2024.11.01
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探求1:アメリカの小学校でよく使われるグラフィックオーガナイザーシート3つを紹介

グラフィックオーガナイザーとは、考えを整理するために使われる、視覚的思考ツールです。アメリカの学校では初等教育から思考を可視化するグラフィックオーガナイザーを活用します。 話合いや学び合いの過程が目に見える形で残り、生徒たちが学びを実感することができます。複雑な概念を明確にしたり、簡素化したり、問題解決や意思決定に役立てたり、アイデアのブレーンストーミングに使ったりすることもできます。学びの振り返りをするエグジットチケットでもグラフィックオーガナイザーはよく使われます。今日はアメリカのどの教室でも毎日使われるグラフィックオーガナイザーの3つを紹介します。

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師 下條 綾乃

1.Venn Diagram

 

Venn Diagram

イギリスの論理学者であり、哲学者であったジョン・ヴェン(1834-1923)によって発明されたヴェン・ダイアグラムは、2つの円が連動するグラフィックオーガナイザーです。
2つのトピックの相違点と類似点を識別するために使用しています。
トピックによっては円が3つになったり4つになったりします。
ベン図は、2つのトピックを比較対照するために使用できます。
例えば、日米の文化や習慣において、生徒はベン図を使って、相違点や類似点を視覚的に簡潔にまとめることができます。
ベン図をつかってグループやペアで考えを発表したり、学びの振り返りをすることもあります。

2. Concept Map / Spider Map

 

Concept Map

コンセプトマップの手法は、1960年代にコーネル大学のジョセフ・D・ノヴァク博士によって開発されました。
コンセプト・マップは、各円を矢印でつないだ網の目のようなグラフィックオーガナイザーです。
主概念と副概念を識別するのに役に立ち、思考を視覚的に整理したり、階層的な情報を説明したりする時に使います。
アメリカの教室ではさまざまな方法で使用されているコンセプトマッピング。
多くの教師は、トピックに関する生徒の予備知識を評価するために、このオーガナイザーを好んで使用します。
例えば私のクラスでは日本語や日本文化の側面を学習前学習後に使用したりしています。
色分けして学習後に分かったことが視覚化できるようにしています。

3. KWL Chart

 

KWL Chart

KWLチャート(Know-How-Learned)は、シカゴ、ナショナル・ルイス大学のリーディングと言語の名誉教授であるドナ・M・オグルによって考案されました。
彼女は、教育者が生徒に読み書きを効果的に教えるのに役立つ様な戦略について深く研究していて、教師が生徒に適切な読み方を教えるのに役立つよう、特にKWLチャートを作成しました。
現在ではこのチャートは科学や歴史など様々な教科に活用されています。
この視覚的な学習ツールは、3つの質問から成り、それぞれが自分の列(「知っていること」「知りたいこと」「学んだこと」)に並んでいます。
私のクラスではKWLチャートを学びの振り返りアセスメントによく使っています。

グラフィックオーガナイザーは、学びのトピックを視覚的に構造化し、生徒を能動的に活動へ導くことができるツールです。
次回はアメリカの小学校でこのグラフィックオーガナイザーの活用法を紹介します。

※図は筆者作成

下條 綾乃(しもじょう あやの)

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
日本語学校や領事館等で日本語を教えた後、米軍基地内の公立アメリカンスクールで日本語日本文化を教えて20年ほどになります。何年経っても毎日驚きと気づきがあり、それらの一部を皆さんと少しでも多くシェアできたら嬉しいです。外国の子供達に自分の話す言葉や習慣、文化を教えることの楽しさ、難しさ、面白さを呟いていきます。

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