2004.06.22
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日本人学校ができたら、行く?行かない? 中国/蘇州

今回は、中国在住の石原晶子さんからの投稿です! 蘇州日本人学校について、リポートをお寄せいただきました!

 10年前にシンガポール政府との合同で開発された蘇州市東部の工業園区には、まだ芝 生に覆われた空き地も多い。「まだ」というのは、こうした空き地や花畑が、ふと目 を話したすきに掘り起こされ、高層ビルやマンション、商業街へとまたたくまに変身するから。

10年前にシンガポール政府との合同で開発された蘇州市東部の工業園区には、まだ芝 生に覆われた空き地も多い。「まだ」というのは、こうした空き地や花畑が、ふと目 を話したすきに掘り起こされ、高層ビルやマンション、商業街へとまたたくまに変身するから。

中国でも指折りの国際都市をめざし、蘇州は街の大改造中。刻一刻と、めくるめく変貌を遂げながら猛進しています。外資の押し寄せるこの蘇州には、国際学校がいくつかあります。外国籍の子どもならば、アジアから欧米までと生徒の国籍も幅広い国際学校に通わせるのがふつう。蘇州に住む日系家族のほとんどは、子どもを国際学校に入学させ、土曜日だけ日本人授業補習校というパターンで学習させています。

 どの国際学校でも、幼稚園から英語と中国語のいずれかをメインの授業言語にして、どちらも授業課目に組み込んでいます。ほかのアジア系の家庭が入学前から自宅でも熱心に英語補習を怠らないのに比べ、日本の子どもは英語が白紙の状態で国際学校に入り、どちらかといえば呑気に英語に馴染んでいきます。

 わが家は蘇州に移り住んで1年ちょっと。突然国際学校に投げ込まれた子どもたちですが、英語圏の生活ではないこともあり、子どもといえども英語を習得するのは決して楽ではありません。入学後しばらくは英語中心の学校にはとまどうことばかり。ひと波乱ふた波乱あり、1年近くかけて、ようやく子どもが国籍を越えたコミュニケーションを楽しめるようになりました。

ローカルの公立小学校は収容人数もさることながら、グランドや校舎などの設備がかなり立派で驚かされる。日本人学校も、このような小学校と同様の設備が整う予定。 子どもたちの通う国際学校の運動会は、地元小学校のグランドを借りて行われた。

ローカルの公立小学校は収容人数もさることながら、グランドや校舎などの設備がかなり立派で驚かされる。日本人学校も、このような小学校と同様の設備が整う予定。 子どもたちの通う国際学校の運動会は、地元小学校のグランドを借りて行われた。

そしてその頃、ひとつのニュースが伝わってきました。プロジェクトの進行を一気に加速し、2005年4月に日本人学校が開校されるというのです。

 ここ最近、蘇州日本人授業補習校の生徒数は増加の一途をたどるばかり。昨年春から倍増した生徒は、70人近くにも及びます。昨年末まで補習校の教室は、ホテルの会議室をパーテーションで8学年分に区切り、使用していました。ところが生徒数が急増するにつれ、広くはない一室に詰め込まれた子どもの声が反響しあって、とても先生の声に耳を傾けるという状況ではありません。取り急ぎ、土曜日だけ間借りするという条件で、近隣の国際学校に教室を移転しました。

 その後は、補習校の生徒数がさらにふくらんだ上、貸主である国際学校の予定に応じて教室の変更もしょっちゅう。変更があるたびに保護者が何十もの椅子を手分けして運んだり、時には階段脇の踊り場に即席の教室を見立ててみたり、綱渡りの教室づくりに汗を流し、四苦八苦を続けているのが現状です。

日本の学校のように何週間もかけて積み重ねた練習の成果を披露するのではなく、ほとんどぶっつけで本番に臨むのが、運動会をふくめ国際学校のイベント流儀。日本人の家族が気合を入れて駆けつけると、大らかなプログラムに拍子抜けしてしまうことも少なくない。でもこれに慣れると、ぶっつけなりの盛り上がりは心地よい。

日本の学校のように何週間もかけて積み重ねた練習の成果を披露するのではなく、ほとんどぶっつけで本番に臨むのが、運動会をふくめ国際学校のイベント流儀。日本人の家族が気合を入れて駆けつけると、大らかなプログラムに拍子抜けしてしまうことも少なくない。でもこれに慣れると、ぶっつけなりの盛り上がりは心地よい。

また、蘇州よりさらに内陸では、ローカルにしても国際学校にしても学校環境が不十分。日本人学校ができるなら、蘇州へ住居を移したいという声も聞こえてきます。東へ100キロの上海日本人学校にしても、生徒数が激増して1700人近くになり、新校舎を増築して何とか凌いでいる状況。日本人学校がないことを理由に家族を日本や上海に残し、蘇州で単身赴任のままさびしい思いをしているお父さんも少なくないようです。日本人学校設立が望まれて、当然といえば当然の成り行きかもしれません。

 ただ今まで苦労の末に、子どもを国際学校に馴染ませた家庭の多くは、日本人学校の設立を手放しで喜ぶことはできません。近い将来、子どもを日本語の学校環境に帰らせなければならないとしても、せっかくつかみかけた英語による国際学校教育をここで中途半端に捨てがたいからです。その上、日本人学校が無いために享受できた企業からの国際学校学費補助が、減額もしくは停止されてしまうかもしれません。学習面・精神面・経済面での葛藤が続くまま、来春までに難しい選択を強いられることになりました。

 一方で、来春日本人学校設立の可能性だけ伝えられて、そこから先の具体的な話が届いてこないと、苛立ちを覚える保護者も少なくないようです。そんななか、今年度開校した山東省青島日本人学校は30人の補習校生徒を抱えていながら、その多くが国際学校などに残り、蓋を開けてみると、わずか6人の生徒で開校したという話も伝わってきます。日本人学校といえども、献金や学費収入に運営を頼る私立。ある程度の生徒を確保できないと困ります。

 青島の一件に学んでか、蘇州日本人学校設立についての情報は、ごく限られた部分しか伝わってきていません。とはいえ、家族の運命を左右するこの分かれ道。「できるだけオープンに、少しずつでも情報を公開していってもらえたら…」と時折り流れてくる声は、いったいどこへ届くのやら??

関連情報
記事協力:海外書き人クラブ  
http://gogo.chips.jp/kakibito/

海外書き人クラブお世話係 柳沢有紀夫さん の本もご覧ください!
 『オーストラリアの小学校に子どもたちが飛び込んだ.

中国在住:石原晶子
地図画像著作権:白い地図工房&学びの場.com

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