2024.02.09
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キャリア教育の視点からの取り組み「らしさ発見プログラム」(1)

本校では、学校教育目標を「心~魅力ある生徒の育成」と掲げ、その実現に向け、基礎的・汎用的能力の育成を目指した、様々なキャリア教育の取り組みを進めています。その成果が認められ、平成31年1月には、キャリア教育優良学校として、文部科学大臣表彰を受賞しました。過去の配信では、主にキャリア教育の視点からの「笑育」や「キャリア・タイム」の取り組みを紹介しました。今回の配信から、NPO法人JAEやNPO法人xTReeF(多数のキャリアコンサルタントが所属)と、学校との協働プログラムである「らしさ発見プログラム」の取り組みを紹介していきます。

大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー 青木 信一

「キャリアコンサルタント」とは

相談者の職業の選択、職業生活の設計、職業能力の開発・向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行い、相談者がより良い人生を送り、自分が望む生き方を実現できるよう支援する専門家のことです。2016年に国家資格化され、全国に68446名、大阪府には5667名のキャリアコンサルタントがいます(2023年7月現在)。
キャリアコンサルタントが、個別最適な質の良い対話ができるナナメの関係性の専門家として、心理的安全性を確保したうえで、子どもたちのなかにあるありたい姿を掘り起こすことで、子どもたちにとっては、肯定的に自己を理解することができる、興味関心に基づく職業観を考えることができる、生き方や進路に関する前向きな探索ができる、といった効果があると考えられます。また、教員にとっては、専門家の伴走により、生徒指導と学習指導の両側面を効果的に発達させる授業を実施することができます。

「らしさ発見プログラム」とは

教室にいる子どもたちと、全国にいるキャリアコンサルタントをオンラインで繋ぎ、子どもたち一人ひとりとキャリアコンサルタントが個別に対話をするなかで、子どもたちの将来に向かっての歩みを応援する、NPO法人JAEやNPO法人xTReeE(クロスツリー)と、学校による協働プログラムです。本校では、コロナ禍で、学校の取り組みにたくさんの制限がかかった4年前に、職場体験から新たなキャリア教育体験への移行のひとつとして試行的に実施して以来、今年度で4回目の実施となりました。今回と次回の配信では、主に初年度に実施したオーソドックスな形を紹介します。

実施計画

目的・・➀仲間や専門家(キャリアコンサルタント)との対話を通して、自他の「よさ・もちあじ」を見つける「まなざし」を育む。
②長所と短所は表裏一体の個性であるという気づきを促し、自分自身の「よさ・もちあじ」に気付く。

対象・・第1学年30名(学年在籍数は約180名。あとの150名は、大阪企業家ミュージアムを活用した「企業家精神醸成教育」、大阪ユニセフ協会と連携した「100人の村」出前授業などの講座を受講)

時数・・全3時間(1・事前学習、2・3交流学習)

事前学習

最初に「自分らしさについて考えよう」という、ワークシートに子どもたちが各自で記入しました。「らしさ」⇒「深ぼり」へとつなげる問いを中心に構成されたワークシートを通して、子どもたちは自分の内面に、自然と目を向けていくことができます。また、自分の長所や短所を考える場面では、具体的な行為ではなく、内面的な内容になるように記入を促しました(例 野球が得意⇒目標を意識してこつこつと努力することが得意)。また、視点を変えると、短所は長所に置きかえることができることを伝え、記入を促しました(例 優柔不断⇒じっくりと物事を考えることができる)。このワークシートの下部には「自分の長所・短所を、身近な大人に聞き取りをし、記入してもらおう」という欄があり、事前学習後の各自の宿題としました。活動で使用したワークシートは基本的に回収しません。そうすることで、子どもたちは、先生向けのことばではなく、自分のことばでワークシートを書きやすくなります。本校では「キャリア・パスポート」とは別に「キャリア・ファイル」を作成し、3年間の成果物をファイルし、卒業時に持ち帰っています。今回の活動で使用したワークシートも、もちろんキャリア・ファイルの1ページを飾ることとなります。
「らしさ発見プログラム」の実際の交流学習の様子については、次回の配信でお伝えします。

青木 信一(あおき しんいち)

大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー、スクールカウンセリング推進協議会認定ガイダンスカウンセラー
大阪市立中学校で社会科教諭をしています。日本キャリア教育学会認定のキャリアカウンセラーとして、中学校教諭の立場から、積極的にキャリア教育の推進と普及に取り組んでいます。


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