2014.11.21
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担任が外国語を使うモデルになる!

倉敷市立連島南小学校 教諭 江尻 寛正

  BRASILの風(2)の解説

 前回のゴミを捨てるブラジル人たちの話から。

  私      『どうして道にゴミを捨てるんだ?』

  ブラジル人    『俺が捨てないとゴミを集める人の仕事がなくなるだろ。』

 

 日本人にとっては、「理屈は分かるけど・・・」というところだと思います。これには、国の状況や学制・就業率といったいろいろな問題がかかわっています。「日本の常識」だけで判断するのではなく、「郷に入りては郷に従え」と、その国の事情を理解していく姿勢が国際理解につながっていくと思います。

 ただ、最近のブラジル事情は少し変わってきていて、ゴミを投棄することはやはり問題ではないかとなっているようです。

『ニッケイ新聞:サンパウロ市=道路のゴミ捨てに罰金か=分別回収の流れも加速』
http://www.nikkeyshimbun.jp/2014/141001-02topics.html

 また、日本人サッカーサポーターの影響では?と言われることもあり、うれしいなと思います。

『NHK「国際報道2014」 [WORLD LOUNGE] :ブラジルで広がる日本流「ゴミ拾い」』
 http://www.nhk.or.jp/(NHKトップページへリンク)

 

 担任がコミュニケーションのとり方のモデルになる

 外国語活動の目標は、英語を覚えることではなく、コミュニケーション能力の素地を養うことです。つまり、小学校外国語活動の指導者には「英語を教える」ことではなく、「コミュニケーションのとり方を教える」ことが求められているわけです。

 しかし、「コミュニケーションのとり方」はどう教えるのでしょう。

 言って聞かせるだけでは難しいでしょう。また、「ALTとコミュニケーションを積極的にとりましょう」と言いながら、担任は教室横で見ていて叱咤激励するだけでは違ったメッセージを子どもに伝えてしまいます。

 やはり大切なのは、指導者自らがALTとコミュニケーションをとる場面を見せることではないでしょうか。でも、「私は英語を聞いても分からないし・・・。」「僕は英語が苦手なのに・・・。」という声が聞こえそうです。

そんな方への5つのアドバイスです。

 

(1)英語でのあいさつを笑顔でしてみましょう。

 →定型なのでいつでもできるし、くりかえすことで自信がついてきます。

(2)自分からALTに英語で質問を2つしてみましょう。

 →自分から質問するので返ってくる答えの予想はつくはずです。返ってくる英語が分かれば自信がつきます。

(3)返ってきた答えの最後を繰り返してみましょう。

 →例えば、What food do you like?と質問をして、I like apples.と返ってきたら、”Oh, apples!"と言ってみましょう。

(4)意味がよく分からない場合はもう一度言ってもらったり、逆に質問したりしましょう。

 →”One more time, please.” ”Apples?”など。

(5)英語が出てこない時は、その状況を英語で言うようにしましょう。

 →”Well...” ”Wait a minute.”など。

 

 私が外国語活動に取り組み始めたときは、授業で自分が話す可能性のある言葉を全て日本語で書き出し、A4約3枚から5枚にわたるものを英語が堪能な他の先生に全て訳してもらっていました。それらを全て丸暗記して、授業に臨んでいました。本当に必死でした。でも、いつもいつもは続きません。そこで、何とかコツはないのかなぁと考え、これらの5つが残りました。

 この5つを使えば、英語でコミュニケーションをはかっているように見えてきます。「○○先生、英語がペラペラですね。」と言われることもあるでしょう。特に(3)や(4)は、話しているALTの立場になると、コミュニケーションをはかっているように”みえる”のではなく、”とっている”と感じられるようです。ぜひ使ってみてほしいと思います。

 学級担任が英語でのコミュニケーションのとり方を教えるのではなく”見せる”ことで、子どもは”学ぶ”ことになります。そして、(1)から(5)を子どもにも”させてみる”のです。すると、子どもも英語を使ってのコミュニケーションのとり方が実感できます。

 

 担任がモデルになる別の例(板書がノートのモデル)

  担任が学び方のモデルになるのは何も外国語活動に限ったわけではありません。例えば、ノート指導においても同じだと思います。

 具体的には、教師にとってのノートである”黒板の板書”が子どもの”ノートのモデル”になると思います。「こう書くと整理されるよ。」「こことここが関連しているので矢印をつかって可視化しよう。」「絵や図を書くと分かりやすいよ。」と言いながら板書することで、子どものノートが変わってきます。 

 私の板書の写真をアップしているBlogです。興味があればアクセスしてみてください。

 

  http://ameblo.jp/g-hips/

 

 私は板書を工夫し、それを”見せ”ます。どう工夫しているかを解説します。そしてそれを子どもに”させて”みます。それを続けると、「板書の丸写し」ではなく、状況に応じて「自分でノートの工夫をすること」ができるようになってきます。だから、うちのクラスの子どもたちのノートは多種多様です。『先生は表に整理したけど、私はベン図を使う方が分かりやすい』とか、『話だけでは分からないので僕は絵を描いておく』『矢印を使ってマーキングしておこう』といったことが当たり前になってきます。こういう工夫を自分ですることで思考力がついてくるし、図を使って可視化することは表現力アップにもつながると思います。

 外国語活動でも、各教科でのノートでも、その他の教育活動でも、伝えたいことを一番伝えやすいのが”モデルになる”ということだと思います。もちろん”伝えたいこと”以外でもモデルになってしまうことがあります。「整理整頓をしなさい」と言いながら、自分の教室や職員室の机の中がぐちゃぐちゃなこともあり・・・。自戒をこめながら、モデルになることの教育効果を大切にしていきたいと思います。

 

BRASILの風(3)

 祝日はどこの国にもありますが、どんな日が休みかは国によって違います。

 日本らしい祝日と言えば何が思い浮かぶでしょうか。端午の節句?敬老感謝の日?

 では、ここでクイズです。次のうち、ブラジルに本当にある祝日はどれでしょう。

  (1)おいしくコーヒーを飲む日

  (2)サッカーのブラジル代表戦

  (3)カーニバルで燃え尽きた日

 答えと解説は次回に!

江尻 寛正(えじり ひろまさ)

倉敷市立連島南小学校 教諭
アクティブラーニングを意識した“子どもが学修する”小学校英語教育実践を紹介したいと思います。平成26年度「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)特選受賞、「小学校外国語活動研修ガイドブック」(文部科学省)や「英語教育」(大修館書店)等で執筆協力。

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  • 常名 剛司

    静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭

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