2024.03.04
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キャリア教育の視点からの取り組み『らしさ発見プログラム』(2)

本校では、学校教育目標を「心~魅力ある生徒の育成~」と掲げ、その実現に向け、基礎的・汎用的能力の育成を目指した、様々なキャリア教育の取り組みを進めています。
その成果が認められ、平成31年1月には、キャリア教育優良学校として、文部科学大臣表彰を受けました。
前回に続き、主にキャリア教育の視点からの、NPO法人JAEやNPO法人xTReeE(クロスツリー)と、学校との協働プログラムである『らしさ発見プログラム』の取り組みを紹介していきます。

大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー 青木 信一

『らしさ発見プログラム』

教室にいる子どもたちと、全国にいるキャリアコンサルタントをオンラインで繋ぎ、子どもたち一人ひとりとキャリアコンサルタントが個別に対話をするなかで、子どもたちの将来に向かっての歩みを応援する、NPO法人JAEやNPO法人xTReeEと、学校による協働プログラムです。

活動内容

全国のキャリアコンサルタントさんと

〇事前学習
ワークシート記入(前回の記事にて紹介

〇交流学習
第1時・・最初に、NPO法人の方より、出前授業をしていただきました。アイスブレークや、前回のワークシートでの事前学習のふりかえりをした後、当時、社会現象ともなっていたガールズグループNiziUをプロデュースするJ.Y.Parkさんを題材に、その人の気持ちや、その人らしさを大切に、その人の良さを伸ばす大切さ、といった内容の授業は、子どもたちにとって、とても身近に感じることができる題材で、子どもたちの緊張は、すぐにほぐれました。
その後、全国にいるキャリアコンサルタントさんと、子どもたちをオンラインで繋ぎ、自己紹介や今回の取り組みの意義、目的について、話をしていただきました。また、ドラえもんに出てくる、のび太君を題材に「弱み→強み」変換例を紹介していただいたり、共感的・受容的な態度で、友だちの話を聞いたり、自分の考えを伝えることの大切さについて、話をしていただきました。

第2時・・子どもたちは、メインブースで班活動をしながら、順番が来たら、個別のブース(全6ブース・各ブース1人7分×5名ずつ)に入り、キャリアコンサルタントさんとオンラインでの個別対話の時間を設けました。当初、全く面識がない大人と、オンラインとはいえ、1対1で話をするという活動が成立するのか、という不安がありましたが、そこは、さすがはプロのキャリアコンサルタントさんたち。子どもたちの内面をうまく引き出してくださり、時間を持て余すブースは全くなかったです。
また、当日はICT機器のアクシデントやトラブルに備え、ICT担当スタッフの方にも常駐いただくことで、教員の方も不安なく過ごすことができました。活動の最後には、再度全員がメインブースに戻り、感想を共有するふりかえりの時間を設けました。

〇事後学習
「未来への手紙」記入 
活動後、授業を通して発見した自分の強みや良さなどをもとに、2年後の自分に向けての手紙を書きました。この手紙には、今回発見した自分の新しい一面や、2年後の自分を勇気づける内容も記入するようアドバイスし完成した手紙には封をして、教員が預かり、卒業式の日に本人に返却しました。

活動の成果

事前と事後の4件法(とても思う・まあそう思う・あまりそう思わない・まったく思わない)による生徒アンケートでは、➀自分によい所があると思うか ②私は自分自身に満足している ③自分の夢や目標を持っている ④将来の自分を想像するとワクワクする といういずれの項目においても(とても思う、まあそう思う)のポジティブ回答において、上昇が見られました。

次に授業後に書いた子どもたちの感想をいくつか紹介します。
・普段、自分が短所だと思っているところでも、実は長所だということが分かった。お家のお母さんやお父さんが、自分の良い所をたくさん見つけてくれてうれしかった。
・キャリアコンサルタントさんの話を聞いて、もやもやしていいんだ、短所があってもいいんだ、と思ったのですごく楽になった。
・短所や弱みは恥ずかしいことではないし、逆に個性なんだと思えるようになった。

今後の課題や展望

キャリア教育がめざす、子どもたちの基礎的・汎用的能力を育成していくにあたり『らしさ発見プログラム』の導入は、大いに効果的であると考えます。しかしながら、一般化という観点では、実施人数に限界があること、学校のインターネット環境の問題、予算面など、クリアしていくべき課題もあります。
今後、NPO法人と学校との連携や協働が今以上に進み『らしさ発見プログラム』がますます進化していくことを大いに期待しています。
次回は、本校のキャリア教育に関わってくださった、学校外の方々からの視点を紹介していきます。

青木 信一(あおき しんいち)

大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー、スクールカウンセリング推進協議会認定ガイダンスカウンセラー
大阪市立中学校で社会科教諭をしています。日本キャリア教育学会認定のキャリアカウンセラーとして、中学校教諭の立場から、積極的にキャリア教育の推進と普及に取り組んでいます。


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