イタリアの小学校では授業は月曜日から金曜日までの週5日で、『Tempo normale(テンポ ノルマーレ=普通授業)』と『Tempo pieno(テンポ ピエーノ=フルタイム授業)』という2種類の選択肢があります。
Tempo normaleでは義務教育で定められている週最低27時間の授業を受ければいいので、週に2回は昼までの授業となり、代わりにその日は家で勉強するように宿題が出ます。
一方、大多数の子供達が選択するTempo pienoでは義務授業の27時間に3時間の選択授業がプラスされ、2時間の昼休みを含んだ一日8時間を学校で過ごすことに。この場合は通常は宿題も学校で済ませる事が出来る(週末には結構な量の宿題が出ますが)ので、授業の終わる夕方4時半過ぎは子供達の自由時間となります。
日本の子供達は放課後には幾つもの習い事に通い忙しくしていると聞きますが、イタリアの小学生の(というよりは親の)<お稽古熱>はまだまだ低く、放課後に熱心に習い事をしている子供は少数です。何か習っている場合でも、スイミングやダンスなど、子供自身が興味のある教室に週に1-2回通っている程度でしょうか。
というのも、教室に通うとなると、料金が例えば週2回40分ずつのスイミングで14レッスン(大体1ヶ月半)82ユーロ(約10900円)、同じく週2回1時間15分ずつのダンス教室で月45ユーロ(約6000円)など、平均月収900ユーロ(約12万円)と言われるイタリアでは決して安い金額ではないので、そういった点も習い事が普及しない一因なのでしょう。
児童図書館にはイタリア語だけでなく世界各国の本が集まっていて(日本語の本も数冊見つけました!)、ディズニーやその他のアニメなどのビデオの貸し出しも行われています。児童館では子供達が動き回れる広い空間にボールプールや小さな滑り台、マットレスなどが置かれています。小学校高学年以上の子供達のためには別の部屋に何十種類というテーブルゲームも用意されていて自由に遊ぶ事が出来ます。
特に興味深いのが国際文化児童館と音楽児童館の二つ。国際文化児童館では週末の土曜日に週代わりの特別メニューがあって、夏休み前にはアラブや南米のお祭りがその土地の人達と一緒に催されていたり、中国の伝統の凧作りなど、いろいろな国の人をインストラクターに迎えての工作や陶芸、彫像などのワークショップが開かれたりと、様々な国の文化を楽しみながら学ぶ事が出来るのです。
私達親子もしょっちゅう利用させてもらっている音楽児童館には、ピアノ、ギター、ドラムなどのポピュラーな楽器の他に、他所では見かけることもないような世界中の楽器が打楽器を中心に揃っています。付属の音楽教室の先生もしているインストラクターの方達が、集まった子供の年齢に合わせてリトミックダンスや歌や、楽器を使ったゲームなど、充実したメニューで子供達が音楽に触れる手助けをしてくれます。ここにはパソコンまであって、手が空いていればインストラクターが備え付けの教材で、ちょっとしたパソコン教室までしてくれるんですよ。
お金をかけて習い事に通わなくても、こういった施設に行けば子供達が気軽にいろいろなことを学べるというのは素晴らしい環境ですよね。
習い事の話に追加なのですが、フィレンツェには(多分、イタリア全土)学習塾というものは存在しません。中学生以上になると授業が午前中だけになり、午後は数時間かけて毎日みっちり出される宿題を片付ける羽目になるのですが、こちらでは基礎学力は学校の授業だけでつけるものと考えているので、放課後に学習塾に通い更に勉強する日本の子供の話をすると皆とても驚きます。
学校でしっかり学んだら、残った時間にはしっかりと遊ぶ。フィレンツェの子供達は、毎日とても生き生きと過ごしています。
関連情報
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『オーストラリアの小学校に子どもたちが飛び込んだ.』
フィレンツェ在住:田邊和世
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