2004.10.26
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バザーで稼ごう、学校行事

フィンランド・ケラヴァ在住の靴家さちこさんからの投稿です。フィンランドの学校でのバザーについてのリポートです。

お母さん方が大張り切り。 ムーンッキという中に ジャムが入った揚げパンと コーヒーを売っています

お母さん方が大張り切り。 ムーンッキという中に ジャムが入った揚げパンと コーヒーを売っています

フィンランドの小学校では、クラスでの行事やイベントの資金を集めるのにバザーが行われます。定期的に年に何回と決まってはいませんが、5月とクリスマス前に大き目のものが一回、その他小規模なものが必要に応じて行われます。

まず、5月は春のクラス旅行の資金集めのバザー。人気の旅行先は遊園地や動物園で、そこまでの往復のバス代や入園料がターゲットになります。最も大きなターゲットは林間学校用の資金で、一クラス(30人、旅費を含む2泊3日で)3000ユーロ(約405000円)もの稼ぎが必要となります。林間学校の時期は特に決まっていませんが、学校が始まったばかりの秋がクラスのチームワーク作りに効果的ということで、この場合は大慌てでバザーをしなくてはなりません。

トイレットペーパー買い出し

トイレットペーパー買い出し

バザーの商品は親たちが焼いたケーキやジュースにロッテリー(宝くじ)、トイレットペーパー、洗濯用洗剤に至るまで(!)とさまざま。中でも人気なのはロッテリー。フィンランドではスーパーマーケットやキヨスクで盛んに宝くじが売買されていますが、これは子供用なので、商品はお金ではなく物品です。それでも何が当たるかわからないのが冒険なのだとか。バザーの商品に普通の日用品までが並んでいるのには驚きますが、必ず売れるので無駄がないのだそうです。スーパーで大量に買い占めて、仕入れ値と売り値の差額で儲けを取ります。子供達はこのプロセスを親たちと一緒に体験してビジネスの基本を学びます。低学年の子供は親と一緒に、5年生ぐらいからは単独で売り子として参加することもできます。

また、生徒達だけで行う、スクール・カフェという臨時購買部もあります。このときばかりは、学校内で手作りのお菓子やクッキーが売られ、日頃は金銭の持込みを禁止されている子供達もお金を持ってくることが許されます。

  • スクールカフェという臨時購買部(左)では、手作りのお菓子(右)が売られています。

    スクールカフェという臨時購買部(左)では、手作りのお菓子(右)が売られています。

バザーの売り上げが思ったほどではなかった場合、クラス旅行がバスなしで学校の近所を自転車で回遊しただけになってしまったりと、ちょっとシビアな面もありますが、子供達は、クラス旅行の予定やその資金繰りの動向などをきちんと把握しているので、突然イベントがなくなって驚いたりがっかりすることはありません。
クリスマスバザーの 商品の写真

クリスマスバザーの 商品の写真

クリスマス前には最大規模の、クリスマス・バザーが行われます。商品はクリスマスの飾りやカードにクリスマス用のケーキやお菓子などで、ケーキやパイなどはクリスマス当日にすぐ焼いて使えるように冷凍になっているものも売られています。クリスマス・スピリットに人々の財布も緩く、売り上げはかなりのものだとか。バザーの大義名分をしょって、臨時のお小遣いをもらってお腹いっぱいキャンディーをむさぼる生徒たちでにぎわいます。胸焼けで気持ち悪くなる生徒も続出するそうです。先生方もクラスの売り場のお手伝いや、お買い物で忙しくなります。
子ども達手作りの 飾りと手編みの靴下

子ども達手作りの 飾りと手編みの靴下

共働きで忙しいフィンランドの親たちにとって、これらのバザーはかなりの負担です。バザーで売れ残ってしまったケーキを物々交換しながら「こんなことだったらお金を払った方が早いわ」とぼやく親達もいます。一方、高福祉社会の恩恵で、給食費も含む学校教育の全てが無料であることに馴れてしまっているフィンランドの人達は「学校行事にお金を払う」ということにはかなりの抵抗があるとも聞きます。「お金を払うぐらいだったら、そのお金で自分の子供に習い事をさせたい」という親達も多いのだとか。それでも大半の大人達が子供の金銭感覚を養うのに有効なものだとして、このバザーを価値あるものとして見ています。
  • バザーをがんばったかいあって、動物園や歴史の街、ポルヴォーにも行けました

    バザーをがんばったかいあって、動物園や歴史の街、ポルヴォーにも行けました

ユニセフデー・ウォーキングの日。まずは準備体操から

ユニセフデー・ウォーキングの日。まずは準備体操から

また、これらの学校行事のためのバザーとは別に、純粋なチャリティーの目的でお金を集めるユニセフデーというイベントがあります。このユニセフデーもかつてはバザーで商品を売買して収益をあげていたのですが、ここ数年の間に、子供達が校庭を何周も歩いて、歩いた分だけスポンサー(親や親戚など)からお金をもらう、ユニセフデー・ウォーキングというものに姿を変えました。学校から帰ったらすぐ、マウンテンバイクやローラーブレードで森や林に飛び出すスポーツ好きなフィンランドっ子には大変な人気で、今年は全国400もの小学校で80000人以上もの参加者が集まりました(国の全人口が大阪府と同じぐらいというフィンランドではこれはすごい数です)。

「私が今稼いだお金で、アフリカの子供達が学校に行って給食が食べられるのよ!」

ほほを赤く染めながら、子供達はそれぞれの功績を大変誇らしそうに話してくれました。「働いて人の役に立つ」ということは何も大人だけの喜びではないようです。

関連情報
記事協力:海外書き人クラブ  
http://gogo.chips.jp/kakibito/

海外書き人クラブお世話係 柳沢有紀夫さん の本もご覧ください!
 『オーストラリアの小学校に子どもたちが飛び込んだ.

ケラヴァ在住:靴家さちこ
地図画像著作権:白い地図工房&学びの場.com

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