2005.01.18
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スペインの年末年始

スペインからの情報です!マドリッド日本人学校の、ペンネーム シエンシアさんからご投稿いただきました

12月のマドリッドでもっとも目をひくのは、スペインで唯一のデパート「エルコルテイングレス」の電飾です。小さな電球が建物の壁面いっぱいに飾られてイルミネーションをつくり、それはきれいなものです。日本の師走のような特別な慌ただしさはなく、毎日落ち着いて過ごしていますが、クリスマスの日は特別です。スペインではこの日、自宅で家族そろってお母さんの手作り料理を食べます。そのため、クリスマスの日になると、みなそわそわして仕事はそこそこに半日で終わらせて、さっさと帰宅してしまいます。市内のバスやタクシーも少なくなり、あっという間にお店もシャッターを閉めてしまいます。街も人通りが少なくなって外食できるのはマクドナルドだけということも・・・。日本のように洒落たレストランで食事、というわけにはいきません。家庭料理には必ず魚介類を食べるので、年末はエビやカニ等の魚介類の値段が暴騰してしまいます。それでもスペイン人に言わせると、エビを食べることが大切なんだそうです。
エルコルテイングレスの電飾

エルコルテイングレスの電飾

さて、大晦日の日12月31日はどうでしょうか。この日マドリッドでは、市内の中心にあるソル広場に身動きできないほどたくさんの人が集まり、時計台の前で新年を祝います。持参のシャンパンをあけ、鐘の音にあわせて12粒のブドウを食べるのです。ところがこの鐘の音、結構速くて次から次に鳴ります。ゆっくりかんで食べている余裕などなく、早食い競争のように口の中に次々に放り込まなくてはならないので、皮ごと種ごと食べます。もともとスペインではブドウの皮や種をそのまま食べてしまうのですが、この時期になると皮・種のない12粒入りの便利なブドウが売り出されます。
ソルに集まった人々

ソルに集まった人々

多くの人はこのソルの大騒ぎの様子を「家が一番」とか言いながら、自宅のテレビで落ち着いて見ながらブドウを食べます。その後は続いて始まる日本の紅白歌合戦のような歌番組を延々と見るか、外出して立ち飲みバー(酒屋)で一杯飲みながらおしゃべりして新年を祝います。

 1月1日、元旦の日は日本と変わりません。みんな前日の夜遅くまで起きていたので昼頃までゆっくり寝ていますし、街はがらんとしています。そして2日から平常の暮らしが始まります。
日本と異なっているのは1月6日に三賢王拝礼の祝日(レイジェスマゴ)があることです。昔、星に導かれて東方からやってきた3人の王様が、生まれたばかりの幼いキリストを拝み、贈り物をしたことに由来しているこの日は、スペインの子どもたちにとって、年に一度のプレゼントをもらえる特別な日です。子どもたちは12月になるとほしいおもちゃを求めて、テレビに釘付けになります。ですから子ども番組の時間帯は、連日延々とおもちゃのコマーシャルが続きます。まさにこの時期はおもちゃのコマーシャルの間に番組があるようです。そして待ちに待った5日の夜、街ではパレードが行われます。仮装をした人や音楽隊、山車の行列が続き、沿道の人々にアメを配り紙吹雪を浴びせます。盛り上がるのはパレードの最後に来る三賢王が乗る山車が通る瞬間です。一目見ようとみんなが注目しますし、このときの道路はまかれた紙吹雪やテープでゴミだらけです。
パレードには華やかに飾られた車や人気番組のキャラクターも

パレードには華やかに飾られた車や人気番組のキャラクターも

初めてこのパレードを見たときにひっくり返るほどびっくりしたのは、沿道の子どもたちが、先導するパトカーや白バイに、スプレーで白い泡をかけまくることです。日本では、子どもが警備のお巡りさんや消防隊員の人たちに、ふざけてスプレーで泡をかけるなんて絶対考えられませんね。即刻”公務執行妨害”でしょう。こんなことをする子どもたちはとっても「スペイン的」ですが、さらにこんなことをされても平気なお巡りさんたちもスペインならでは、です。ゆとりというか余裕があるというか、国民性の違いといえるでしょうか。
泡まみれのパトカー

泡まみれのパトカー

さて、パレードでアメをゲットした子どもたちは、前もって手紙に書いておいたほしいプレゼントを本当にもらえるか、期待に胸をわくわくさせながら家に帰り、眠ります。そして翌日の朝に、よい子にはプレゼントが、行いの悪い子には真っ黒な石炭が届くのです。

ペンネーム:シエンシア
地図画像著作権:白い地図工房&学びの場.com

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