先日、入試広報部長から、中学校への受験を考えてくださっている方(ご両親)が来校されたとの報告を受けました。
今年度、中学受験を迎えるお子さんのために、お父さんが一時帰国されている間に、進学先として考えている学校のことを調べておきたいとのことだったそうです。
7月末には赴任先(メキシコ?)に戻るので、8月6日の中高オープンスクールには参加できない。それなら行けるときに・・・ということで、連絡を入れ、来ていただいたとのことでした。
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保護者:ICT教育に力を入れておられると聞きましたが、どうしてタブレット(iPad)ではないんですか?
教員:スマートフォンでの入力方式に慣れてしまうと、PCとの接点において、偏った入力(フリック入力)スキルしかもたなくなる可能性があります。また、ALやPBL型の学びにおいてはExcelやPowerPointの利用は不可欠で、キーボード入力ができないと社会に出た時、困ることになります。(実際、大学の先生から、キーボード入力ができない学生の多さに嘆いている・・・という声を聞きました。)
保護者:確かにそうですよね。
教員:加えて、プログラミングをしようと思ったら、キーボードがなくては話になりません。そういったことを考え、本校ではタブレット(iPad)とノートPC(2in1)の長所短所をそれぞれ比較検討し、最終的に2in1タイプの Windows PC の導入を決めました。
保護者:確かに、赴任先の学校でもタブレット(iPad)では限界があるという認識のようです。教室だけに限定して使うのであれば、フリック入力やアプリ操作の容易さから導入もありなんでしょうが、社会に出れば話は別。圧倒的にWindows ノートPC を使えるスキルが問われます。なので、滋賀学園がタブレット(iPad)ではなく Windows PC(2in1)を導入をされていることに賛同し、大きな期待を感じます。
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お父さんの名刺には Vice President と記されていて、そんな立場の人にここまで理解してもらえたことがすごく嬉しかった・・・と担当部長は言っていました。
まさに、そのとおり! タブレットの導入が声高に叫ばれていますが、どう考えてもそれで十分だとは言えません。
いずれ社会に出て”仕事”をする立場になったとき、いえ、大学でさらに学びを深めようと思った時点で、フリック入力に依存したタブレット操作スキルだけでは役不足です。
スマートフォンを持ち、それを使っているのなら、敢えてそこにタブレット端末を加える必要性は低いと思います。それよりも、モバイルPCを相棒に持つ。それこそが理に適ったスタイルです。
2in1タイプならタブレットとPCの長所を兼ね備えていますし、さらにネット環境が充実してくれば、Chromebookも選択肢の一つになると思います。
ポケモンGO騒ぎではありませんが、タブレット導入という言葉に学校現場が振り回されない判断が大事だと、改めて感じたひとときでした。

安居 長敏(やすい ながとし)
滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。
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