2015.01.15
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外国語活動の授業を充実させるために押さえておきたいポイント PART1

倉敷市立連島南小学校 教諭 江尻 寛正

 2015年が始まりました。今年度も残り数ヶ月です。残された日々で子どもたちのためにできることを一生懸命やっていきたいと思っています。

 また、このつれづれ日誌では、「外国語活動の授業が少しでも充実していくように」と願い、自分の経験と考えを執筆させていただいています。残りは5回となりました。読者の皆様にとって、参考になる点が少しでもあればと思います。今後もよろしくお願いいたします。

 

 BRASILの風(5)

  前回の解答からです。ブラジルのスーパーでの、日本ではありえないような話についてです。さて、それは何でしょう。

 (1)おつりがアバウトで、少し足りなかったり、少し多かったりする。
 (2)まだお金を払っていないものを食べる。
 (3)野菜の必要ない部分(皮など)をはいで捨てる。
 正解は・・・3つ全てです。

 (1)について。スーパーの値段は「○.○○レアル」と百分の一まで表記されています。しかし、百分の一の硬貨は日常であまり目にしません。なので、切り捨てられることがほとんどです。買い手としては得をした気分になるのですが、スーパー側の立場になってみると会計処理はどうなっているのかが気になります・・・。また、庶民的な飲み屋などでは小銭がないこともよくあり、私はお釣りの代わりにチョコレートをもらったこともあります。

 (2)について。レジの行列がとても長いのですが、その間に小さい子どもが泣くと親がお菓子を食べさせる姿をよく見ます。大人も買う物を食べながら並ぶことがあります。「必ず買うんだからいいでしょ。」という感覚です。だからレジでは、すでに開けられているお菓子の袋を渡すことになります。だからレジの人もカゴの商品を全て入力した後、「他には何かない?」と必ず聞いています。

 (3)ブラジルのスーパーでは野菜が山のように積まれています。好きな量を取り、レジで量り、代金を払います。だから、余計な皮がついていると損するわけです。もちろん店側もそれを承知していて、玉ねぎ売り場の横にはゴミ箱が置いてあります。

 日本だとなかなかありえない話(キャベツの外皮を捨てるゴミ箱は見たことがあります)ですが、よく考えると合理的な部分も多いなあと思います。国際理解の第一歩は、違いを知り、認め合うこと。その一つの例になると思います。

 

 外国語活動の授業を充実させるポイント PART1 

文部科学省が平成21年度に行った「英語教育改善のための調査研究事業に関するアンケート調査」の結果(が公表されています。http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/__icsFiles/afieldfile/2010/12/06/1299796_1.pdf

 この中で私が注目した数字が2つあります。

 

外国語活動の授業ではゲームが大人気! 

 1つ目は75.1%という数字です。これは、「英語の授業で楽しいと思うことは何か」という項目についての解答です。結果は予想通りで「ゲーム」の支持率が圧倒的でした。なんと75.1%です。現場の感覚からも、これは頷く結果だと思います。子どもがゲームを楽しむことは分かるので、授業の中に組み込むことが多いわけです。しかし、「ゲームを楽しんでいるだけでいいのか」「ゲームに勝つことが目的になっている」という葛藤があるという話もよく聞きます。
 
 そんなことを考えながらアンケート結果を見ていくと、興味深い数字がもう1つ出てきます。2つ目の注目した数字は82.5%です。
 

ゲームを超える支持率82.5%!さて、それは・・・

 指導者から見て「ゲームをすることが楽しい」と答える子どもが多いのは分かります。でも、それを超える支持率があるのです。なんと、82.5%です。一体、なんだと思いますか?
その数字が出てくる質問とは「英語が使えるようになりたいですか」です。この質問に対して「そう思う」と答えた子どもが82.5%いたということです。
 

 この数字を見ると、「楽しい」という一時的で感覚的なものよりも、「使える」という長期的で有用感のあるものの方に、より高い子どもの意識があることが分かります。2つの数字を比較しながら見ると、子どもの中にも「ゲームをしていても英語を使えるようにはならない」と感じている子がいるように思えてきます。

 それをふまえて、外国語活動の授業を充実させるための1つ目のポイントです。

 子どもは「ゲームをすることが楽しい」と感じています。でも、それ以上に「英語を使えるようになりたい」と願っています。指導者が授業を組み立てるにあたっては、「楽しいゲームを取り入れる」以上に、「英語が使えるようになりたい」という子どもの願いを叶える内容を考えることが大切だと思います。

 そのための具体的な方法として私は2つの視点を考えています。

  ○目標を子どもとシェアすること
  ○具体的な使用場面を設定すること

 これら2つについて、次号以降でお伝えしていきたいと思います。

 

 BRASILの風(6)

  サンパウロでは日本料理は人気があります。聞いた話によると、ブラジル料理で有名な”シュハスコ”のレストランより、”寿司屋”の方がサンパウロには多いと聞いたことがあります。

 さて、その寿司屋ですが、日本ではあまり見ないネタがありました。さて、それは何でしょう。

 答えは次回に! 

江尻 寛正(えじり ひろまさ)

倉敷市立連島南小学校 教諭
アクティブラーニングを意識した“子どもが学修する”小学校英語教育実践を紹介したいと思います。平成26年度「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)特選受賞、「小学校外国語活動研修ガイドブック」(文部科学省)や「英語教育」(大修館書店)等で執筆協力。

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  • 常名 剛司

    静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭

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