伝統文化を守るために 「カルチャーデーとプライズギビング」
今回は、椰子ノ木やほいさんからサモアの話題です!サモアでは、学校教育の中に、伝統を継承するための活動が盛り込まれています。さて、その活動とは?
1,962年、南太平洋島嶼国の中で最初に独立を果たした常夏の国サモアでは、今もポリネシアの伝統文化が根強く受け継がれている。人口約17万6千人程度の小さな国だからこそ、自国の伝統文化に拘り、国民が皆「サモアの文化を絶やさないために」という思いを持って暮らしているようにさえ感じられる。そして、その思いは学校教育の中でも随所に活かされている。
サモアの公立学校では毎年、「カルチャーデー」という日が設けられている。小学校低学年は、この日はいつもの制服ではなく、サモアの伝統的な服装で登校する。男の子はラバラバと呼ばれる腰巻布に上半身はシャツか裸。女の子はプレタシと呼ばれる綿のカラフルなプリント生地で作られたスーツをおしゃまに着こなす。お弁当はいつものサンドイッチやコーラの代わりに、サモアン料理(石蒸し焼きで調理されたパンの実、タロイモ、青バナナや、パパイヤ、マンゴーなどのローカルフルーツ、ココナツなど)を持っていき、友達と交換しながら校庭でワイワイとピクニック気分で味わう。高学年は、青空の下、先生方が手作りした太鼓や楽器に合わせて体をゆすりながら元気いっぱいに歌い、「シバ」と呼ばれる伝統的なサモアンダンスを披露する行事を楽しむ。高校生になると、「カルチャーデー」はさらにバージョンアップする。いくつかに色分けされたグループが、おそろいの伝統衣装を着て、一日中校庭で、シバ(サモアンダンス)、ウム(石蒸し焼き料理)、カゴ作り、ココナツクリーム作り、ココナツの皮むきなど、サモアの伝統技術やサモア度(?)を競うのだ。来賓や親も応援に駆け付ける。何しろ賞金までかかっているので皆けっこう真剣だ。
こんなふうに小学校から高校までサモアの伝統文化を受け継ぐため、いろんな工夫を凝らした行事が用意されているが一年の締めくくりとして行われる「プライズギビング」と呼ばれる式典もまたサモアらしい。受賞者の発表があり、壇上で表彰されるとサモアン音楽が会場に鳴り響く。すると、受賞した生徒は音楽に合わせてシバを踊りながら、受賞の喜びと感謝をあらわす。子どもたちが優雅に踊っていると、会場で見守っていた家族、親戚、友達などもウラ(花やキャンディで作られた首輪)を持ってステージに駆け付ける。お祝いのウラを受賞者の首にかけながら、祝う人たちも次々にシバに加わるのだ。踊りの輪はどんどん膨れ上がり、踊らなくては、喜びも感謝も賞賛も表せないといった感じになる。
関連情報
http://gogo.chips.jp/kakibito/
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『オーストラリアの小学校に子どもたちが飛び込んだ.』
元サモア在住 椰子ノ木やほい
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