キャリア教育の視点からの取り組み
本校では、学校教育目標を「心~魅力ある生徒の育成~」と掲げ、その実現に向け、基礎的・汎用的能力の育成を目指した、様々なキャリア教育の取り組みを進めています。
その成果が認められ、平成31年1月には、キャリア教育優良学校として、文部科学大臣表彰を受賞しました。
これから数回にわたり、本校でのキャリア教育の視点からの実践報告を中心に、様々な取り組みを紹介していきます。
大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー 青木 信一
基礎的・汎用的能力の育成
キャリア教育という文言が、文部科学行政関連の審議会報告等に初めて公的に登場した平成11年度中教審答申以降、様々なキャリア教育施策が展開され、中学校の現場においても、キャリア教育に関する意識や取組が定着してきました。平成23年度中教審答申では、キャリア教育を「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義づけ、キャリア教育で育成すべき力として、基礎的・汎用的能力を掲げています。
文部科学省発行の「キャリア教育の手引き」によると、基礎的・汎用的能力とは包括的な能力概念であり、具体的には、自己理解・自己管理能力、人間関係形成・社会形成能力、キャリアプランニング能力、課題対応能力の4つの能力により構成されています。
自己理解・自己管理能力とは「自分ができること・意義を感じること・したいことについて社会との相互関係を保ちつつ、今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき、主体的に行動すると同時に自らの思考や感情を律し、かつ今後の成長のために進んで学ぼうとする力」。
人間関係形成・社会形成能力とは「多様な他者の考えや立場を理解し、相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに、自分の置かれている状況を受け止め、役割を果たしつつ他者と協力・協同して社会に参画し、今後の社会を積極的に形成することができる力」。
課題対応能力とは「しごとをするうえで様々な課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力」。
キャリアプランニング能力とは「働くことの意義を理解し、自ら果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて働くことを位置づけ、多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら、自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力」をさします。
系統的・横断的取りくみ
本校のキャリア教育の目標は、次の3点です。
➀自分自身をしっかりと内観させ、将来への展望を持たせると共に、社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てる。
②3年間を見通した、系統的・横断的なキャリア教育を推進する。
③学校外の教育資源(保護者・地域・産業界・関係団体等)と積極的に連携したキャリア教育を推進する。
本校では、キャリアGを中心に、年間指導計画を立て、その取り組みを進めています。キャリアGとは、管理職と各学年2名の職員で構成する校内組織です。キャリアGが中心となり、企画・立案を進めることで、各学年や各教科セクトにならず、学校全体として、系統的で横断的な取り組みを実施することができます。
事前・事後の学習と効果検証
本校では、松竹芸能と連携した「笑育」、NPO法人JAEと連携した「らしさ発見プロジェクト」、大阪企業家ミュージアムを活用した「企業家精神の醸成」、大阪ユニセフ協会と連携した「100人の村」など、様々な取り組みをしています。
もちろん、行事をすること自体が最終目的ではなく、いかに事前・事後の取り組みを充実させていくか、そして、その取り組みを通して、どう子どもたちが変容しているのかを、きちんと効果検証していくことが大切だと考えています。今後、本校独自の取り組みや、その効果検証について、少しずつ紹介していきます。
青木 信一(あおき しんいち)
大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー、スクールカウンセリング推進協議会認定ガイダンスカウンセラー
大阪市立中学校で社会科教諭をしています。日本キャリア教育学会認定のキャリアカウンセラーとして、中学校教諭の立場から、積極的にキャリア教育の推進と普及に取り組んでいます。
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)