外国語が教科化されて…
小学校高学年における外国語が教科化されて3年以上経ちました。
外国語活動であったものが教科化となって、指導者の専門性や授業づくり、評価方法など様々な困難さが話題となりました。
個人的な感覚ですが、現場の様子は一時期よりも落ち着いてきたのではないかと感じます。
それはこの3年間においてそれぞれの先生方が試行錯誤しながら指導の工夫を行ってきたからであると思います。
落ち着いてきたからこそ、もう一度教科書の活用について考えてみるべきです。
教科書には良質な音声教材や指導者用のスクリプトが付属しています。
これを使わない手はありません。
小学校外国語教育は、次のステップに向けての過渡期に入っていると考えています。
これからは中学生にむけて「音と文字との融合」を目指すべきです。
決して中学校の英語科の授業の前倒しではなく…
「文字」という言葉が出ると、どうしても中学校における英語科の授業の前倒しと思われがちですが、そうではありません。
みなさんご存知の通り、小学校外国語教育においては音声が非常に大切にされています。
その大切にされてきたことに、日々の授業の中で少しだけスパイスを加えると考えていただければ思います。
教科書を活用することで、音中心であった児童の外国語への意識を文字に向けることができます。
ポイントは「いかに慣れ親しんだ音と文字と結びつけるか」です。
例えば、何度も聞いている外国語の物語。
※教科書会社によっては収録されていないものもあります。
スクリプトを配ると…
(自然と指で追いながら…)
こう読むのか!こんな風に書くのか!
まさに何度も慣れ親しんだ音と文字が融合する瞬間です。
ひとつの授業の中でこんな気づきが少しだけあると素晴らしいですね。
イラストを「読んでいる」子どもたち?
小学校の外国語科の教科書では文字とイラストが一緒に掲載されています。
子どもたちの目の動きはイラストを見て、音声を発していることが多いです。
そのためチャンツも文字を読むのではなく、イラストを見て発音する(もしくは暗記する)活動になってしまっていることが多いです。
そこで慣れ親しんだチャンツで掲載されているイラストを隠して読むことで文字と音が結びついているか確認できます。
子どもたちも文字に意識を向けるので、「読めない!」「こう読むのかな?」と新しい気づきを得ることができます。
勤務している自治体では、三省堂の『Crown Jr.』を使用しています。
Enjoy ReadingやStoryなど音と文字を結びつけるために使える教材がたくさん掲載されています。
使用するためのヒント集「教科書活用法」を参考資料として添付しました。
普段の授業でご活用ください。
※著作権の関係上、イラスト等掲載することができませんが、ご了承ください。
ぜひ「音と文字の融合」を目指して日々取り組んでみてはいかがでしょうか?
参考資料
羽渕 弘毅(はぶち こうき)
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭
専門は英語教育学(小学校)、学習評価、ICT活用。 広島大学教育学部を卒業後、高等学校での勤務経験を経て、現職。 これまで文部科学省指定の英語教育強化地域拠点事業での公開授業や全国での実践・研究発表を行っている。 働きながらの大学院生活(関西大学大学院外国語教育学研究科修士課程)を終え、「これからの教育の在り方」を探求中。 自称、教育界きってのオリックスファン。
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