で、30+5+7=42m だから、
Aのロープの長さは42÷3=14m
Bのロープの長さは14-5=9m (Aよりも5m短いから)
Cのロープの長さは9-2=7m (Bよりも2m短いから)


■ 答え
Aは14m、Bは9m、Cは7m

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