アメリカの学校のスクールカウンセラーとは? "Elementary School Counselor"
以前、こちらの学校で働く同僚、図書館員の仕事を紹介しました。日米の学校で働く人たちを比較してみると、職員の配置人数、職務内容、持っている資格や経験もかなり異なると感じます。そして学校で子どもたちと携わる専門職と呼ばれるカウンセラーや図書館司書などは教室での職務経験2年以上が条件に挙げられます。こちらの学校には常勤のスクールカウンセラーと心理士が一人ずつ配置され、外部委託のカウンセラーも二人います。500人以上の生徒数を抱える学校になると常勤のスクールカウンセラーが二人配属になります。
今日は同僚のスクールカウンセラーのAさんにインタビューしました。
在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師 下條 綾乃
1. 教育分野での経験について教えてください

2011年にテキサスで幼稚園教諭として働き始めました。
転校して1年生のバイリンガルクラスで3年間働きました。
その後、5年生に移るように言われ、そこで3年間クラス担任をしました。
それから中学校がどんなところか知りたかったので、8年生(日本で言う中学3年生です)で2年間スペイン語を教えました。
その後スクールカウンセリングプログラムを卒業し、スクールカウンセラーとして2年半勤務しました。
そしてこちらの学校で一年幼稚園教諭を経てスクールカウンセラーになりました。
今年2年目になります。
2. カウンセラーとしての日々の様子を教えてください。
-1日の仕事:朝の生徒の出迎え、教室でのチェックイン、生徒へのカウンセリングの授業、ランチグループとのミーティング、カウンセリングのために教室に戻る、生徒の下校、必要に応じてスタッフとのミーティング。
-週ごとの仕事:必要に応じて生徒と1対1で面談、ケースロードの生徒のチェックイン、教師から持ち込まれたケースの対応、生徒を観察するために教室に入り、生徒と一緒に仕事をする/生徒についてもっと知る。
-毎月の仕事:保護者との面談、教師との面談で生徒のニーズについて話す、さまざまなプログラムの教師と面談し、協力して生徒を見直す、地区のカウンセラーと面談する、スクールカウンセラーの研修を受ける。
このような感じです。その他に託される仕事も沢山あります。
3. 学校での仕事を簡潔にリストアップしてみるとこのようになります。
-学校と生徒のニーズに基づいて年間カウンセリング計画を立てる。
-欠席、行動、学業成績など、学校に影響を与える問題を特定する。
-生徒の社会的、感情的、学業的、個人的な問題を解決するためのスキルやツールを学校全体で教える。更に各学年クラスを訪れグループワークを実践する。
-短期間の小グループおよび個人カウンセリングを行う。例えば子どもたちのグループを昼食時間に部屋に招待して食事をしながらワークショップを行う。
-生徒の成績向上のために、職員や保護者と協力する。
-地域社会の人々を学校と協力させる。例えばキャリア教育等のイベントを開催し子どもたちに未来の職業を体験紹介しながら地域に人たちとの協力を促す。
4. アメリカの学校でスクールカウンセラーになるにはどのようなステップが必要ですか?
私の場合、テキサス州でスクールカウンセラーになるには、スクールカウンセリングの修士号を持っていること、学校の教師として2年間の経験があること、州によって義務付けられている認定試験を受けることが必要でしたので、教師をしてキャリアを磨きながらこれらの資格を取得しました。
5. 仕事で楽しい面とチェレンジな面を教えてください。
私の仕事で楽しいことは、生徒たちと一緒に過ごしながら仕事ができることです。そして私が彼らの人生に役立つツールを提供できることです。私は生徒とつながるのが大好きで、生徒が私から学ぶのと同じくらい、私も生徒から学ぶことが多いです。この仕事をしていて大変だと思うこと、最大の課題のひとつは、生徒が学校にいる間はできる限りの手助けを提供することができますが、学校の外で起こることに関してはすべて私の手に負えないということです。

下條 綾乃(しもじょう あやの)
在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
日本語学校や領事館等で日本語を教えた後、米軍基地内の公立アメリカンスクールで日本語日本文化を教えて20年ほどになります。何年経っても毎日驚きと気づきがあり、それらの一部を皆さんと少しでも多くシェアできたら嬉しいです。外国の子供達に自分の話す言葉や習慣、文化を教えることの楽しさ、難しさ、面白さを呟いていきます。
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