2023.07.31
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声かけの意識を変える

子どもが「いいこと」をしたときの声かけで気を付けていることなど。

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶

子どもが「いいこと」をしたときの声かけ

みなさんは子どもが「いいこと」をしたとき、どんな声をかけていますか?

例えば、教室にゴミが落ちています。
それをA君が気づいて、ゴミ箱に捨てました。
この時、みなさんはどんな声かけをするでしょう?

私自身、「自分のゴミではないのに、気づいて拾っていて偉いね!」と、この行動が習慣づいてくれればいいなあと思い、声をかけています。
そうすると、子どもは嬉しそうにまたゴミを見つけては捨てます。
しかし、それも長く続きません。褒めなくなったからでしょうか・・・
こんな経験から、本当にあの言葉かけで良かったのか悩むことがあります。

「ゴミを拾う」という「いいこと」は教師である私自身の目線の「望ましい」姿であり、続けてほしいと思うことです。
しかし、子どもからすると、褒められたいとか思わず
「教室にゴミが落ちている」→「きれいにしよう」というシンプルな考えだったのかもしれません。
そこで、私自身が「偉いね!」と褒めた結果、最初の「きれいにしよう」という内発的動機づけが、いつのまにか「褒めてくれるからやろう」という外発的動機づけに変わっているのかもしれないということです。
せっかく「きれいにしよう」と思ったのだから、ずっとその気持ちのまま行動していってほしいものです。
そこで、「偉いね」は封印して、「一緒にゴミ探そうかな?」とか「きれいになって気持ちがいいね!ありがとう!」という共感モードの声かけに変えています。
それでも、時々「朝から元気にあいさつして偉いね!」とか言いそうになるんですがね・・・

学級でトラブルがあったときの声かけ

ある日、B君が泣きながらやってきて、「C君にたたかれた」と言いました。
この時みなさんはB君・C君にどんな声かけをしますか?

私は初任の頃は、泣いているB君は被害者でC君は加害者。
C君を指導しないといけない・・・という、ヒーロー戦隊みたいな考え方しかできませんでした。
この結果、C君に「B君をたたくなんて、なんでそんなことをしたんだ!」と言い、責め立てることになってしまいます。
しかし、理由を聞いてみると、「だってB君が僕の消しゴムを勝手に取ったんだもん」なんて事があります。
完全に対応の仕方ミスです。

そこで、今ではこんな声かけを行っています。
B君が泣いて話すことを聞いた後
「分かった。嫌だったね。そしたら、C君にも話聞いてみるね!」
と、共感してから、C君にも話を聞くまで、一旦指導はしません。
そして、C君を呼んで。
「ねえ、B君が泣いているけど何かあったの?」
と、指導する気ゼロで話を聞きます。
※話を聞くときに、対面だと指導する雰囲気が出るので、私の横に座らせることもあります。
すると、「消しゴムを勝手に取られて嫌だったからたたいてしまった。」と大抵の場合話してくれます。
細かい事情が分からなければ、言ったことを時系列に紙に書くときもあります。
その後、もう一度B君を呼んで、事実確認をします。
その後は2人を呼んで、気持ちの交通整理をします。
「C君は勝手に何も言わず、消しゴムを取ってしまった。B君はそれを見て嫌だったから、たたいてしまった。お互い、謝るところがあるよね」
この時に、気持ちは分かるけどやってしまうのはダメだよねと、気持ちには共感します。
最後に「まだモヤモヤすることある?」
と聞いて、何もなければさっと終わり、その後の様子を見守ります。

子どもたちは大人の声かけ1つで、分かってもらえる大人なのか判断できます。
いじわるな行動を指導したい場合、その子のやってしまう気持ちに寄り添ってあげることが大事だなあと感じます。
一方的に「それはダメだめだよ」と言われるよりも
「気持ちは分かるけど、それはやってはダメだよ。」と言われると、気持ちを分かってくれることが伝わり納得しやすいです。
この声かけの意識。少しの差ですが目の前の子どもを見てすごい変化の出るものです。
でもまだ、きっと私自身、声かけ1つで気づかぬところで人を傷つけている事があるんだろうなあとも反省します。

五條 晶(ごじょう あきら)

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭


授業を通した「みんなで分かる!」「みんなが楽しい!」集団づくりを目指し、試行錯誤しています。

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