2016.03.23
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甲子園の教材化と入学式変革

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

積極的にICTの導入・活用を進めている本校では、来年度から中高の新入生全員に「2in1 タブレットPC」を購入してもらうことにしました。制服や学用品と同じように生徒個人の所有で、学校で使うことはもちろん、自宅でも自由に使ってもらい、シームレスな学びの環境を提供することをめざします。

リスクを恐れていては、私立はやっていけない

ICT環境整備に限らず、公立学校であれば県や市町の教育委員会が財政や体制面でさまざまな支援をしてくれますが、私立ではすべて「自前」で用意しなければなりません。他からの制約なしに、自由に構築していける利点を活かしつつ、いかに効率よくやっていくかが問われます。

学校経営に直結する「生徒募集」を考えると、他の学校にはない特色や魅力、実績、つまり「その学校に行く理由」を受験生に持ってもらうことが私立の生命線です。そのためには「待つ」より「攻める」姿勢が欠かせません。どこかにある、成功(と思われる)事例を持ってくれば良いというわけにはいかないのです。

本校では、これまでの ”つれづれ日誌” にも書かせていただいたように、昨今の教育改革をチャンスと捉え、他に先駆けて学校を変えていこうとしています。

失敗を恐れず、やってみる。

教職員全員の合意を得ることよりも、良いと思ったことはどんどん生徒に提供し、そこで出てきた問題点を修正改善していくことを基本にしています。

甲子園も教材に

そのひとつとして、今春、本校が第88回選抜高等学校野球大会に出場するのを機に、データ分析・解読・活用スキルを高めることをめざしたProjectを、校長自ら仕掛けました。

自チームや相手チームの試合データをパソコンに入力し、たとえば投手なら、カウントや走者の有無など条件を変えるだけで、その状況における各投手のコースや球種がチャートやグラフで表示され、傾向がわかります。

先日の1回戦を前に2度、選手や監督らが会議室に集まり、IT企業の担当者を交え、直球と変化球の比率、安打になった球種など投手や打者のデータを数字や円グラフで表示し、分析会を開きました。監督曰く「球場で感じていたことが数字で出ている」。

しかし、これは野球部が試合で生かすことだけが目的ではありません。新学期からは生徒たちが野球データを授業で使います。甲子園を教材に、データの実践的な活用術を学ぶことを狙っています。

本校は昨年春、1クラス分としてタブレット端末21台を導入しました。3学期には「東近江市の人口を10年後に2倍にするにはどうしたらいいか」という課題を与え、生徒たちに端末で情報を集め、解決策を立案するProjectを授業で課しました。

その流れをさらに拡大すべく、学校備品の端末ではなく、今春の新入生から全員に個人所有の2in1タブレットPC端末を1台ずつ持たせ、一般教科の授業で黒板やノートの代わりに使うことにしました。それぞれの生徒の解答を教師、生徒全員で瞬時に共有することも可能で、学習履歴の管理や学校と家庭の連絡にも役立ちます。

詳しいことは導入後、改めてレポートしますのでご期待ください。

入学式で校長の「白熱教室」

また、生徒個人に端末を購入してもらうということは、目的を持ってしっかり使うということを生徒や保護者に納得してもらわなければなりません。その機会として入学式を使い、校長が「白熱教室」授業をすることにしました。

これまで1時間だった厳粛な式典を1時間35分に延長した2部形式に改め、前半40分が第1部の厳粛な式典、5分の場面転換を挟み、後半50分が第2部の白熱教室授業。ラウンドステージを取り巻くように、新入生が座る椅子の配置もクラスごとに縦列ではなく扇形に並べます。

現在の社会がどうなっていて、どんな力を身につけておく必要があるのか。どういう意図で端末を使い、どのような力を育てたいのか・・・。校長が積極的に語りかけ、発言を促し、校長と新入生のInteractiveなやり取りを進めていきます。

いつ指されるかドキドキしながらの傾聴と発言の時間を通して、滋賀学園の未来、新入生の未来を熱く語り合う時間を持つ。

新入生に事前アンケートを実施し、新入生の率直な意見を受けて校長が答える方式なども取り入れ、双方向性を拡大。みんなでつくっていく滋賀学園であることを伝えようと思っています。

これについても、4月8日の入学式後、改めてご報告させていただきます。お楽しみに!

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

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