みなさん、こんにちは。
6月に入りました。夏休みまで1ヶ月と半月。暑さ、体調に気をつけながら、夏休みまでの日々を乗り越えていきましょう!
さて、前回は「指導言を鍛える」というお話でした。
・ 授業の最初、つまり導入での「大きなゆさぶり」。
・ 授業の要所要所での質問形式での「小さなゆさぶり」
・ 最後に、まとめ的な「締めのゆさぶり」(「まとめ的」なものをしながら、「オープンエンド」をするようします。)
※ 以上3つの「ゆさぶり」については前回を参照してください。
前回は、「大きなゆさぶり」について話をしました。今回は、2番目の「小さなゆさぶり」についてです。「小さなゆさぶり」とは、授業の途中での「質問」と似ています。しかし、「質問」とはちがうものです。今回は、光村図書の国語科六年生の物語文、重松清さんの「カレーライス」を例にとって紹介していきます。
※ 著作権の関係により、「カレーライス」の本文や詳しい内容を載せる事は控えさせていただきます。ご了承ください。
物語文でよく使われる「質問」、それは「主人公の○○はどんな気持ちでしょうか。」というものです。「物語文」=「主人公の気持ちを考えるもの」と考えられている傾向が強いようです。もちろん、主人公の気持ち自体を考えることは大切なことです。しかし、「主人公の気持ちのみ」に限定した「質問」では、子どもたちの興味をひくことはできず、一部の出来る子のみが発表をする授業で終わってしまいます。
この場合、私はこんな「発問」で「ゆさぶり」ました。
カレーライスは、場面が大きく分けて3つに分かれます。「お父さんウィーク1日目」「お父さんウィーク2日目」「お父さんウィーク3日目」です。その3日間のお話です。日にちが進むにつれて、主人公が成長していきます。その心の変化をとらえることが大切です。ここでは、3つの場面ごとに・・・
「( )な○○○(主人公の名前)」と黒板に書き、「( )に入る言葉を場面ごとに考えさせました。この時、分かる子だけの発表にはしません。まず、個人でじっくり考える時間を確保します。教科書を何度も読み返したり、国語辞典を引いたりしていました。そして、友達と意見を交換し、その後、友達の意見を全体に紹介したり、自分の意見を発表したりしました。
しかし、それだけでは国語の学習として弱いと私は考えました。主人公の気持ちは変化した原因や他の登場人物との関わりを理解しなければ、物語のおもしろさを理解させることはできません。そこで、「( )な○○○(主人公の名前)に< >するお父さん」と黒板に書き、同じように考えさせ、交流し、発表させました。
3つの場面とも、このような同じようなパターンで進めていきました。学習パターンが分かる・・・ということは、特別支援の観点からしても優れている方法だと思います。そして、このように物語文が学習すればよいのだという「学習方法の習得」につながると思っています。
少し難しかったかもしれませんが、「小さなゆさぶり」は、授業途中の「質問」とはちがいます。より「具体的」に「全員」は「考えたくなる」「調べたくなる」そして、「交流できる(つまり考えがいくつも出る可能性があるもの)」が「小さなゆさぶり」です。
私は、どの教科でも45分の授業で、3つは「小さなゆさぶり」を考えるようにしています。もちろん、3つ全てできるとは限りませんが、この「小さなゆさぶり」を考えることが、教師の授業上達の秘訣でもあり、また、子どもたちを「学習好き」「追求の鬼(有田先生のお言葉です)」を育てる秘訣でもあると思います。
今回は、国語科で高名な白石先生や二瓶先生、青山先生、桂先生のお考えも参考にしています。
次回は、「締めのゆさぶり」「オープンエンド」についてお話します。
それでは。

松森 靖行(まつもり やすゆき)
大阪府公立小学校教諭
休日には全国の教員セミナーに講師・受講者として参加、仲間と切磋琢磨しています。2014年度は大阪府の教員となり、若手教員研修を担当。若手の皆さんと一緒に学び直しをしています。
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