フィンランドの小学校では、クラスでの行事やイベントの資金を集めるのにバザーが行われます。定期的に年に何回と決まってはいませんが、5月とクリスマス前に大き目のものが一回、その他小規模なものが必要に応じて行われます。
まず、5月は春のクラス旅行の資金集めのバザー。人気の旅行先は遊園地や動物園で、そこまでの往復のバス代や入園料がターゲットになります。最も大きなターゲットは林間学校用の資金で、一クラス(30人、旅費を含む2泊3日で)3000ユーロ(約405000円)もの稼ぎが必要となります。林間学校の時期は特に決まっていませんが、学校が始まったばかりの秋がクラスのチームワーク作りに効果的ということで、この場合は大慌てでバザーをしなくてはなりません。
バザーの商品は親たちが焼いたケーキやジュースにロッテリー(宝くじ)、トイレットペーパー、洗濯用洗剤に至るまで(!)とさまざま。中でも人気なのはロッテリー。フィンランドではスーパーマーケットやキヨスクで盛んに宝くじが売買されていますが、これは子供用なので、商品はお金ではなく物品です。それでも何が当たるかわからないのが冒険なのだとか。バザーの商品に普通の日用品までが並んでいるのには驚きますが、必ず売れるので無駄がないのだそうです。スーパーで大量に買い占めて、仕入れ値と売り値の差額で儲けを取ります。子供達はこのプロセスを親たちと一緒に体験してビジネスの基本を学びます。低学年の子供は親と一緒に、5年生ぐらいからは単独で売り子として参加することもできます。
また、生徒達だけで行う、スクール・カフェという臨時購買部もあります。このときばかりは、学校内で手作りのお菓子やクッキーが売られ、日頃は金銭の持込みを禁止されている子供達もお金を持ってくることが許されます。
また、これらの学校行事のためのバザーとは別に、純粋なチャリティーの目的でお金を集めるユニセフデーというイベントがあります。このユニセフデーもかつてはバザーで商品を売買して収益をあげていたのですが、ここ数年の間に、子供達が校庭を何周も歩いて、歩いた分だけスポンサー(親や親戚など)からお金をもらう、ユニセフデー・ウォーキングというものに姿を変えました。学校から帰ったらすぐ、マウンテンバイクやローラーブレードで森や林に飛び出すスポーツ好きなフィンランドっ子には大変な人気で、今年は全国400もの小学校で80000人以上もの参加者が集まりました(国の全人口が大阪府と同じぐらいというフィンランドではこれはすごい数です)。
「私が今稼いだお金で、アフリカの子供達が学校に行って給食が食べられるのよ!」
ほほを赤く染めながら、子供達はそれぞれの功績を大変誇らしそうに話してくれました。「働いて人の役に立つ」ということは何も大人だけの喜びではないようです。
関連情報
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ケラヴァ在住:靴家さちこ
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