「実感を伴った理解」を目指す理科授業 日常に根差した気づきを与え、生きる力を育む ―朝霞市立朝霞第十小学校・北川誠 教諭―
「実感を伴った理解」を図ることが小学校学習指導要領の理科の目標に新たに盛り込まれた。朝霞市立朝霞第十小学校の理科主任(専科)、北川誠教諭は、子どもたちの日常生活に根差した理科授業を行っている。それは自身の研究課題「いのちの教育」まで視野に入れた実践であり、子どもたちに「生きる力」を身につけさせたいという思いから発している。北川教諭の授業実践とインタビューを紹介する。
実感を伴った「電気エネルギーの熱・光変換」授業学年・教科: 6年生理科(児童39名)
単元: 電気エネルギーの熱・光変換(全8時間) 本時の学習: (1)発泡スチロールカッターを使用した発熱現象の実験。(2)シャープペンシルの芯を使った発光現象の演示。 ねらい: (1)電気が熱に変わることの実感を伴った理解。(2)電球の原理を基にした科学的思考力の育成。 指導者: 北川誠教諭(理科主任=専科) 使用教材・教具: 発泡スチロールカッター、発泡スチロール片、直流電源装置、手回し発電機、教材提示装置、モニター、シャープペンシルの芯(0.5ミリHB) |
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熱エネルギーで発泡スチロールを切ってみる――実感する 「みんなが普段使っている電気は、どんなものに変わるのでしたっけ?」 ここで発泡スチロールカッターの登場だ。子どもたちは、あらかじめ好きなイラストを描いておいた発泡スチロール片を持っている。 |
カッターの電源は手回し発電機(手前)と直流電源装置(後方) 手回し発電機は電力が低くなかなか切れない 直流電源装置はよく切れる。熱や臭いも実感 できあがり。複雑なラインも見事にカット |
シャープペンシルの芯に電気を通したら? ――予想を立てる 北川教諭が取り出したのは、何の変哲もない シャープペンシルの芯。 いよいよ本番。やや危険を伴うため、北川教諭が実験して見せる。子どもたちは興味津々といった目で教壇に集まる。椅子の上に立ってのぞき込む子も。 その後、北川教諭はエジソンの写真を示し、彼が電球を実用化するために6,000種類もの物質を今回の実験と同じような方法で試したこと、最終的に京都八幡市の竹炭にたどり着き炭素電球を造ったことを、子どもたちと対話しながら説明。ここでちょうど時間となり、感動を抱えたまま授業は終わった。 |
実験セット完了。電気を通す前の芯 室内を暗くし、電流を流すと光り始める 電流を9ボルトまで上げるとさらに明るく |
自分の五感で判断できる力を身につけ
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北川教諭自作の実験装置
五円玉、割り箸、紐で作った「共振現象」の実験セット 「てこの原理」を缶切り競争で実感 穴を空けたフィルムケースに飴を入れ、湯に溶け出す「溶解現象」を観察 |
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